2018年7月31日火曜日

アヘド・タミミ「私は自由を求めて戦う者であり、被害者ではありません」


解放から1日後、パレスチナの活動家の少女は、将来は法律家になってイスラエルに対する訴訟を率いたいと話す。


The Guardian
Oliver Holmes and Sufian Taha
Mon 30 Jul 2018

パレスチナの活動家の少女、アヘド・タミミは、この8ヶ月間の投獄を国際法を学ぶ機会として利用したと話し、将来は国際法廷でイスラエルに対する訴訟を率いることを希望している。

「状況が許すなら、私はどうにかして法律を学びたいと考えています」占領下にあるヨルダン川西岸地区ナビサレ出身の17歳は解放されてから1日後にガーディアンに対して話してくれた。「パレスチナの人々に対する侵害行為を犯罪法廷に提起したいのです。イスラエルを相手に訴訟を起こして、偉大な国際弁護士になって、私の国に権利を取り戻したい」

タミミは軍事占領下に生きる子供として世界的に有名になった。彼女と伴に収監されていた受刑者たちは何時間も座って法律の勉強をしようとしていたのだと言う。「私達は監獄をなんとかして学校に変えようとしていました」と彼女は語る。

タミミは昨年12月にカメラが撮影している中、自宅の前でイスラエルの兵士を平手打ちし蹴りを入れたことで、権利団体の抗議の声に関わらず逮捕された。兵士たちはナビサレで毎週行われる抗議運動に対して派遣される。そこでは、催涙ガス、逮捕、そして時には実弾で対応する兵士に対して住民たちは投石で応じる。

後に彼女は法廷で暴行、扇動、そして兵士を妨害した2つの罪を認め司法取引を受け入れた。

「逮捕された経験は本当に辛いものでした。出来る限り訴えようとしても、それを表現することができないのです」。しかし彼女は続けて言う「この経験は私の人生に価値を付け加えてくれました。おそらくこの経験が私を成熟させて、意識を高くしてくれたと思います」

彼女の裁判は非公開で行われた。イスラエルの男性取調官が当時16歳だった彼女の体と「天使の瞳」について言及して脅している映像が現れたことで、拘留中の彼女に対する扱いについての懸念が高まっていた。

彼女に対する扱いは珍しいものではなかったとアヘドは言う。「初めてのことではないですし、偶然ではありません。それが彼らの取り調べのやり方なのです」

彼女が逮捕された件によって、地元の人権団体によれば300人以上いるという逮捕拘留されたパレスチナの未成年者たちに注目が集まることになった。

アヘドは今回の投獄された経験で国際弁護士になりたいという意志を強くしたという。「例えば、取り調べを受けている時に私に対する違法な行為が存在していました。国際法では起こるべきではないとされていることです」と彼女は言う。そして、もし別な人生があったならプロのサッカー選手を目指していたと付け加えた。

ナビサレの住人たちはほぼ彼女の親戚たちで占められていて、反占領の運動を熱心に行っている。アヘドは子供の頃から抗議運動の中で兵士たちと度々掴み合いをしたり睨み合っている写真や動画が記録されて世界中に拡散されてきた。

世界の注目を集めるようになってから、タミミ家には娘を国外の大学で勉強させるための奨学金の申し出が来ているという。しかし彼女はまだ決断をしかねている。

パレスチナ政府はイスラエルに対して国際的に抗議をいくつか提起していて、その中には戦争犯罪についてや社会システム上の人種隔離政策についての訴えも含まれている。イスラエル側はこの訴えを激しく否定している。

アヘドの家族の家には活動家やパレスチナ当局の人々が集まっていて、外に置かれたプラスチックの椅子に座って小さな紙コップでコーヒーを飲んでいる。彼女は解放されて何時間か後に、パレスチナのマフムード・アッバース大統領に面会した。2人のイタリア人アーティストは、イスラエルとパレスチナ人の土地とを分断している防壁にアヘドの壁画を書いたことで逮捕された。


彼女が国際的に認知されていることはイスラエル政府を苛立たせている。アヘドは「彼らは真実を恐れているのです。もし彼らが間違ったことをしていないのなら真実を恐れはしないでしょう。真実が彼らを怯えさせているのです。私はなんとかして真実を世界に伝えようとしています。そしてもちろん、彼らは私がどこまで訴えを届けることができるのか心配しているでしょう。彼らは常に、彼らが占領者であり、私たちが占領下にあるという真実を恐れています」

イスラエルには10代の少女を狙って逮捕したことは国家の自滅に繋がる行動だと信じている人々もいる。その一方で兵士の自制を称賛し、ナビサレの住人の挑発行為だと非難する人々もいる。

アヘドは兵士に平手打ちしたことに後悔はしていない。その兵士はその直前の衝突の際に彼女の15歳の従兄弟の頭をゴム弾で銃撃した人物であると彼女は信じている。

彼女は解放後にその従兄弟と再会した。彼は月曜日に彼女の家に来ていたが、彼の顔には恐ろしい傷跡が残されている。

中学生になる前から地元の英雄として見られるようになった彼女の名声には犠牲も伴っている。「パレスチナの人々の声を全世界に届けるために、パレスチナの運動の象徴になっていることを私は誇りに思っています。もちろん重圧もあります。実際大きな責任を感じています。ですが、私はそのためにここにいることに完全に自信を持っています」

現在彼女は少しの休息をとって、次の一歩を踏み出す決断をするまで監獄からの解放を享受したいと考えている。「やっと私はフェンス越しにではなく空を見ました。通りを手錠なしに歩くことができます。星も月も見ることができます。私は長い間こうしたものを見ていませんでした、そして、今は家族と一緒にいるのです」

しかし、彼女の22歳になる兄、ワエド・タミミは兵士との争いに巻き込まれて拘留されて判決を待っている。そして、衝突は全く収まる気配を見せていない。彼女に話を聞いた庭からはイスラエル軍の駐屯地と入植地を見ることが出来る。

「私は占領の被害者ではありません」とアヘドは言う。「ユダヤの人々、あるいは入植者の子供は15歳でライフルを持っています、私から見れば彼らこそが占領の被害者です。私は正しいことと間違っていることを区別することができます、彼らはそうではありません。彼ら自身の考えは曇っていて、彼らの心はパレスチナ人に対する憎悪と蔑みで満たされています。私ではなくそうした人こそが被害者なのです。私はいつも言うのですが、私は自由を求めて戦う者です。ですから被害者になることはありません」

0 件のコメント:

コメントを投稿