2018年1月9日火曜日

科学的に見た創造性の秘密


準備が鍵です。


Science Alert
VALERIE VAN MULUKOM
5 JAN 2018

ファン・ゴッホの書いた「星月夜」やアインシュタインの時空連続体の理論に魅了されるかどうかは別としても、これらのものが驚くべき創造性から生み出されたものであるということには同意してくれるでしょう。想像力は私たち人類を種として前進させるものです。それは私たちの世界を広げ、私たちに新しい考えと発明と発見をもたらしてくれます。

しかしなぜ私たちの想像する能力は人によってこんなに差があるように見えるのでしょう?そしてより想像力豊になるために自身を鍛えることはできるのでしょうか?その答えを別々ですが関連している3つの想像力から科学的に考えてみましょう。

創造的想像力( Creative imagination )


「創造的想像力」とは私たちが通常考える偉大なオペラを作曲するとか革新的な何かを発明するとかそういうものです。これは日常的な創造性、例えば家庭内の問題を解決する時や手芸工作をする時に使う想像力とは異なるものです。

創造的なインスピレーションというのはよく知られているように捉えにくいものです。創造性を鍛える、あるいは自身に創造的な状態を引き起こすことは長い間多くの芸術家や科学者たちの目的とされてきました。

そういうしたことは可能なのでしょうか?私たちは一部の個人が他の人たちよりも創造的な個性を持っていることはわかっています。しかし、研究によると創造的想像力は私たちの周囲の環境やあるいは多大な努力を通しても増大させることができると考えられています。例えば、実験研究の結果では、創造的な作品に関わるか、または極めて創造的な人を見た子供たちは、自分たちもより創造的になるのです。

創造的想像力には2つの段階があります。まず「発散思考」とは、主要な問題や論題に漠然とでも関係するすべての様々なアイディアを広く思考する能力のことです。これは素早く自動的に思い浮かぶ直感的な思考に支えられている傾向があります。その次に必要になる「収束思考」はそのアイディアが主要な問題や論題について役に立つのかどうかを評価するのを助けるものです。これはゆっくりと慎重に正しいアイディアを選ぶために分析する思考力によって支えられています。

なのでもしあなたが傑作を描きたいと思うなら、友達とブレインストーミングをたくさんするか、創造的な思考や著述の授業を受けることが新しいアイディアを思いつくことに役立つかもしれません。

しかし、そのことは良いアイディアを選択する助けになるとは限りません。研究によるとそのために最初に必要なのは挑戦と経験であると言われています。長い時間をかけてその分野で努力と思考を続けて問題について学ぶこと、そして重要なのは多くの失敗を経験すること、そうすればその分だけ直感的に良いアイディアが思い浮かぶようになり、その中から分析的に正しいものを選ぶことができるようになるのです。

それ故に創造的な成功のためには創造意欲を掻き立てる何かを探すことはそう重要ではないのです。細菌学者のルイ・パスツールは「幸運は用意された心のみに宿る」という言葉を残しています。これは芸術にも当てはまることで、パブロ・ピカソは「専門家のように規則を学べ、そうすれば芸術家のようにそれを破壊することができる」というアドバイスをしています。

幻想的想像力( Fantastical imagination )


多くの人にとって、あるアイディアに完全に没頭することができる能力は創造的なプロジェクトを完成させるための鍵となるものです。そのためには科学者が「幻想的想像力」と呼ぶものが必要になります。これはおそらく空想的な傾向と想像に熱中することから導かれるものです。これらはあなたの高度に鮮やかで現実的な幻想を持つための才能と想像上の世界への没頭の度合いを表しています。

しかしながらこの幻想的想像力を持つことは白昼夢を見がちになったり日常的な義務から気が散るようになったりして、一見すると望ましい能力のようには見えないかもしれません。幻想的想像力はトラウマ的な出来事に対する反応として現実から逃れようとする意識によって増加する傾向があるという、暗黒面と言うべきものですらあるのです。

しかし、もちろん良い面もあります。子供の頃に幻想に没頭することは、創造的想像力、話をする能力、視点を変えて見ること、こうした能力を発達させることに関係しています。大人にとっても記憶力、問題解決方法の構成力、企画力を改善することの助けになるかもしれません。

そしてこの能力も増大させることが可能なものです。研究によれば何かの振りをして遊ぶことや、ごっこ遊びを親に奨励された子供たちは後の人生でより高度な幻想的想像力を発揮するとされています。始めるのに遅すぎることはありません、大人でもアマチュア演劇の俳優たちはより高度な幻想的想像力を持っているのです。


挿話的想像力( Episodic imagination )


「挿話的想像力」とは幻想的想像力に近いものですが、私たちが心のなかで見ているのもを具象化する時に、想像上の(意味論的な)細目ではなく、実際の(挿話的な)記憶の細目を主に利用するものです。

これは人々が歴史から異なる結果を想像し過去の失敗から学んで未来のために準備をすることの助けになるものです。これまでに行われてきた小規模な研究によると、未来を想像する時に視覚化の能力が高い人はより感覚的に詳細なものを経験することができるとされています。

さらに、何年もの間自己啓発本が「想像せよ、そうすれば実現する」と言い続けていますが、これは本来しなければならないことと事実上反対のことを言っています。逆説的に言えば、未来のための最善の準備は、将来望む出来事の結果ではなく経過を想像することです。ある研究によると、望むような結果(次の試験で良い成績が取れる)を想像していた学生は、望むような結果に至る課程(徹底的に勉強すること)を想像していた学生よりも圧倒的に成績が悪かったとことを示しています。このことから新年の目標に据えるべきことが見えてくるのではないでしょうか?

私たちはみんな様々な程度の想像力を持っていて、それなしの人類を想像するのが難しいほどです。なので、あなたが書きかけた小説がどこかにあるならば是非挑戦を続けて下さい。創造性を高める方法はたくさんあります、遊ぶこと、鍛錬すること、そして経験することが不可欠です。こうしたことはあなたをより賢明にしてくれるでしょう。

アインシュタインがこう言っています、「真の知性の証とは知識ではなく想像力である」と。

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