2018年11月11日日曜日

何故元海兵隊員はカリフォルニアで銃を乱射したのか?


カリフォルニア州サウザンドオークスの銃乱射事件には多くの疑問が残されている


The Atlantic
Conor Friedersdorf
NOV 9, 2018

1999年にコロンバイン高校で銃乱射事件が起きて12人の生徒と1人の教師が殺された時は、銃乱射事件が小さなニュースになる日が来るとは想像もしていなかった。

コロンバインの事件から約20年が経って同じような規模の虐殺事件が起き、そして速やかにニュースのヘッドラインから消えていこうとしている。カリフォルニア州サウザンドオークスの大学生たちがカントリーソングに合わせてラインダンスをするようなバーで、12人の無実の人々が殺害され、犯人も死亡した。現場に最初に駆けつけたロン・ヘラス警部は応援を待つよりも勇敢にも飛び込んで犯人を制止しようとして亡くなった。木曜日の朝、まだ犠牲者の数がはっきりしていない頃、地元テレビ局のレポーターはまだその場に残っていた生存者に手慣れた感じで話を聞いていた。中にはこうした事件が起きることを想定していたと話す人もいた。

まだ犯人が誰なのか知られていなかった時、人々は動機について憶測を巡らせていた。不満を溜め込んだ従業員?嫉妬による犯行?オンラインによって過激化したイスラム至上主義者か白人至上主義者?精神病患者?木曜日遅くになってロサンゼルス・タイムズが「犯人は元アメリカ海兵隊の機関銃手で、彼は心的外傷後ストレス障害(PTSD)を患っていた」と報じた。彼はアフガニスタンで従軍した28歳だった。

2017年1月、サンディエゴ・ユニオン・トリビューン紙は2001年9月11日以降のどれかの戦争に従軍した退役軍人が8件の大量殺人事件に関わっていることを引いて「退役軍人は重犯罪を犯す可能性が高いのか?」という疑問を記事にしている。

この記事で専門家は、イラクやアフガニスタンの戦争に従軍した退役軍人たちがそれ以外の人々よりも暴力に陥る傾向があるという証明はされていないことを強調して、一般化し過ぎた結論に急がないように注意を促している。兵役から戻った圧倒的多数の人々は健全に生活している。

「全体としては退役した兵士が致命的な暴力を振るうようになるということはありません」と南カリフォルニア大学の心理学の教授で2013年にはこの件をテーマにした論文を発表しているショバ・スリーニヴァサンは話している。彼女は、ごく少数の退役軍人が戦闘の経験が原因となって暴力を犯すことがある可能性は指摘している。こうした人々は戦争に関連した心的外傷後ストレス障害というよりも、精神的または情緒的な問題を抱えていることが多いという。

「ごくごく僅かな割合でですが、戦闘の経験によって精神不安定を起こしている人もいます。それと、例えばドラッグやアルコールのような他の要素が重なって国内の暴力事件に繋がっている可能性はあります」

アメリカ海軍でサウザンドオークスの殺人犯と同じ連隊に所属していた牧師のトーマス・バークはCNNで彼らが経験した激しい戦闘について語っている。「PTSDが殺人を誘起しているのではありません」と彼は言う。「私たちは人々をできる限り暴力的になれるように訓練しているのです。その上で、彼らが家に帰ったら落ち着いて生活することを期待しています。これは精神病ではありません。私たちはその人たちに何かをしていて、その人達が必要とするものに応えていないのです」

そうだとして、彼らが必要としているものは何だろう?今回の殺人犯は大学に入学したが学位の取得に失敗したのだという。彼はこのバーの常連客だったと伝えられているが、もしそうなら彼はこのコミュニティを気に入っていたはずだ。彼は自宅では殺人を犯さないが「ある場所」に人を殺すために送られた少数の人の1人だったのか、あるいは、彼が家に戻った時に正確に何が彼の人生の流れを変えたのか、こうしたことに答えが見えない中、少なくとも戦闘の経験が彼を熟練した殺人者にしたということは言えるだろう。

今回の事件の要因が何であれ、アメリカが最後の手段としてのみ国外での戦争という手段を使うという試みを持続していたことも、海外に送られて戦闘に参加した兵士たちが戻ってきた時により多くの支援を行っていたことも、既に過去のことになってしまっている。

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