Italy's refusal to allow more than 600 rescued migrants to disembark signals a bigger problem, @YasmeenSerhan reports: https://t.co/pvnp4BvrjN— The Atlantic (@TheAtlantic) June 18, 2018
イタリアが600人以上の移民を乗せた救難艇の入港を拒否したことはより大きな問題の警鐘である
The Atlantic
YASMEEN SERHAN
JUN 13, 2018
先週、ドイツのアンジェラ・メルケル首相は移民政策の合意ができなければEUは脅威に直面することになると警告していた。彼女の警告は極めて先見性の高いものだった。一週間後、イタリア沖に現れた600人以上の移民を乗せた救難艇の扱いを巡り、フランスとイタリアの間が外交危機に陥った。そして、この危機は更に悪いものになる恐れがある。
この話は週末に始まった。イタリアのポピュリズム政党と右派政党の連立政権の内相で反移民を掲げる政党「同盟」の党首、マッテオ・サルヴィーニは日曜日、リビアの海岸から救助された629人の移民を乗せた救難艇MSアクエリアス号がイタリアの港に接岸することを阻止すると宣言したのだった。救難艇は2つのNGO、国境なき医師団とSOSメディテラネによって操業されているものだ。このNGOの船舶がイタリアに近づいていることを知ったサルヴィーニはイタリアではなくマルタに向かうことを提案したが、マルタの政府も同様に入港を拒否したのだった。
幸いにも、123人の孤児と7人の妊婦を含む人々が乗船したアクエリアス号についての外交上の膠着状態は長くは続かなかった。月曜日スペイン政府が介入しバレンシアの港への安全な入港を許可することを申し出た。サルヴィーニはスペインのこの決断を、移民に対して厳しい政策をとる彼の政府の「勝利」であると宣言した。スペイン政府によるこの移民に対しての「人道的な振る舞い」は歓迎されたが、気候の悪化もあり彼らには更に4日間の航海が追加されることになった。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領はこの結果を快くは思わなかったようだ。フランス大統領は火曜日の閣議でイタリア政府による、救難艇をブロックするという「冷笑的で無責任な」決断を強く非難した。政府報道官によれば「もしフランスが救難艇から最も近い海岸だったなら入港させることができただろう」とマクロンは述べたという。
しかし、地中海を渡る移民にとってヨーロッパへの入り口となっているのはフランスではなくイタリアの港である。イタリア政府は直ぐに反論した。サルヴィーニは、フランスは移民の受け入れについて公平な負担を負っていないとし、正式な謝罪を要求した。「我々が、寛容さ、ボランティア精神、歓迎の気持ち、連帯感について誰かから学ぶものは何もない」と彼は議会で述べている。
外交対立は更にエスカレートし、イタリア政府はマクロンの批判の件で駐伊フランス大使をローマに召喚し、イタリアの経済相ジョバンニ・トリアはフランスの経済相であるブリューノ・ル・メールとの会談の予定を中止した。サルヴィーニは、金曜日に予定されているマクロンとイタリアの首相であるジュゼッペ・コンテとの会談も中止になる可能性があると警告している。
イタリアが救い出された移民たちを受け入れなかったことは、イタリアの新しい政権が述べてきた方針とほぼ完全に一致したものだ。本誌のレイチェル・ドナディオが先週指摘しているように、イタリアの新政権は、イタリア国民の移民と経済への懸念から大部分の支持を得てできたものである。イタリアは近年ボートで到着した数十万の移民への対応に苦労している。そして今、イタリア政府は、もう十分だ、と言い切ったのだ。
アクエリアス号の状況は現在は解決されたが、この件で浮き上がったEU内の軋轢は解決されていない。「こうした争いは難民危機をどう解決するかという問題よりも、もっと深刻なものです」とロンドンを拠点とするチャタム・ハウスの研究員で「National Populism, The Revolt Against Liberal Democracy(国家ポピュリズム、自由と民主主義への反乱)」の著者であるマシュー・グッドウィンは話してくれた。「この争いは、EU加盟国それぞれが持っている価値観に相容れない部分があることを反映しているのです。 … 欧州では、本質的に極めて保守的でリベラル勢力を押しのけて国家を守ろうとする新しい協力関係が存在するようになっています」
イタリアが全ての救難艇の入港を禁止してはいないことは注目に値する。937人の救助された移民を乗せたイタリアの海岸警備艇は水曜日にシチリア島の港への入港を許されている。このことはイタリア政府の新しい政策は国外のNGOの船舶にだけ影響を与えるものである可能性を示している。ドイツのNGOによって操業されるシーウォッチ3号と呼ばれる救難艇は数日前にイタリア当局によってブロックされている。「船の名前がアクエリアスでもシーウォッチ3でも何も変わらない」とサルヴィーニは言う。「我々はこの人間の往来を終わりにしたい。我々はアクエリアスについて問題を提起した以上は他のすべての船舶についても同様の措置をとるつもりだ」
グッドウィンは、EUが、EU圏内に入ってくる移民について責任を分担する方法を編み出すことができるまで、将来的に更なるアクエリアス号のような問題が起きることは避けられないだろうと話す。「アイデンティティ、国境、安全保障についての市民の懸念が、EUに対する考えに繋がるようになってきているのです」と彼は言う。「それ故に、この問題がEUにとって極めて重要なものになっています。EUが生き残るためにはこの分野で筋の通った効果的な政策を打ち出す必要があります。そうでなければ、より大きな反発を招く危険性があります」
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