2017年11月15日水曜日

テスラは電気自動車界のBlackBerryになってしまうのを避けることができるのか?


車を作るのは大変だ


Engadget
Roberto Baldwin
11.14.17

セミ自動運転のアイディアはそう古いものではないし、電気自動車が公道を走ることすら少し前はありそうもないことだった。もちろんトヨタやホンダのような会社がハイブリッド車を提供してはいた、しかし誰もが正面から「格好良い」というようなものではなかった。テスラはその状況をすべて変えた、最初にロードスター、更に(より重要な)モデルSとオートパイロット技術によって。テスラの電気自動車の走行距離は200マイル(320km)を超え、環境に優しく、「未来」のステイタスシンボルを実感させた。テスラは自動車業界のすべてに変化をもたらしたが、今や業界はテスラに追いつき、このイーロン・マスクの会社は彼が「生産地獄」と呼ぶ苦境に立たされている。

全ての失策を考慮しても、テスラは自動車業界の中で信じられないくらい重要な存在になっている。2006年にマスクはまずハイエンドな電気自動車を高所得者層に売り、それを大衆用の電気自動車を開発する助けにするという基本方針を生み出した。自動車の新興企業は、それが既存の自動車会社の中から設立されたものであっても、悲しい最後を遂げる傾向にある(サターンや最近だとサイオンのことを誰か覚えているでしょうか?)。しかしテスラは狡猾さと壮大な視野を持ち合わせていた。利益の出せるモデル3を最初の顧客に届けるまで11年、少々時間はかかった。

その間、テスラはその車そのものとオートパイロット(セミ自動運転)で注目を集めており、他の自動車メーカーもシリコンバレーのテスラを注視していた。このことは特に高級車市場に顕著だった。「私はテスラは特に高級ブランドがテスラと同様の可能性を示して見せる意欲を掻き立てることに大きな影響を与えたと考えています」ガートナーの自動車業界アナリストであるマイク・ラムジーはエンガジェットの取材に話した。

テスラは自動運転の未来を奪われてしまうことに危機感を持った既存の自動車会社に火をつけたのだった。テスラはモデルSで人々が電気自動車に求めている通りのものを披露してみせた。それによってモデル3のために資本と注目を獲得しようと努めていたが、その間にゼネラルモーターズのようなメーカーが自身の電気自動車を発表し襲い掛かってきたのだった。その結果発表されたのがボルトである。長い走行距離をもつ電気自動車で価格は3万ドルを下回り税額控除も受けられる。デトロイトのゼネラルモーターズはテスラの計画を先取りして市場に出したのであった。

テスラはモデル3を工場から出荷するのに手間取っていた。「問題はものすごく人気が出たことでビジネスの中で製造が占める割合がどんどん大きくなっていったことです。良くも悪くもテスラは事実上開発会社ではなく製造会社になってしまった」とラムジーは語る。

どんな業界にも革新性は重要でテスラはそれを持っていた。しかしそれをここからどこに進めていくのか?生産目標に達したとはいえ、今日でもモデル3を注文した人の車庫に届けられるのは1年以上後のことになる。自動車業界ではこれでは勝利とはいえない、製品の企画から生産まで時間がかかることは長期的に会社の健全性に影響をあたえることになりかねないし、そのことはバッテリーやソーラーパネルといった進化の速い部分で影響を受けることになる。

テスラが彼らの車を路上に出したいのであれば 車自体の革新性に力を注ぐことを控えめにし生産性を改善しなければならない。人々はイーロン・マスクの考えだした車を手に入れたがっているのだ。

テスラは自分たちを伝統的な意味での自動車メーカーだとは考えていないようだ。自家用車、SUV、そして今度のセミトレーラーに加えて、エネルギー関連もビジネスの一部としている。テスラの製品である「Powerwall」と「Powerpack」は一般家庭やオフィス、その他重要な電力系統に電気を送り続けるのに役に立つものである。同様にテスラのソーラーパネルや「Solar Roof」は家庭の電気代とCO2の排出量を軽減するのに役立つ。同社がやっていることはすべて我々が大気中に排出している汚いものを減らすことを中心としたものだ。これは崇高で賞賛に値する使命である。

しかしテスラが有名になったのは車によってであって、車は同社の利益とブランドの重要な位置を占めているのである。何もかもがこの会社にとって間違った方向に進んだとしてもマスクが11年前に作り上げた構想は実現することになるだろう。既存の自動車メーカーは2019年には完成度の高い電気自動車やハイブリッドモデルとともに電気化された未来図を表舞台に提示してくるだろう。そして既に自動運転に手を付けていない会社を見つけるのは困難な時代になっている。テスラ自身が敗れ去るかどうかに関係なく概念は勝ち残ることになるのである。

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