If the novichok was planted by Russia, where’s the evidence? | Simon Jenkins https://t.co/tb8HwLf0OP— The Guardian (@guardian) July 5, 2018
誰もウィルトシャーの神経剤事件の手がかりをもっていないが、最も動機がありそうなのはウラジミール・プーチンを困らせたい人ではないか。
The Guradian
Simon Jenkins
Thu 5 Jul 2018 17.39 BST
私は、ウィルトシャーで4人に神経剤を浴びせた犯人について手がかりを持たないで生きている唯一の人物のようだ。ロシア人だけがこの毒物に近づくことができると言われている。しかし、この毒物、つまりノビチョクとして知られる神経剤については、この事件現場から偶然にも近所にあるポートンダウンの英国国防省の国防科学技術研究所でも多くのことを知っているだろう。繰り返すが私は何か手がかりを持っているわけではない。私は、クレムリンがセルゲイ・スクリパリとその娘のような元スパイを誰かの邪魔をさせないために抹殺しようとする理由はわかるような気がする。しかし、なぜ彼が亡命してから最近までずっと待っていたのだろう、そしてなぜロシアで行われているワールドカップのようなイベントを政治化する必要があったのだろうか?
事件発生から4ヶ月経ってスクリパリ親子は「安全な場所」で連絡不能になってしまっている。彼らからの言葉が聞かれることは殆ど無い。テリーザ・メイはロシアを非難し続けている。彼女はこの事件を「破廉恥で卑劣」だと言い、英諜報機関MI5は「国際規範に重大に反するもの」と非難した。しかし、誰も手がかりを提供できない状態でこの事件を決めつけて外交関係やその他の問題を見ることはできない。
そしてこの犯人(たち)は、なぜエイムズベリーの住宅街でスクリパリに無関係なカップルを殺そうとしたのか、疑問は更に不可解になった。仮説を挙げていけば楽しいものですらある。このカップルは8マイル離れた前の事件現場の近くで化学物質を拾ったのだろうか?新たに起きた事件は前の事件から注意を逸らそうとしているのだろうか?ノビチョクは何処の街角でも馴染みの売人から買えるものになったという困った話がこの事件で明らかになったのだろうか?あるいは、被害者の1人、チャーリー・ロウリーにはポートンダウンの研究所に仲間がいるのかもしれない。その誰かが見せびらかしたか、パニックを起こしたか、完全におかしくなったのかもしれない。いったい誰にわかるというのだろう?
私はこれらの疑問について何の答えも持っていないので、政治的圧力の脅威と戦う必要は特に感じていない。私は手を洗わずに自宅前のドアを開くことができる。私は安全で穏やかにウィルトシャーを訪れることが出来るし、ソールズベリー大聖堂の尖塔に感嘆することもできる。私は、2002年に発掘された青銅器時代のエイムズベリーの射手(彼の死因は骨の病気だったと科学者によって明らかにされた)の謎について楽しむことが出来る。知らぬが仏である。
このことは政府の閣僚たちには当てはまらない、彼らの場合は無知であることが沈黙の十分な理由にはならない。内務大臣のサジド・ジャビドは「ロシアは国家として何が起こっているのか説明を申し出る」時が来たと発言した。内務省のセキュリティ担当大臣のベン・ウォーレスは、ロシアが「ノビチョクを開発し、暗殺計画を探った過去があり、動機、形式、国家の方針が揃っている」ことから早期に同じ結論に達したとしている。
ジャビドは「非常に高い確率で」ロシアに責任があるとし、「ロシアに怒りを感じている。彼らは極めて毒性の高い武器を使う選択をした」そして「説明を申し出る」べきであるという話をした。モスクワのロシア政府が強く関与を否定している以上、ロシア人がどのように「説明」するかを見るのはありえないことだろう。
スクリパリに対する毒物攻撃から3ヶ月が経って、閣僚たちは自分たちが発した非難についていくつかでも証拠を示すことができたのだろうか?愛国主義的な重要性を持つ巨大スポーツイベントがロシアで行われる準備をしている最中に、ロシア政府が異国の地で暗殺事件を起こす動機が私には見えてこない。
もちろん、フリーランスや民間の暗殺業者がクレムリンの指示で多くの除去作業を行ってきた可能性は明確にあるだろう。しかし誰がそれを知っている?この攻撃で最も動機がありそうなのはロシアの大統領ウラジミール・プーチンを困らせたがっている人だろう、つまり彼の友人や雇い人ではなく、敵の方だ。しかしもう一度言うが、私たちは手がかりを持っていない。
最近の国際政治のよこしまなやり方だけが私たちには見えている。私たちはニュースに対して判断を競って急ぐのを目にする。私たちは殺人事件やテロ事件が、政治的に先手を取ること、あるいは軍事的な優位性をとることに利用されているのを目にしている。閣僚たちはコブラの住処に足を踏み入れている。ソーシャルメディアも間違ったニュースも武器にされている。それはスポーツイベントも同様だ。
スポーツが最もたちの悪いものと言える。「政治はスポーツから離れているべきである」という嘆願は、政治から腐敗と欺瞞の排除を要求するのと同じくらい望めないことだ。まさに「国際」大会という言葉はスポーツと政治のための言葉である。なぜ政治家たちは税金でスポーツ大会を祝福するのか?プロイセン王国のカール・フォン・クラウゼヴィッツに言わせれば、そうしたイベントはある意味で戦争の延長に他ならないという。先週末、英国のタブロイドがドイツのワールドカップからの敗退を歓迎した時の下品な喜びようを見るべきだろう。
国際スポーツ大会に出席する国の政治家や国家首脳はその出席が政治的立場と無関係であると装うことはできない。それはロシアが自己祝福のために主催するイベントだとしても同じことだ。従って、ウィルトシャーの事件によってテリーザ・メイがワールドカップをボイコットする方向に圧力がかかった(彼女が元々は出席するつもりだったとして)のは当然のことだ。
これは実際は簡単なことだ。私たちはノビチョク事件について少しの証拠もなしに問題を抱えた気になっているが、この犯罪はいち地域で起きた殺人未遂事件として扱うべきものである。この事件は世界規模の権力争いや政治的な示威行動、ペナルティキック戦からも切り離され、ウィルトシャー警察とそのアドバイザーたちが扱う事件のはずである。
もし最終的にこの毒物事件にモスクワの関与が示唆されるものが何もないとしたら、政治家たちは更にバカを見ることになる。もし実際にロシアの関与があるとしても、義憤に燃えるのはそれが証明された時の話になる。それまではテニスをお勧めしよう。
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