2017年12月6日水曜日

無音のGIF動画から音が聞こえるのは何故?


私たちは思っているよりも多くこの現象を経験しているかもしれない



The Verge
Angela Chen
Dec 4, 2017

このGIFを見てほしい。音声はついていないが、これを見た多くの人が鉄塔が地面につく度に「ドスン」という音を頭のなかで聞いている。なぜだろう?


シティ(ロンドン大学)で心理学を研究するクリストファー・ファスニッジ氏は、これに答えるには私たちの感覚がどう作用しているかを考えなければならないと言う。この錯覚は共感覚かあるいは感知(聞いたり見たりすること)が脳の中で混線することの例だろうとThe Vergeにメールで説明してくれた。

世の中を生きて行く中で、私たちはあらゆる瞬間に動きに論理的に関係した音声が伴っていることを経験している。私たちはボールが弾むのを見れば弾む音がすることを期待する。私たちは幼い頃に所謂「共感覚」を学ぶことができることは証明されているので、多くの人が共感覚をごく一般的なものとして発達させることができることは理に適っているとファスニッジ氏は語る。もう少し稀な他の例を見てみよう。例えばピアニストのニコライ・リムスキー=コルサコフは異なる旋律を其々色として見ていたという。毎日の生活の中で旋律と色が関係することは稀で、そうであればこそ彼の能力は注目に値する。

「音の出るGIF」で起こっていることは、ファスニッジ氏の研究室で「visually-evoked auditory response(視覚が誘発する聴覚反応)」と呼ばれる、あるいは短縮してvEARと呼ばれる共感覚である。

動きと音の共感覚はそれほど研究され尽くされてはいないが、彼らの研究室の調査では20%の人がvEARを経験しているという、これは他の形の共感覚よりも2%から4%高い数値であるとファスニッジ氏は言う。脳内の繋がり方の影響で、一部の人々は他の人達よりもこうした錯覚の影響を受けやすいのだという。

ファスニッジ氏は私たちは気が付かないうちにvEARを経験している可能性があると言う。おそらく私たちは音が鳴っていなくても理に適っていれば鳴っていると思っている。この「音の出るGIF」が話題になって私たちが気づいたことで、vEARがありふれていることが明らかになる可能性がある。上に挙げたGIFは唯一の例ではなく、こちらのRedditに多くの例がある。

この跳ねる鉄塔のGIFはそれ自体面白い経歴を持っている。ツイッターユーザーのHappyToast氏が2008年にPhotoshopチャレンジの一部として制作したのだと述べている、そしてBBC3TVのシリーズ番組でも紹介された。インターネット上には千を超えるコピーが掲載されていると言うが、先週になって初めて人々が音がする錯覚に注意を引きつけられるようになったのだという、そしてその感覚は彼らがたぶん信じていたほど特別なものでもないことが明らかになったのだ。

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