2018年11月26日月曜日

Appleがプライバシー保護を意識したAI開発のスタートアップ企業を買収


Appleが買収したSilk Labsは家庭用セキュリティ及び監視システムを構築するための機械学習ソフトウエアを開発している。


The Verge
James Vincent
Nov 21, 2018

AppleがSilk Labsを買収したと報じられている。このあまり知られていないスタートアップ企業はデバイス上で機械学習を行うソフトウエア開発を行う企業だ。

The Informationによると今年の初めに行われたこの買収はAppleのプライバシー保護を重視したAI(人工知能)へのアプローチに沿ったものだ。Silk Labsはスマートホーム市場への参入に失敗した後、デバイス上の機械学習サービスを開発していた。つまりこれはデータをクラウド上に送信しないで済むということであり、これはAppleが好んでいる方法である。

Silk Labsはテクノロジー業界であまり聞き慣れた名前ではない。この会社は元MozillaのCTOだったアンドレアス・ガルが創業者の1人に名を連ねており製品を1つだけ発表している。その製品はSenseという名前の「スマートホーム向けインテリジェント・カメラ及びハブ」だった。このハブ製品はスタイリッシュで良く設計されていて、温度計、スピーカー、カメラといったスマートホーム製品を束ねて繋ぐことを狙ったものだった。

このSenseは2016年2月にKickstarterに発表されたが、774人の投資家から15万ドルしか集めることが出来なかった。Silk Labsはその年の6月にこの製品を取り下げ(資金は払い戻された)、今後は他の企業向けのAIソフトウエアの開発に方針を転換することを発表した。

同社のウェブサイト(現時点ではまだ生きている)にはマシンビジョン技術を利用した様々なサービスの詳細が掲載されている。この中には監視システム構築、顧客分析、家庭用セキュリティ製品向けの人物検知や顔認識技術も含まれている。この会社のウェブサイトやソーシャルメディアでは、エッジコンピューティングと暗号化技術によって同社のサービスは競合他社のものよりもプライバシー保護に優れているものであることが強調されている。

AppleもAIの開発に関しては似たようなアプローチを取っており、膨大なデータを収集してクラウド上で処理するGoogle等のライバル企業とは差別化を図っている。Appleの重役の1人であるクレイグ・フェデリギは2016年に「私たちは顧客のデータを分析する場合には、そのデバイス上で実行して個人データはその人自身の管理下にあるままになるようにしている」と話している。

The Informationによると、Silk Labsの買収額は少額だったようだ。このスタートアップ企業は10数名程度の社員しかおらず、4百万ドルの資金調達を行っていた。The Vergeは現在この件についてAppleに問い合わせている。

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