2017年11月12日日曜日

Twitter社は妥当性の確認と認証バッジを見分けることができない


フェイル・ホエール(過去にTwitterが許容負荷を超えた時に出たクジラの絵)が懐かしい



2016年はTwitter社にとって大火災が続いたような年だった。極めて不快な言葉遣いと有害とも言えるようなやりとりがTwitter上では普通のことになってしまった、極右系のユーザーの活動が劇的に活発化したこととオルタナ右翼運動の結実が明らかになった時からだ。しかし2017年も痛ましい去年と同じように、同社は対応しなければならなかったことを拒否したため、炎上にガソリンを注いだようなことになってしまった。

ここから浮かび上がってくるのはジェイソン・ケスラーの顔だ。8月にヴァージニア州シャーロッツビルで「Unite the Right」集会を主催した人物を覚えているだろう。彼は単にイベントを組織したというだけではなく、集会に抗議していたヘザー・ヘイヤーさんの死について重きをなしていた人物である。この集会で親ナチズムのジェイムズ・アレックス・フィールズ・ジュニアが車で抗議集団の中に突っ込んでヘイヤーさんが亡くなった、その事件の後、ケスラーはTwitterで亡くなったヘイヤーさんは「デブで不愉快な共産主義者」であり、彼女の死は「自業自得」であると宣言した。ケスラーは更に「ヘザー・ヘイヤーを挑発したのは正しかった。メディアは人間じゃなく殉教者を報じていた」と発言し自身の活動を正当化する賭けに出ていた。

Twitter上でユーザー名の横につく例の青いチェックマークは有名人によるもの、ということであって、その人の身分の高さを示すものではないと説明されているが、なぜこのTwitterの認証バッジは多くのユーザーに正当性の象徴であると広く認識されてしまっているのだろう?

Twitter社は昨日(2017年11月8日)どのような経緯でケスラーのアカウントに認証バッジを与えたのだろう?この不可解な行動には多くのユーザーが疑問を呈した。Twitter社のCEO、ジャック・ドーシーはTwitter社のサポートアカウントに重ねて次のように説明した。


「私達はこの件についてもっと早く(昨日中に)言及すべきでした。今回の認証は私達の認証バッジ利用の方針に正確に従っています、ではありますが、私達は少し前からこの制度が既に欠損していて再構築が必要であることを認識していました。しかし何の対応もしなかったことで今回の失敗に至りました。早急に修正をすべく現在動いています。」 

この件で多くの人が抱いた本当の疑問はケスラーのTwitterアカウントはこの定義に適合しているのかどうか、ということだ。彼はアメリカにおける人種差別についてこの数ヶ月新聞の見出しにも登場したし公開討議の議題にもなっている、しかも自分たちの記者会見でどのようにネオ・ナチズムに追随すべきかという議論までしている。どんな説明をTwitter社が述べたところで、ケスラー氏のアカウントが認証に至ったということはユーザー達の反感を買う間違った行為であったことは明らかである。しかしTwitter社は反感を持ったユーザー達への明確な謝罪はせず、以前に保守派の活動家ローラ・ルーマーにしたようにケスラーのチェックマークを無効にすることはせず(現時点では)、その代わりに認証バッジの発行を停止し次のようにツイートした


Twitter社が認証制度のプロセスについて明瞭な説明ができていないこと、なぜそのアカウントが選ばれて承認されたのか、Twitter社はなぜ今回のような件が持ち上がった時に遠回しに返答そのものを避けるのか、こういったことはもはや問題の本質ではない。これらは重要な事柄ではあるが更に大きな問題は、Twitter社がこうした事態が悪化することを止めようとしている姿勢が見えないという事実である。これらの過失は継続している、この「偶発的」なエラーにより認証されたアカウントが匿名アカウントと同じように殺人や強姦の脅しを自由に流している、止める必要がある。


「今日イスラム教徒総出によるISISのニューヨーク攻撃がみんなの頬を掠めていった。
無邪気にヒジャブを被って歩いている。」

これは今に始まったことではない、Twitter社は認証バッジについて疑問の残る決断をしている。オルタナ右翼のリーダーでフロリダで集会後に殴られたことでも有名なリチャード・スペンサーはIinfoWarsのパーソナリティであるアレックス・ジョーンズと同様に既に認証バッジがついている。公園でのシェークスピア演劇を邪魔して逮捕される前にクラウドファンディングで保釈金を集めていたことで有名な保守派の活動家ローラ・ルーマーにすらも現在認証バッジがついている。彼女がイスラム教徒の女性の写真を撮り、ニューヨークには非イスラム教徒のタクシー運転手がいないと不満を述べた時に一時的に認証バッジは剥がされた。右翼の論客ミロ・ヤンノプーロス、俳優のジェイムズ・ウッズ、陰謀論者マイク・セルノヴィッチはいずれも論争の的となった人物だが認証バッジがつけられている。

しかしジュリアン・アサンジュには認証バッジがついていない。

ウィキリークスは組織内のメンバーに認証バッジをつけてほしいと要請しているにもかかわらず、Twitterの青いチェックマークはアサンジュのアカウントから離れたままである、エクアドル大使館外の生活がアサンジュ本人から離れたままであるのと同様である。いったい何が異なるという言うのだろう?Twitter社が認証はその人のツイートが真実である裏書きではないという言うならば、なぜヤンノプーロスのような炎上扇動家が認証を与えられて、アサンジュはその他大勢と一緒にされているのだろう?認証バッジにはたいした影響力はないというなら、なぜローラ・ルーマーは一時的にバッジを剥がされた時になぜあんなに狼狽したのだろう?

Twitterは口汚いユーザーに対して処分をする時さえも、認証済みアカウントに対してなかなか手首を叩く以上のことはしない。例えば共和党系のロビイスト、ロジャー・ストーン。彼のアカウントは10月に永久凍結されている、CNNのニュースキャスター、ドン・レモンに対し「屈辱を与え、嘲笑され、罰せられる」ことを要求したツイートをしたためだ。ストーンにとってはアカウントの凍結すらも初めてではない、4月にもメディア・マターズ・コミュニケーションズのディレクター、ローラ・アリソン・ケイターを恫喝している「俺はお前を見ているぞ、そしてお前が何をしているのか知っている。自分のケツをよく見た方が良いだろうな」というのがこのトランプ大統領の元アドバイザーのツイートであった。

ヤンノプーロスはもっと酷い。アカウントが停止される前の7月にヤンノプーロスはコメディエンヌのレスリー・ジョーンズに彼女の「ゴーストバスターズ・リブート」での役柄について陳腐な嫌がらせキャンペーンを行い、サタデーナイトライブの人気者であるレスリーに一時的ながらTwitterをやめさせるに至った。ティラ・テキーラはナチ式敬礼の写真一枚が公開されてアカウントがキャンセルされた。リチャード・スペンサーのようなオルタナ右翼のリーダーたちはTwitterアカウントが凍結されてもそう長い時間にはならないのが通例である。

Twitter社は午前3時に大統領執務室のトイレから出てきた時ですら、保守派の馬鹿げた振る舞いは多めに見ているようだ。トランプ大統領は長年に渡ってTwitterの利用規約を無視してきたが、Twitterはおかしなことに長期に渡ってこれを黙認している、彼のツイートが明らかに規約違反であってもそのままになっている、これはもちろん所謂「Covfefe Act」によるものではない。

「ルールはルールです」とTwitter社のデル・ハーヴェイ副社長は7月に取材に応えている。彼らは大統領に対してはそのルールをほんの数回適用しただけのようである。

このことはTwitter社がこの1年間この手の態度でいたということではない。同社は最近2016年の大統領選挙で使われた可能性のあるロシアを後ろ盾にした数百のアカウントを見つけ出し停止した。その選挙から11ヶ月経ってから、サードパーティのディベロッパーを影響力調査のためのデータ監視ツールから締め出す努力もしている、またテロ関連のアカウント(2015年以来93500あったという)の監視と停止を強化し、日常的な攻撃にさらされているユーザーを減らすためのプライバシー設定の改善を行っている。しかしこれらの努力にも関わらず、Twitter上は素性の知れないナチ礼賛と暴言のボットで散らかったままである。

Twitter社の暴言の問題についての対応は少なすぎて遅すぎたと同社自身が認めるところであり、ロブ・カーダシアンのリベンジポルノ写真が削除されるまで30分もかかっている。そして同社のこうした対応は多くの人々が抗議の声を挙げてから行われるのがしばしばである。女優のローズ・マッゴーワンがハリウッドの大物ハーヴェイ・ワインスタインの手による性的暴行についてTwitter上で言及した時、Twitter社は彼女のアカウントが停止するのに適合しているとしていた。この対応について #WomenBoycottTwitter 運動がが始まると、Twitter社のドーシーCEOは陳腐な言葉で応答し暴言統制基準の改善を行った。

ドーシーCEOの約束を守るために、Twitter社は具体的に動いてきてはいる。同社は暴言の監視を強化しており、嫌がらせを防ぐための努力についても明らかにしている、アカウント停止になる行為についてのルールを明確にしており、インターネット上の暴言を踏み潰すために名誉毀損防止同盟と協力さえもしている。

Twitter社はこのサイトそのもの(と名声)をキレイに掃除しようとしてはいるが、同社は疑わしい判断をしないで一週間稼働することができないようだ。アドホックアカウントを停止するところからLGBTコンテンツ除外するために検索語を嗅ぎ回るようなことまでやるが、「ホワイトジェノサイド」は許している、Twitter社はそのやり方から抜け出せないでいる。

実際のところ同社の今進めていることの多くはユーザーコミュニティが求めていることではない。投稿済みのツイートを編集するためのボタンを付ける予定はないだろうが、開催中のイベントの通知は何らかの理由でタイムラインの一番上に出てくるようになるだろう。Twitterにはナチスになりたがる人が溢れかえっている、なのでもちろんTwitter社は「後で読む」機能を作るために頑張っているし、同社のダイレクトメール機能を使いやすくするために頑張っている。お店に付く前にデニーズに注文できるダイレクトメール機能を作り出すことや新しいデフォルトアイコンを作っていて忙しい時に、匿名アカウントの殺人や強姦の脅しに対するシステム的な防護策を開発する時間が誰にあるだろうか?

そしてツイートの文字制限を280文字にしたのはTwitterに文字通り「足りない部分を増やした」まさに天才的な発想だったのではないだろうか?おめでとうございます、今や全TwitterナチスやTwitter極右の人たちは少数派を撲滅したいと思う欲望について微妙なニュアンスまで丁寧に表現できるようになったのだ。

最後に、おそらくこうした問題点は間違いで起きていることではなく狙い通りの仕様であろう。Twitterはビジネスである、その価値は利用しているユーザーの数に基づくもので、その中の会話の質に左右されるものではない。しかしTwitterを利用する面倒臭さが利用する利点をいつか上回った場合、ユーザーコミュニティはすぐさま砕け散ってしまうだろう。私達は既に多くの有名アカウントがTwitterから足を洗ったのを見てきた、利用者数を増やすためにNBA選手のケヴィン・デュラントを雇うことでもしない限りは、Twitter社は言い訳作りはやめて進化を進める必要がある。

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