2018年7月12日木曜日

あらゆる気候現象が緊急事態になるのかもしれない


2週間に渡る前代未聞の大雨が日本を襲い約200人が犠牲になった。気候変動はこの地域に備えがなかった理由の一部である


The Outline
Caroline Haskins
JUL 11 2018

6月28日に日本で降り始めた大雨は弱まることを知らず、日本の南部に二週間に渡り降り続き少なくとも176人が犠牲になった。8億4700万立方フィートの水が同地域に氾濫し、およそ2000戸の家屋が破壊された。最も酷かった場所では70インチ、つまり6フィート近くの雨量があった。そして7月9日、ちょうど雨が止んだ頃に数千平方マイルの地すべりが西日本各地で起こり、176人の死者のうち100人以上がこの犠牲になった。

日本でのこの洪水は気候変動が危険な脅威を引き起こすとき何が起こるのかという悲劇的な例となった。しかし、(少なくともこの雨が降り始めた時までは)台風やハリケーンのような同等の気候現象に慣れていない地域では豪雨は必ずしも緊急度の高いものではなかった。国としてはこの気候現象がここまで過激なものになると予想する理由はなく、この雨に適切に対応する緊急対応の仕組みが存在していなかった。天気予報は比較的穏やかな過去の歴史の情報に依存してるいる以上、気候変動がによって予期せぬ結果を招く可能性は常に高くなっている。

昨年アメリカ気象学会の会報に掲載された記事によれば、気候変動による気象現象は悪い結果を引き起こす可能性があるものだが、基本的には普通の気象現象であり、それが過去に無かったレベルのものになることで過激な気象現象とされるのだという。今回の日本の豪雨と気候変動との関係については今後更に研究が必要になるが、私たちは気候変動によってこうした集中豪雨が更に酷く更に頻繁に起こる可能性があることを既に理解している。

日本の首相官邸と防衛省は数日間、嵐の様子を見ながら動こうとせず、7月8日、つまり地すべりが起きる前日まで、緊急災害への対応を急ごうとはしていなかった。

集中豪雨は太平洋を取り巻く地域では一般的な現象である、しかし日本はそうではない。この地は地震と津波には襲われるが気候の穏やかな地域であり、集中豪雨は必ずしも常に真剣に受け止められるほどの脅威ではない。ある匿名の日本の気象庁の職員はBBCに対し「私たちはこれまでにこんな雨を経験したことはありませんでした。唯一比較できるのは1983年に日本の南部で豪雨が洪水を起こし、112人が無くなった事象でした。35年前の出来事というのは常に警戒を要する基準になるほど頻繁なものとは言えません」

温室効果ガスが大気中に熱を蓄えている場合、その行き先は3種類に絞られる。そのまま空気中に留まるか、植物に吸収されるか、海洋に吸収されるかである。熱くなった空気の大きな一貫した流れか、あるいは、熱い空気が大気中に持ち上げられる過程で雲が作られる。それ故に、気候変動によって雨が頻繁に降るようになるだけでなく、超強力な熱帯性の雨が頻繁に降るようになり、それは日本のように集中豪雨がよくある地域ではない場所でも起こり得る。

今回の災害で最も被害が大きかった場所の1つである広島では、過去にも地すべりの被害が起きている。2014年には特に悲惨な地すべりが起き77人の命が奪われた。しかし、この災害の被害は局所的であった。広島に住む匿名の気象関係者は毎日新聞に対し「今回のように広い地域で同時に起きた災害は経験したことがない」と話した。簡単に言えば、この規模の災害は過去にないものだった。2014年の出来事は広島だけで起きたものだった。今回の一連の地すべりは日本の13の地域で一斉に発生している。2016年にコロラド大学ボルダー校の科学者たちは、気候変動によって北東部の強力なブリザード・ジョナスの通り道が広がり、それによって想定よりも広い範囲に雪を降らせることになったという仮説を立てた。同じように日本でも極度の豪雨が一箇所ではなく国土の半分で襲われることになったと考えられる。

日本の気象庁には578億ドルの予算が充てられており、資金不足で予測が稚拙であるということではない。しかし、気象学は過去のデータから気象を考えるものである。前例がほとんど存在しない場合、それが現在起きると予想する理由もほとんど存在しない。災害に対する備えも同様で、政府は過去の対応の何が機能して何が機能しなかったかに基づいてどう対応するかを検討する。文字通り全く前例のない規模の現象に直面した時、彼らは何をするのだろう?

毎日新聞によれば、日本の気象庁は雨が振り始めて約一週間が過ぎた7月5日になるまで、この雨が記録的な雨量になることを認識していなかった。その結果、日本の政府はその日の遅くになるまで、既に氾濫した地域の15万の人々に避難を義務付けていなかった。老人、病気の人、経済的に困窮している人のような弱い立場の市民たちにとって避難をするには遅すぎる時間だった。その時以来、避難を推奨される人々は200万人にも上っている。

気候変動による災害の危険性の大きな部分は、政府の腐敗、非効率性、力不足に突き当たる事態に及ぶ可能性が高いことである。災害が発生するとこうした脆弱性が全て明らかになる。しかしそれでも死亡者数の多さが常に政府の腐敗によって齎されるわけではないと考えることは恐るべきことである。過去に真実だったことが、現在はそのままの真実ではなくなり、未来に於いては真実ではなくなる。有能な科学者や指導者にとっても信じられないくらい困難な事態に直面している。

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