2018年11月30日金曜日

アメリカの自殺者数が過去数十年で最高を記録


自殺は稀なものではあるが、増え続けている


Vox
Julissa Treviño
Nov 29, 2018

アメリカでは自殺率がここ数十年で最も高くなっていて、公衆衛生上の脅威として更に注意が必要であるとされている。

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の報告によるとアメリカでは2017年には47,000人が自殺によって死亡している。自殺者は人口100,000人に対して14人となっており、100,000人に対して10.5人だった1999年当時よりも33%上昇している。

AP通信によれば、この自殺率は最近50年で最大である。今回のデータでは去年2017年に自殺で死亡した人は2016年よりも2000人増えていて、自殺は10歳から34歳までの人たちの間で2番目に多い死亡原因であり、中年世代の間では4番目に多い死亡原因になっている。

自殺の増加は平均寿命の短縮の原因になっている。報告によるとアメリカの平均寿命は現在78歳6ヶ月となっているが、2016年以来短縮傾向にあるという。

自殺率は上がっているが、自殺が世間に蔓延しているという意味ではない。私たちは何が普通であるかについての情報に非常に敏感になるため注意する必要がある。自殺は10番目の死亡原因で現在でも稀なものであるが、更に稀になるべきものである。

自殺の増加についてはまだ十分に分析がされていないが、CDCの以前の調査では必ずしも精神病とは関係していないようだ。2016年に自殺で死亡した人の半数以上は精神衛生に問題を抱えているとはされていない人々だった。

今年の夏に人気のあった作家でシェフだったアンソニー・ボーディンが自殺したとき自殺者の精神衛生についてVoxでもジュリア・ベルツが記事にしているが、調査によると自殺の大半は、人間関係、薬物使用、健康問題、仕事、金銭上のトラブルが関係したものだという。

アメリカの平均寿命短縮に寄与しているまた別な原因に薬物の過剰摂取(オーバードーズ)がある。2017年には70,000人以上の人々がオーバードーズで亡くなっている。2017年のこの数字はアメリカの歴史上、薬物のオーバードースで1年間に死亡した人数の最多を記録した。自殺と薬物のオーバードースが、特にアメリカの貧困層と中間層で平均寿命の短縮の原因になっていて、無視できない規模になっているという。ベルツが次のように記している。

研究者たちは平均寿命の短縮の原因の一部が「絶望による死」つまり、自殺、アルコール中毒、薬物のオーバードースによるものであると説明している。特にオピオイド鎮痛剤のオーバードースによる問題が白人の中年世代の間で増加している。

専門家たちは自殺の大半は防ぐことが可能だとしている。例えば調査によって銃の所持率が高い州では自殺率が高くなることが示されていることは、より厳しい銃規制法があれば自殺率を下げることができる可能性を示唆している。また、CDCは住宅政策や財政政策、そして「社会と繋がりを持つことを奨励すること」によって自殺を予防できる可能性があることを強調している。

「私たちはこの国の自殺予防について他の公衆衛生上の問題と同じ規模と熱意で取り組む必要があるのだと思います」とアメリカ自殺予防活動連盟のボブ・ターナーがUSA Todayに述べている。それができなければ「自殺による死亡者の数も、自殺願望を持つ人も増え続けることになると思います」

自殺というのは悲劇的で扱いにくい惨事であり、それが徐々に増え続けている。しかしこの傾向は変えることが出来る。兆候を見逃さずに、家族に自殺者がいるか、精神病の病歴はあるか、最近家族を失ったり、個人的な困難を抱えていないか、というような一般的な危険要素を認識することが重要である。このことはVoxのこちらの記事に纏められている。

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