2017年12月9日土曜日

何故エルサレムはイスラエルの首都ではないのか


エルサレムのどの場所もイスラエルの首都として認めた国は世界に存在しない


ALJAZEERA
Zena Tahhan & Farah Najjar
7 Dec 2017

アメリカのドナルド・トランプ大統領は水曜日(2017年12月6日)にエルサレムをイスラエルの首都と呼び、アメリカ大使館をそこに移す手続きに入った。この動きは世界から強い非難を巻き起こしている。

イスラエルは1967年シリア、エジプト、ヨルダンとの戦争(第三次中東戦争)に伴い東エルサレムを占領した。この聖なる街の西半分は1948年の第一次中東戦争戦争で占領している。

イスラエルが東エルサレムを占領していることで事実上エルサレム全体がイスラエルの支配下にあることになる。しかしながら、イスラエルのエルサレムに対する支配権はアメリカを含む国際社会には承認されていない。

このエルサレムの現状がパレスチナ-イスラエル紛争を解決するための努力の中で、主要な問題点であり続けている。


国際社会の立場


歴史的なパレスチナをユダヤとアラブの国に分けるという1947年の国連の分割案の下では、エルサレムは特別な場所と認められ国際社会の統治と管理下に置かれた。この分割された特別な場所はアブラハムを始祖とする3つの宗教におけるエルサレムの宗教的重要性を鑑みたものだった。

1948年の第一次中東戦争の後、国連のパレスチナ分割案に沿ってシオニストの軍隊が西エルサレムの支配権を握り自国の領土であると宣言した。

1967年の第三次中東戦争で、イスラエルは当時ヨルダンの統制下にあった東エルサレムを占領した。そしてイスラエル法の拡張により事実上の併合を進め、国際法に反する形で実効支配を確立した。

1980年、イスラエルは「エルサレムは完璧に統一されたイスラエルの首都である」と言明した「エルサレム法」を制定し、それによって正式に東エルサレムを併合した。

それに対し、国連安全保障理事会は国連安保理決議478号で、エルサレム法は「法的効力がなく無効である」と宣言した。

アメリカを含む国際社会は、公式には東エルサレムは占領された地区として扱っている。付け加えるなら、世界にエルサレムのどの場所もイスラエルの首都として認めた国は存在しない。東エルサレムを「将来のパレスチナ国家の首都」と認め、同時に西エルサレムをイスラエルの首都として承認しなければならない、としたロシア外務省の声明は例外的なものである。

現在すべての大使館はテルアビブにあるが、幾つかの国はエルサレムに領事館を置いている。

2017年12月6日水曜日、ホワイトハウス高官によるとアメリカのドナルド・トランプ大統領はアメリカがエルサレムをイスラエルの首都として認め、国務省にアメリカ大使館をテルアビブから移動する手続きに入るよう指示することになるという。

イスラエルによる東エルサレムの違法な併合は、占領することがその土地の統治権を持つことにはならないとする国際法の原則をいくつか侵している。


エルサレムのパレスチナ人達


イスラエルの東エルサレム実効支配にも関わらず、そこに住むパレスチナ人にはイスラエルの市民権は与えられていない。

今日、東エルサレムの約420,000人のパレスチナ人は「永住権」のIDカードを持っている。彼らはまた一時的にIDナンバー無しのヨルダンのパスポートを持つこともある。このことは彼らが完全なヨルダン人ではないことを意味していて、実際彼らがヨルダンで働く場合は労働許可が必要であり、学費の減額のような公共サービスは受けることができない。

エルサレムのパレスチナ人は本質的に無国籍である。イスラエルの市民でもなく、ヨルダンやパレスチナの市民でもなく、法的に不確定な状態に置かれている。

イスラエルは東エルサレムのパレスチナ人を、彼らはそこで生まれ育ったにも関わらず、権利ではなく国家の好意で住む許可を受けている国外からの移民として扱っている。彼らは在留許可を維持するための一定の要件を満たすことを求められ、常に在留許可が取り消されることを心配している。

国外でもヨルダン川西岸地区でも、エルサレムの境界線の外側に一定期間以上住んだことがあるパレスチナ人は誰でもエルサレムの居住権を失うリスクを負わされている。

「生活の中心」がエルサレムであること、継続して居住していること、が証明できない人は自分が生まれた街に住む権利を失うのである。彼らは土地の権利証、賃貸契約証、給与明細を含む1ダースもの書類を提出しなければならない。他の国からイスラエルの市民権を獲得するにはまず自分の国の市民権を手放さなければならない。

一方で、世界中の全てのユダヤ人達はイスラエルで生活する権利を持ち、イスラエル帰還法に従って市民権を獲得できる。イスラエルの人権団体ベツェレムによれば、1967年以降、イスラエルは約14,000人のパレチナ人を追放している。


入植


エルサレム全体の支配を強化することを狙ったイスラエルによる東エルサレムへの入植計画も国際法の下では違法だと考えられている。

国連はいくつかの決議の中で、入植計画は占領国が被占領国の人口を変化させることを禁じたジュネーブ条約に直接違反していると主張している。

この背景にはいくつか理由がある、占領が一時的であると保証すると共に占領国が軍事的統治を通じて長期駐留を確立するのを防ぐこと、占領された市民を略奪から守ること、人種隔離政策と地域の人口構成を変化させることを防ぐこと。

しかし1967年からイスラエルは入植者としてユダヤ教のイスラエル人のための居住用ビル群を12以上の場所に建設している、そのいくつかは東エルサレムでパレチナ人たちが住んでいる真ん中にある。

約200,000人のイスラエル人市民が東エルサレムに軍隊と警察の保護の下で住んでいる、最も大きな入植地域には44,000人ものイスラエル人が居住している。

こうして要塞化された入植地はパレスチナ人たちの家々の間に散らばっており、パレチナ人たちの移動の自由、プライバシー、セキュリテーを侵害した上に成り立っている。

イスラエルはエルサレムは統一された首都であると主張しているが、そこに住む人達の現実は、これ以上分断出来ないほど分断されている。

パレチナ人たちがアパルトヘイトのような環境下で暮らしているのに対し、イスラエル人は国家に保証された正常さを享受しているのである。




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