2018年11月7日水曜日

MacBook AirにはFace IDとノッチが必要だ


己の心を探れば、それが正しいことを知っているはずだ


The Verge
Chaim Gartenberg
Nov 6, 2018

先週MacBook Airがが帰ってきた。Retinaディスプレイ、Touch ID指紋認証、AppleのT2セキュリティチップを搭載した新しいMacBook AirをAppleは「他のどんなノートブックと比べても最も安全な起動が可能なもの」だと呼んでいた。これはなかなか興味深い言葉の選択だ、何故ならAppleはこの直後にiPad Proを発表した時、Face IDを「どんなタブレットやコンピューターよりも安全なもの」だと呼んでいたからだ。おそらくこれはこの超安全なMacBook Airも含めての話だろう。

これは気まずい瞬間だった。Appleは新しいMacBook Airの安全性を自慢しておきながら、ほんの数分後には近い価格帯のiPad Proに比べて時代遅れで脆弱だと自分で宣言してしまった。何故AppleはFace IDをMacに搭載しないのだろう?

この理由になりそうなものはいくつも存在する。その1つは単純にサイズの問題だろう。Face IDのセンサー群はAppleが作り込むラップトップのディスプレイに対して厚いか広いのかもしれない。あるいはFace IDにはコストがかかり過ぎるということかもしれない。しかし、Windows搭載のライバル機では独自のIR顔認識カメラが搭載されているものも存在することを考えれば、Appleもどうにかすることができたように思える。この論拠に立てば、Appleの最新で最も優れたMacBook AirはiPhone XS、XR、iPad Proという自社のモバイルデバイスだけでなく、多くのWindows搭載の競争相手にも遅れを取っていることになる。

もしAppleが今回の新しいMacBook Airで本当の意味で業界を動かすことを考えていたなら、リスクを抱えたとしてもノッチ(iPhone Xのディスプレイ上辺にある凹み)をつけたはずだ。最後まで聞いて欲しい。我々は既に他のラップトップメーカーが限界までベゼル(ディスプレイの余白)を縮小させて、Appleの製品よりもベゼルを圧倒的に小さくしたものが存在することを知っている。MacBook Airがそういうものだった場合を想像して欲しい。2年前に作られたMacBookシリーズに追いついたと考えるのではなく、まさにiPhone Xのように他社を出し抜いてディスプレイ周りのベゼルを全て切り落としたものだったらと考えて欲しい。

もしそうであればmacOSの搭載機にノッチがあっても理に適っているだろう。Windows搭載機の競争相手の中には、Dell XPS 13やHuawei MateBook X Proのように、ディスプレイ上辺のベゼルを削減することを優先してカメラをディスプレイの下に配置したりキーボードのボタンに隠したりした不細工なものが存在する。(下からのカメラであなたの鼻毛を観察したい人は誰もいないだろう)。しかし、メニューバーの中にノッチをつければAppleは上辺のベゼル削減を諦めることなくカメラをあるべき正しい位置、つまりディスプレイの上に維持することができる。デフォルトで普遍的に存在するメニューバー(既にあらゆる設定で中央部分がデッドスペースになっている)とmacOS Mojaveで新しく導入されたダークモードのことを考えれば、ノッチの存在が気になるiOSの場合とは異なり、MacBookにノッチがついても既存のソフトウェア設計に完璧に適応する。各社のラップトップの見た目が似通ってきている今日、ノッチのついた次世代MacBookなら集団から抜け出すことができたかもしれない。これはiPhone XでAppleがとった戦略と同じだ、少なくともみんなが真似してくるまでは。

Face IDが今後もMacに搭載されることが無かったとしても驚くようなことではない。Macは既にAppleが最新の技術を投入する場所ではなくなっている。最近でもAppleのハードウェア及びソフトウェアの革新はiPhoneから始まっている。App Store、iMessage、Retinaディスプレイ、Siri、Touch ID、HomeKit、Face ID、タッチスクリーン・インターフェース、そしてユーザー・インターフェースの基盤までそうだ。さらにAppleはMacの革新部分をモバイル用 OS に由来させている。受け入れられているのかよくわからないTouch BarはwatchOSを作り直したものだ。

Appleは結局はこうした機能の殆ど全てをMacに持ち込んでいるが、現在Appleに於けるMacの扱いは後回しのようになっていて、革新のためのプラットフォームではなくiOSの機能が回ってくるのを待つ形になっている。来年以降MarzipanによってiOSのアプリケーションをMacに移植できるようにしてこのギャップを埋めようとしていることは、iOSからのプレッシャーをMacユーザーにさらに意識させることになる。AppleがMacのアプリケーションは既に十分な状態ではなく、iOSの方を重視していることを実質的に認めていることになる。

このことは新しいMacBook Airに問題があるということではない。Appleは旧MacBook Airを刷新し完璧に実用的なものを作り出した。しかし、このアップデートは余りにも時代遅れになっていたものを平均値まで持ってきたというだけのものだ。新しいMac miniと合わせて数年間更新されていなかった2種類のコンピューターが2018年の標準についに追いついたということだ。一方でAppleはタブレットの技術では毎年最先端を押し進めている。

AppleはiPadに夢中になっているようだ。iPadがAppleにとってコンピューターで可能なことを実現させる場所になっている。そしてそれが、まだ未来に向けて完全には準備ができていないハードウェアをソフトウェアが動かしているように見えるものだとしても、Appleは停滞して取り戻すのではなく、少なくとも自ら前に進もうとしている。

Appleはリスクを冒して大胆に情熱を持ってMacBookを再度前線に出すべき時だ。そしておそらく、それはノッチを付ける所から始めることができるはずだ。

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