2018年6月4日月曜日

Amazonが利用する運送会社が労働者の権利問題で訴えられる


英国の労働組織、GMB組合はギグ・エコノミー(一時雇用)の配送ドライバーたちに傷病手当と最低賃金の履行を求める


the guardian
Sarah Butler and Rebecca Smithers
Mon 4 Jun 2018

Amazonの商品を配送するドライバーたちはより良い雇用条件を求めて戦う構えを見せている。求めている条件の中には、傷病手当、有給休暇、国家指定の最低賃金の履行が含まれている。

月曜日、GMB組合はAmazonが利用している3つの運送会社で働く人たちのために法的措置をとることを発表した。これらの運送会社はそこで働く人たちを不当に自営業者として扱っていると主張している。

専門職のドライバー組合の代表は声明で次のように述べている。「ここで雇用されているドライバーたちはAmazonによって調整されたシフトに従って勤務することが義務付けられており、これは自営業者に不可欠な勤務の柔軟性を持っていないことを意味しています。この状況で、こうしたドライバーたちは勤務時間の観点から見て従業員のように扱われている以上、GMB組合は権利の観点からも従業員として扱われるべきであると強く主張します。」

今回のケースは一連のギグ・エコノミーに関する訴訟の中で、組合が、宅配作業員やドライバーたちを不当に自営業者として扱っていると主張して法廷闘争に持ち込む最新の事例となる。GMBは2016年にUberに対する訴訟で歴史的な勝利を収めている。そしてDeliveroo、Addison Lee、CityLinkを含むその他の運送会社とも係争中である。

このケースは弁護士事務所Leigh Dayが指揮しており、同事務所の雇用と待遇の専門家であるナイジェル・マッケイ氏は、今回の件には現段階で既に解雇された2人を含む7人のドライバーが関与しており、この数が増えることを期待していると話している。

ドライバーの1人は自身の経験を説明し、彼は朝6時に家を出て夜の11時に帰る生活をしていたとし、彼の勤労への「感謝の印」として、小包の不渡り一つにつき1ポンドを給料から差し引かれたという。また、もし決められたルートを完遂できなかった場合には給料は支払われないことを会社から何度となく言われており、彼は確実に給料の支払いを受けるために「半分寝ながら」運転していることもあったという。

ドライバーのうちの2人は内部告発が理由で解雇されたと主張し、職務慣行について懸念を表明したために役割を取り下げられたのだという。ドライバーに割り当てられる荷物の数が多すぎ、決められた時間内に目標を達成するために危険な運転をしなければならなくなっていること、また、ドライバーはバンに荷物を積み込むための時間をかなり長く待たなければならず、それによって勤務時間が引き伸ばされていたことを懸念として主張している。

GMBの職員、ティム・ローチェは次のように話している。「私たちの組合員の多くが、Amazonのために小包を非現実的な目標設定で配送して回っているというのが日々の現実です。目標達成できなかった時の天引きを恐れて一生懸命になって働いているのです。そして、自由になる余裕は与えられないのに、自営業者だと言われているわけです。」

「Amazonと彼らが使う運送会社のような会社というのは、従業員として雇っていることのメリットを享受しながら、従業員としての支払いと権利の付与を拒否するということはできないのです。」

「法定労働時間、有給休暇、傷病手当、年金の拠出は会社が偉そうに与える特権ではありません。こうしたものは英国の労働者が持つ法律で定められた権利であり、私たちは裁判所にこれを履行させるように求めています」

Amazonの広報は、Amazonと契約する運送会社は国定の最低賃金が確約されたドライバーを確保することを義務付けており、最低でも1時間があたり12ポンドが支払われ、全ての法律及び運転規則に従って安全に運転することが求められている、と話している。また、彼は「申し立てられている主張は、英国全土の配送ドライバーに数多の仕事を創出した約100の中小企業が実施した偉大な仕事に対する意見を代表したものではありません」と述べている。

また、彼は次のように付け加えた。「Amazonは英国全土で、フルタイム、パートタイム、自身で始める仕事など、幅広く雇用を創出していることを誇り思っています。昨年私たちは、人々が自身で独立して柔軟に働くことを選択する機会を何万も作り出したことを基盤に5000の新しい永続雇用を生み出しました。Amazon Logistics、Amazon Flex、Amazon Marketplaceを通してのものです。」

4月には、Next、Asos、John Lews、Topshop、River Islandなどの小売店の配送を受け持っている運送会社Hermesが自社の配送ドライバー8人との法廷闘争に入っている。同社はライバルの運送会社DPDが全てのドライバーに傷病手当と有給休暇の提供を開始したという圧力下にある。DPDでは糖尿病の治療のために病院に行ったドライバーの給与を天引きし、そのドライバーがその後倒れて死亡したという事件をきっかけに労働モデルを再構築している。

2016年にはライドシェアリングの大手Uberが、運転手たちは最低賃金を受ける権利を持った労働者に分類されるべきであるという判決を受けている。

Uberは運転手たちは自営業者であると主張して控訴し、昨年敗訴したが、再度上訴する構えを見せている。このケースは今年最高裁判所に上がる可能性がある。

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