2017年12月12日火曜日

ソーシャルメディアは社会を引き裂いている


「対話と協力はなく誤情報と偽真実がある」



The Verge
James Vincent
Dec 11, 2017

ソーシャルメディアネットワークが世界の市民社会に与えている弊害について、また新たに元Facebookの重役が声を大にしている。2007年にFacebookに入社しユーザー増加担当副社長を務めたシャマト・パリハピティヤ氏は彼が働いていた会社が作っているものについて「大きな罪」を感じているのだと言う。「私たちが作ってきたものは社会が機能する基本構造を引き裂くツールなのだと思っています」彼はスタンフォード経営大学院の聴衆に向かってそう語り、人々にソーシャルメディアから「強制中断」するように勧めた。

パリハピティヤ氏の批判はFacebookに対してだけに留まらず、広くオンライン上のエコシステムについてのことである。彼はオンライン上のやり取りは「ハートマーク、いいね、サムズアップ」によって成り立っていると言及し、「私たちが作ってきたものは効果の短い薬物作用の繰り返しのようなもので、社会の機能を破壊しています」と語った。「そこには市民としての対話も協力もありません、間違った情報と、偽の真実があります。そしてこれはアメリカだけの問題ではありません、ロシアの広告について言いたいわけではありません。これは世界全体が抱える問題です」

彼はインドでWhatsAppに偽の誘拐事件のメッセージが流されて、7人の無実の人々が私刑に処された出来事について話を続けた。「これこそが私たちが何と向き合っているのかということです」とパリハピティヤ氏は言う。「最悪の事態を想像して下さい、悪意の人物が大きな人々の集団を何でも思い通りのことをさせるように操ることができるのです。これはまさに現実になっています、本当に悪い状態です」。彼はFacebookの利用を最小限に留めるようにしていると言い、自身の子どもたちには「こんなものを使うことは許していません」と言う。しかし彼は後で、彼のいた会社は「基本的には世界中で良いことをしている」のだと信じていると付け加えた。

パリハピティヤ氏の言説はFacebookが今のように強力な会社になることを手伝ってきた他の人達から話されてきた同様の自責の念の発言に続いたものだ。11月には初期に投資したショーン・パーカー氏が彼自身がソーシャルメディアに対する「良心的反対者」になったとし、Facebookと他のソーシャルメディアは「人間心理の脆弱性を利用して」成功しているのだと語った。同社の元プロダクトマネージャーのアントニオ・ガルシア=マルティネス氏は、Facebookは収集したデータに基いて個人に与えることが可能な影響力について嘘をついていると言い、当時の自身の仕事について「混沌の猿たち」という本を書いている。

これらの元社員たちはFacebookの力についての懸念が頂点に達しようとしている時に皆声を挙げてきたのだった。ここ1年の間にアメリカ大統領選挙でこの会社が果たした役割と偽ニュースを増大させる能力に対する懸念が大きくなったと同時に、ミャンマーのロヒンギャ族に対する「民族浄化」のような残虐行為にソーシャルメディアがどう関連しているのかに焦点を当てた報告が出されてもいる。

パリハピティヤ氏が彼の話の中で批判したのはFacebookだけではく、シリコンバレー全体のベンチャーキャピタルのシステムも批判している。投資家たちは気候変動や疾病のような本当の問題に対してではなく「くだらない、意味のない、バカバカしい会社」に資金を注ぎ込んでいるのだと言う。パリハピティヤ氏は現在彼自身のベンチャーキャピタルであるSocial Capitalを運営し、健康維持と教育の分野に焦点を当てて投資を行っている。

パリハピティヤ氏はまた、技術系の投資家たちは全能に見えるが、彼らは技術よりも運によって力を得ているのだとも述べている。「みんな酷いものです」と彼は言う「座っていて、良い投資先があって、資金を持っていて、技術的な変化の強力な追い風が吹いている… 時間が経って成功した20の会社のうちの1社を獲得すると天才のように見える。誰も認めたくないでしょうがこれが現実です」。

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