2017年12月29日金曜日

細身の人はダイエットの真実を理解していない


「ダイエットには意味がない」


TONIC
By Traci Mann and A. Janet Tomiyama
Dec 29 2017

ダイエットには意味がない

カロリー制限が長期的な体重減少と健康増進に単純に繋がらないことは科学的根拠から明らかです。今ではダイエットについて考えている人はそのことを認識しているのではないかと思っていますが、今年もまた去年と同じように体重を減らすことを目標に設定してしまっていた人もいるようです。

こうしたことに無関心でいられるのはダイエットについて考えたことがない人たちだけです。そういう人たちはダイエットそのものが自身の食生活と相容れないので信じることが特別に難しいのです。

例えばニッキーの例を考えてみましょう、彼女はジャンクフードもあちこちで必要があれば何度でも食べるような人です、しかしそれが彼女の体重に影響を与えているようには見えません。彼女はダイエットに気を使ってはいません。ニッキーは生まれつき細身なのです、そして彼女が自分の体について目に見えるものと自身の感覚を信じているのは驚くべきことではありません。それでもニッキーは間違っているのです。

私たちは何故ダイエットが失敗に終わるのかを長い間研究してきました。私たちはダイエットを失敗するのは普通のことだと考えています。そして私たちは体重のある人たちが直面する恥辱についても研究をしてきましたし、ダイエットをしている人が体重を減らしたままで維持できない場合に起こる責任のなすりつけ合いも目撃してきました。私たちは科学的な視点から見てダイエットというのは不公平な戦いを強いるものだと理解しています。しかし、私たちに対峙する数多くのニッキーのような人たち、そういう人たちは街の通りにも、私たちの講義を聞いている人の中にも、仲間の科学者の中にもいますが、彼らは私たちがダイエットには意味がないと言うとその意味を混乱して受け取ってしまっているようです。なぜならダイエットは彼ら自身の認識とは両立しないものだからです。


不公平な戦い


ニッキーは彼女が痩せているのは彼女の食生活のおかげだと考えています、しかし実際は彼女の体型には遺伝の要素が大きく関わっています。ニッキーがそう信じているのは彼女の食生活は見てわかりますが彼女の遺伝子については見ることができないからです。

体重がある人の多くはニッキーと全く同じ食べ物を同じ量だけ食べていたとしても、同じ体型にはならないでしょう。そういう人の体はニッキーよりも少ないカロリーで動くことができるようになっているからです。このことは良いことのように聞こえます(実際、食糧不足の状況に陥った場合には極めて良いことでしょう)。

しかしこのことは実際に同じものを食べて体の機能を働かせるためにエネルギーを消費した場合に、そういう人たちはニッキーよりも多くのカロリーが残されて脂肪として体の中に蓄えられることになります。つまり本当に体重を減らすためには彼らはニッキーよりも食べる量を少なくしなければならないわけです。そしてさらに、ダイエットを始めると代謝が変化するので体重を減らし続けるためには更に食べる量を減らす必要があるのです。

こうした代謝の変化はニッキーには遺伝的に備わっていないので彼女はダイエットは成功するに違いないものだと考えているのです。ダイエットをしないニッキーには彼女の同僚の机の上に置いてあるボウルいっぱいのハーシーのキスチョコを無視するのは簡単なことです。しかし、ダイエットをしている人にはそこにあるキスチョコが飛んだり跳ねたりしながら「食べて!」と言っているように見えます。ダイエットを始めると神経系に変化が起きてダイエットを始める前よりも食べ物に気が向くようになるのです。一度食べ物の存在に気づいてしまうとそれについて考えることを止められなくなるのです。ニッキーならチョコレートのことはすぐ忘れてしまうでしょうがダイエット中の人はそうはならないのです。

実際ダイエットを始めると前よりも食べることが好きになるという面もあります。これはダイエットが引き起こす別な神経系の変化で食べ物がより美味しく感じられるようになるだけでなく食べ物がより大きなドーパミンの分泌を引き起こすようになるのです。ドーパミンは薬物中毒の人が薬物を使用する時に分泌されるホルモンと同じものです。ニッキーには食べ物からこのような分泌は起こりません。

そしてニッキーがランチでお腹いっぱいになっている一方で、ダイエット中の人は困難な戦いに直面します。ダイエットはホルモンにも変化を与えるからです。食欲を満足させるレプティンというホルモンの量が少なくなることにより、ダイエットを始める前よりも満腹感を感じるためには多くの量が必要になるのです。ダイエットをしている間は大抵は空腹感を感じていますが、更に強く空腹を感じるようになるのです。ニッキーが食べているダイエットに無関係の通常のランチでもダイエット中の人を満足させることはできないでしょう。


意志の力はどこへ?


人々はニッキーの素晴らしい自制心か意志の力に感銘を受けます。しかし空腹を感じていないのに、本当に自制心で食べることを避けているのだと考えて良いのでしょうか?食べ物の存在に気づいていないから、好きではないから、食べることから喜びを感じないから、食べないことは自制心と関係あるのでしょうか?

こうした状況下なら誰でも食べ物に抗うことができるのではないでしょうか。この場合ニッキーも意志の力を必要としていませんし、仮にそれが必要になったらうまく機能させることができるでしょう、そもそも彼女はダイエットをしているわけではないのですから。そして何よりも、ダイエットは認知の機能を混乱させます、特に自制心に役立つ機能についてです。ダイエットをする人は意志の力が必要な時に意志の力が弱くなっていることになるのです。ダイエットをしない人は特に必要としなくても意志の力をたくさん持っています。

そしてもちろん、ニッキーが魅力的な食べ物を食べることになったとしても、彼女の代謝能力はダイエット中の人よりもより多くのカロリーを燃やしてしまいます。

なのでニッキーには彼女にとって簡単というだけではなくダイエット中の人が直面するよりもずっと簡単なことをやり遂げただけで、誤解のある信任が与えられてしまっているのです。

残酷な皮肉はダイエットを始めるとそのダイエットの長期的な成功を難しくするような変化が体に起こるということです。これは物理的には許容可能なことで、ダイエットをした人のごく少数は数年間は減らした体重を維持することができます。しかし常に倦怠感と生理学的な欲求との戦いを強いられることになるのです。

ダイエットをした人たちが新年の決意で減らした体重を元に戻してしまうのは普通のことなのです。そして私たちは最後に提案をしたいと思います。もしあなたがニッキーなら、自己否定感を持ったダイエット中の人々が自分自身を抑制し、あなたが退廃的なデザートを貪っている間に如何に食べることを我慢しているかを思い出して下さい。その努力に感心してあげて下さい、そして自分がそこまでする必要はないことを喜んで下さい。

もしあなたがダイエットをする人なら、あなたが弱いわけではなくあなたは極めて勝つことが難しい不公平な戦いを強いられているのだということを思い出して下さい。エクササイズをしてあなたの健康を増進する方に焦点をあわせましょう(体重を減らす必要はありません)、そして来年はいつもとは違う新年の決意を選びましょう。

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