2018年7月8日日曜日

あなたの会社の文化は固有のものではない


心理学者アダム・グラントは、「会社の文化に適合する」人物を採用することは、長い目で見てその会社のビジネスを傷つけることになると話す。


Recode
Eric Johnson
Jun 30, 2018

心理学者で経営学の専門家であるアダム・グラントは多くの企業に招かれて足を運び、アドバイスをしてきた。その経験から彼は明確なテーマに気づいたようだ。

「私が訪れたほとんど全ての会社で『我々の企業文化は固有のものです!』という言葉を聞きました」とうグラントはカラ・スウィッシャーがホストを務める Recode Decode の最新エピソードで話している。「私は言うのです『どのように固有だと?』、そしてその答えもみんな同じです」

「『社員は私たちの価値を本当に信じています、私たちが社会を動かすと考えているのです。ですから、私たちは使命に対してここまで情熱的なのです!』という話を聞きます」と続ける。「素晴らしいことです。ですが、ほとんどすべての会社がそうなのです。『私たちは社員の働き方に特別な柔軟性を与えています』『私たちの会社では他の会社にないあらゆる種類の手当が出ます』『私たちは他の会社とは異なり誠実に運営されています』。こうした陳腐な言説が何度も繰り返されているのです」

企業同士が競合他社とどの程度類似しているのか知らないでいる可能性は面白い話だが、深刻な問題だとグラントは言う。経営者たちが、自分たちには企業文化を鍛錬する特別な才能があるのだと考える時、この信念によって「学びの扉は閉ざされる」という。

彼はまた、会社文化に共通する話題として「問題ではなく、解決策を持ってきてきて欲しい」と言う経営者の存在があるという。

「私はなぜ経営者がこのようなことを言うのかはわかります」とグラントは言う。「彼らは社員たちに建設的になって欲しいと考えているのです、泣き言や不平ばかり言っていて欲しくないと。しかし私は、仮に社員たちが上司に解決策だけを話すような企業文化が作られた場合、1人の人の手に余る大きな問題について、社内で誰も聞くことがなくなると思います」

グラントは「文化に合う」かどうかに基づいて社員を採用することの問題も説明する。データ駆動型経営科学の価値を信奉している立場として、彼は、こうした採用方法の実践は長い目で見て「非常に恐ろしい結果」に繋がると話す。

「創業者が『文化に合うかどうか』という考えについて熱心である会社は、失敗の可能性が低く、IPOまで行く可能性が高い」と彼は言う。「しかし、その後成長が遅くなります。なので、公開後の年次時価総額の伸びが遅くなるのです」

奇抜な発想を持った新興企業が「文化に合う」かどうかで、世界を変える可能性のある企業の使命に情熱を持った人を雇うのは有効だろうとグラントは言う。しかし、その後そうした会社は自分たちに似た人を雇おうとするようになるのだと言う。

「最終的には似たような人たちを集めることになるのです。なぜなら『文化に合うかどうか』という尺度は結局は、『あなたは私に似ていますか?』『私はこの人と長話したいだろうか?』というものになるからです」と彼は言う。「最終的に出来上がる同種の人々の素敵な集団は集団思考の禍に陥り、外部からの刺激に簡単に混乱し、革新性や変革に問題を抱えるようになってしまいます」

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