2018年7月9日月曜日

気候変動の否定はアメリカ例外主義の現れ


友人たちよ、アメリカは既に偉大だ、少なくとも気候変動を否定した時点で


Earther
Brian Kahn
May 9 2018

今週 Nature Climate Change に発表された新しい調査では、気候変動の基礎科学を否定することについて、アメリカが孤立していることが示されている。科学者たちは世界25カ国の人々を対象に調査し、アメリカのように気候変動の否定が政治力による説得と密接に結びついている国は他に存在しないことを明らかにした。

調査した科学者たちがこれについて実際そう悪いことではないというのは、人々が科学を拒否することや温室効果ガス排出量の削減に反対する保守的なイデオロギーが生まれ持った本質ではないことを意味しているからだという。

以前アメリカで行われた調査では、気候変動の否定が最も強くなるのは、保守的で「階層的個人主義」のイデオロギーに分類される人たちの間であることが示されている。この人たちはアメリカ愛国主義の象徴とされるガズデン・フラッグを好むタイプの人たちである。この考察によれば、伝統的な権力構造と個人の自由を好む思考が気候科学を受け入れるかどうかに影響を与えていることになる。基本的に気候変動に疑問を呈するのは受け入れることよりも簡単なことだ。なぜなら、気候変動を受け入れるということは、地球の共同資源を保護するために誰かの指示に従って活動する必要性を認めることになるからである。

このパターンが世界中の他の国々でも成り立っているのかどうかを判断するために、オーストラリアのクイーンズランド大学の科学者たちは、先進国と発展途上国両方で5,325名を対象にオンラインで調査を行った。質問で彼らのイデオロギー、政治的信条、陰謀論を信じているかどうかを調査した。そして、気候科学についての見解を聞いている。

この結果は、各国に気候変動を否定する人がいることを示すと同時に、アメリカが本当の意味で特殊であることを示している。

「このデータはアメリカでは他の国と比べて、保守的なイデオロギーと気候変動懐疑論との関係が並外れて強く、一貫していることを表している」と調査を担当した科学者が記している。

保守的な政治信条を持つ人々は、アメリカほど顕著ではないにしても、オーストラリア、ブラジル、カナダでも気候変動の否定に寄る傾向を見せている。中東の産油国を別にすれば、オーストラリア、カナダ、アメリカは世界でも1人あたりの温室効果ガスの排出量が最も高い国々である。森林伐採を考慮に入れると、この中にブラジルを加えることも可能になる。科学者たちは、こうした国々では気候変動の否定と保守的な政治信条、個人主義、階層的イデオロギーとが強く関係していると分析している。この分析では、1人あたりの温室効果ガスの排出量が高い国の市民は全て「気候変動に関わる既得権益」を持っていると考えることは理にかなっているとする。

その中でもアメリカが目立っているのは、石油業界が政府の最高レベルで公衆と政策立案者に影響を与え、科学に疑問を呈して気候変動への対応を遅らせる努力をしてきたことによる。

「この反科学キャンペーンは政府の全てのレベルに渡る共和党のエリートたちを標的にしたもので、保守的な大衆や会社に気候変動を信じさせないことに成功しました」とカリフォルニア大学のサンタバーバラ校の政治科学者リア・ストークスが Earther にメールで伝えてくれた。「石油業界はこのキャンペーンで変化を防いで彼らの資産を確保し、アメリカの気候変動対策を滞らせることに成功したのです」

このキャンペーンは極めて効果的だった。私たちは今日、気候変動を公然と否定しパリ協定からアメリカを脱退させる意志を示した大統領を抱えている。しかし同時に、気候変動を人間が引き起こしていることを受け入れる穏健な共和党員の数が過去1年で目立って増えているため、私たちは基礎的な科学について延々と言い争って完全な破滅に陥ることにはならないかもしれない。

もし望むのであれば、この研究自身も楽観的な見方を示しているところを見ることができる。科学者たちによれば「少なくともこれらのサンプルの中では、気候変動については自身の利益によって評価されていることが多く、自身の世界観に適合する結論に達して欲しいという邪悪な願望によって評価されているわけではないことは、楽観的になれる可能性がある部分である」とする。少なくともアメリカ以外の国ではそうだという。これはつまり、アメリカ以外の国の政治政党が突然気候変動を否定する事態にはならないことを意味する。

そして今、歴史上世界最大の温室効果ガス排出国であるアメリカで、私たちはこの行き詰まりを打破することができるのかどうか…

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