2017年12月4日月曜日

ガーディアン社説:カタルーニャ総選挙は歩み寄りへの挑戦


スペインと欧州全体にも影響を与える選挙戦が今週スタートする。まず収監されている政治家たちを選挙のために解放するべきだ


The Guradian
Sunday 3 December 2017

12月21日のカタルーニャ総選挙への選挙期間が今週の火曜日に公式に始まる。世論調査によれば独立派と反独立派の政治政党は五分五分で争っているようだ。この選挙の結果はカタルーニャとスペインの未来を決めるだけでなく、欧州各国とEUの枠組みにも影響を与えるものだ。

この選挙はマドリードのスペイン政府が10月にスペイン憲法155条を発動させたことに端を発する、カタルーニャの自治権を公式に停止させたこの動きは前代未聞のものだった。スペインのマリアーノ・ラホイ首相は、将来的なカタルーニャの自治権拡大をチラつかせることも含め、脱退論者たちの気を変えさせるための運動をする間、時間稼ぎの助けになることを狙っていた。そして今また事態は動き出し、多かれ少なかれ政治混乱は変化することになる。

この政治対立は法的対立も伴っている。今週の月曜日(2017年12月4日)スペイン最高裁判所の判事はカタルーニャ内閣のメンバーを選挙戦に参加することができるように解放するかどうか判断を示す。この閣僚たちは扇動、反逆、横領の罪を問われて現在収監されているが、全員罪を否定している。独立派の活動家たちは「黄色いリボン」運動を立ち上げ、「政治犯」と表現して彼らへの支持を訴えている。

仮にカタルーニャの閣僚たちが解放されなかった場合、スペイン当局は「殉教者効果」が起こることを危惧している。10月1日の独立選挙に対するスペイン政府の対応はカタルーニャの外では理解されたようだが、カタルーニャでは挑発的で高圧的なものと受け止められた。おそらく柔軟性を示すために、マドリードは憲法155条の適応についてかなり注意深く運用してきた。例えば、中央政府はカタルーニャの財政は支配下に置いたが、地域のラジオやテレビを停止したり自分たちで運営することは差し控えている。

一方で、罷免されたカタルーニャ首相のカルレス・プチデモン氏は他の4人の閣僚とともにブリュッセルに庇護を求めた。この動きは彼の支持者を分断することになった。一部は強制的に追放されたのだとし、別な一部は責任を放棄したのだという。プチデモン氏は極めて孤立した状況にあり、欧州の他の指導者たちからの支持が全くないことに苛立っている。カタルーニャは「退廃的」なEUから離れるために投票を行うべきだと言及し、この言動はEUに愛着が強い地域の意見を分断させることになった。カタルーニャ人の多くは数千の企業が他の地域に移転すると発表していることを危惧している。

マドリードの態度はカタルーニャでは不人気である。しかしカタルーニャ世論は今後どうすべきかについて分断され二極化していてまとまっていない。独立を支持するか反対するかは政治的左右を超越して分かれている。スペインの革新系政党ポデモスに近いカタルーニャのグループは独立には反対しているが、マドリードも尊重する形での法的に有効な国民投票を求めている。しかしこれが実行されるかどうかは定かでない。中道派市民政党シウタダンスは社会正義を尊重し独立問題にとらわれずに活動することを掲げて選挙戦に臨んでいる。この選挙戦は単なる二択ではないのであり、独立に関する結果は樹立される連立政権に依ることになると指摘している。

カタルーニャの急進派の人々はフランコ政権下で圧殺された歴史的な望みがまた危険に晒されているのだと語る。それよりも現実的に急を要しているのは、フランコ時代後のカタルーニャの自治権が堅固に再構築される必要があるということだ。今月の選挙はカタルーニャとスペインの民主主義が試される鍵となるものである。選挙運動は広く自由に、法律に沿って、平和的に行われなければならず、結果は尊重されなければならない。対話と歩み寄りは常に良い選択肢である。今後三週間のうちに彼らが現実的になれば、それが見られるはずだ。

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