2018年1月13日土曜日

ソーシャルメディアでの攻撃が良くないのは学術界でも同じ


学問とは協力して行うもので競い合うものではない。それなのになぜ一部の研究者たちはお互いの足を引っ張り合うのに熱心なのだろうか?


The Guardian
Anonymous academic
Fri 12 Jan

私は常に学問の世界というのは協力し合うものであるべきだと考えています。現実世界の問題を解決するために研究者のチームメンバーが額を寄せ合って新しい発見に協力し合うというのが理想だと思います。私はPhD課程を修了した後、学問の世界でも助成金や仕事を巡ってお互いに競い合うことが多いのだということを認識しました。それでもなお私は失敗した経験を共有することが私たちを結束させているということに楽観的に考えていました。ところがオンライン上での最近の経験から、それは実際のところ犬が犬を喰らうようなものだと実感したのでした。

この年の初めに、私は自分の研究に基づく本を出版したのですが、これは一般の読者向けのもので、私の学術研究の仕事の収入の足しにすることを目的としたものでした。出版から数ヶ月後、私は私自身も参加しているある学術グループのFacebookのページをなんとなくスクロールしていて、私の名前が投稿されているのを見つけました。それは若い研究者からのもので、私の本について公然と「役立たず」だと宣言しているのでした。別の研究者がそれに反応し、私の本の巻末に注がついていないことについて攻撃を始めていました。それは極めて非学問的な見解で、そこから私に対する個人攻撃につながっていました。

私の本をきちんと読んだ人は誰も居ないようでした。巻末には注のページがあったのですが、そこにポストしている人たちはみんな完全に見逃していたようで、その事実がこの公のフォーラムでの苦情を止めることにはならならないようでした。更に私個人に対する攻撃になり、彼らのプロフィール写真を見る限り若い研究者によって書かれた私に対するいじめ性質のポストが増えていきました。

学問に議論というのは不可欠で、会議やシンポジウムでは経験豊富な学者が若い同僚たちと考えをぶつけ合うものです。会議で質問を受けることは自分の議論の中の欠陥を見つけることや自分の言いたい意見を強化する方法を見つける上で信じられないくらい役に立つ手段になりえます。しかし、議論というのは事実に基づいた真実とその合理的な評価を前提にする必要があるもので、やかましく大きな声で騒ぎ立てるようなものではありません。

これはオンラインのソーシャルメディア上の学術グループにも当てはまることです。特に公開フォーラムは実際の会議よりもさらに公なものと言えます。毎日使っているソーシャルメディアのセキュリティの感覚に惑わされてしまっている若い学者たちは注意して議論をするべきです。あなたは見ている人を惹き付けるかもしれないし、みんなあなたに同意してくれるかもしれない、しかし同時に何かを間違って理解していることが先輩の研究者たちを含む人々に晒されてしまうリスクも負っているのです。

それにも関わらず、一部の研究者たちは仲間の研究者の仕事を全部きちんと読んで熟慮する前にFacebookやTwitterでコメントをすることを急いでいるように感じるのは何故でしょうか?学術界が雇用不安に陥っていることが競争的な態度を育んでしまっているのかもしれないということを私は心配しています。

多くの研究者が財政的に問題を抱えていることは知られているにも関わらず、研究者たちが資金をなんとかやりくりするためにするような仕事について聖人ぶって見下すような態度をとる人たちがいることもわかってきました。私の場合は一般の読者向けに書いた本をまるで学術論文であるかのようにこき下ろそうとした人たちがいたのです。同様に私は興味深い研究内容の売り込みに成功してメディアの仕事でお金をもらえるようになった若い2人の研究者を知っていますが、彼らと近い年齢と経歴の研究者たちの中には負け惜しみのような形で彼らの学術的な実績を否定しようとする人たちがいます。

経験ある学者が会議で院生の応答があまりに酷いので涙を流したという話は誰しも聞いたことがありますが、実際のところそれが起こったのを見た人は殆どいないのです。私の経験上、成熟した学者たちは若い研究者や新しい研究者に対して協力的なものです。一部の若手研究者たちがそうした親切さに応えることができないならば残念なことです。もしインターネット上の私に対する攻撃が学者としての地位を確保したいがためのことならば、私は彼らに周囲の人を弱らせるのではなく育てることを学んで欲しいと思います。協力と専門的なサポートは学術の世界全体の助けになるものです、しかし嫉妬と出世欲にまみれていることは邪魔にしかならないでしょう。

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