2018年11月22日木曜日

iPodのクリックホイールはハードウェア設計の頂点


シンプルでわかりやすく、テクノロジーに馴染んでいない人も含めてほぼすべての人が使い方を理解して簡単に使うことができるものだった。


The Verge
Chaim Gartenberg
Nov 21, 2018

ハードウェアによる操作についてiPodのクリックホイールを抜きには語れないだろう。Appleがタッチスクリーンを使わずに小さな画面でリストをスクロール操作するという問題を如何にして解決したかについては既に多くが語られている。この技術はユーザーインターフェースの模範となり今でも活かされていて、小さな画面で長いテキストのリストを操作するためのインターフェイスという意味ではApple Watchのデジタルクラウンは現在のApple製品に生きるクリックホイールの直接の子孫と言って良いだろう。

しかし今回はiPodのクリックホイールについて、より具体的な話がしたい。特に第4世代のiPodで紹介されたボタンが統合された灰色のサークルについてで、これはおそらく人々に最も馴染みがあるものだ。

このクリックホイールはタッチスクリーンではないiPodのデザインの頂点に達したもので、Appleは小さなiPod nanoに搭載した時でもこのデザインを崩さなかった。シンプルでわかりやすく、テクノロジーに馴染んでいない人も含めてほぼすべての人が使い方を理解して簡単に使うことができるものだった。

だが、このクリックホイールで私が特に気に入っている部分はタッチスクリーンが全盛になってからは失われてしまったものだ。それは、見ないでも操作できることだ。

これは些細なことのようで大きなことだ。今のデバイスは私たちに定期的な目視を求めてくる、実際、そうしないと使うことができないのだ。スマートフォンから目を話していれば何の取っ掛かりもないガラスの板を当てもなくタップすることになる。AppleがiPhoneを最初に紹介した時、スティーブ・ジョブズはボタンがないデバイスはボタンを無限に持つことができるのだと説明した。しかし、それは一過性で、ユーザーが目で見ているときだけ存在するものだ。

クリックホイールはそれとは正反対だ。無限のボタンの代わりにクリックホイールには5つのボタンとダイヤルがあり、それは常にユーザーがわかっている所にある。ボリュームを上げる、曲をスキップする、再生する、一時停止する、これらすべての動作はiPodをポケットから出して画面を点灯させることなく可能だ。このことはiPodに注意を引き戻されることなく、人々の生活に音楽を追加することを可能にした。

クリックホイールの物理的な手触りもこのことに貢献している。クリックホイールはツヤのあるiPodの外装とは異なりツヤ消しの表面になっていて、外装と同様のツヤがあるセンターボタンと共に手触りで簡単に見つけることができる。私は今だに長時間の飛行機やバスでの移動中に仮眠をとる時にはiPodを懐かしく思う。目を閉じたままで好みの音楽を選んでリラックスすることができ、暗い中で巨大なディスプレイの光に照らされて目を眩まされることもない。

タッチスクリーンが悪いと言いたいわけではない。ジョブズの言うことは正しく、iPhoneは古いiPodよりもずっと機能的だ。しかし、聞く曲を変えるためだけにスマートフォンを凝視する時はいつでも、私たちが手放したものを懐かしく思わずにはいられない。

0 件のコメント:

コメントを投稿