2018年10月10日水曜日

「水質浄化法」の経済効果


水質の向上がもたらす健康上の利益の多くが経済的な分析で考慮されていない


EARTHER
Yessenia Funes
Oct 9 2018

水質浄化法(Clean Water Act)はアメリカを真っ当にすることに本当の意味で助けになってきた。実際、1972年から2001年の間に、アメリカで釣りができるほど綺麗な水がある場所が12%も増えている。この数字は今年9月に発表された研究論文によるもので、この研究はこの歴史に残る法律の成果をこれまでで最も包括的に取り上げている。更にその共同研究による論文が今週の月曜日に発表されているが、そこでは水質浄化法はコストのかかるものである現実が強調されていて、そのコストは利益を上回るかもしれないとされている。

しかし、このアイオワ州立大学とカリフォルニア大学バークレー校による2つの研究論文の費用便益分析は水質の浄化を規定することの重要な利益をいくつか見逃しているかもしれない。ドナルド・トランプ大統領が、高コストに見えることを理由にして環境規制を後退させている時だからこそ、この分野の費用便益分析の計算を正確にすることが重要になる。

現代の水質浄化法が1972年に制定されて以降、この法律で規定されていた殆どの汚染物質(主に糞便性大腸菌と工場排水)が減少している。論文では1962年から2001年の間にアメリカ全体で測定された5千万件の水質データを分析し「汚染物質が相当量減少している」という結論に達している。つまり理論上はこの法律は機能している。

しかし、この研究を主導したケイザー博士は、コストが利益を上回っているように見えることに気づいた。1960年以来、政府と産業界は水質汚染に対処するために1兆ドル以上を投資している。2つ目の論文では、過去20の水質汚染対策について評価検討を行い、かかった費用が利益の平均を3倍近くも上回っていることを指摘している。

この研究で示された20の分析のうちいくつかは政府によって資金が提供されている。それ以外はケイザーのような研究者からのものだ。こうした研究はすべて最終的に政策に影響を与える可能性がある。そしてそれが全体として水質の管理には価値がないように見えることが示唆されている。

これには問題がある。

「良い法律、良い政策というのは利益がコストを上回るものです」と、アイオワ州立大学の経済学の教授であり、この2つの論文の共著者の1人であるデヴィッド・ケイザーは Earther に対して話している。

同時にケイザーと彼の共同研究者たちは、今回の利益についての分析方法が殆どの場合に於いて脆弱であることを認めている。分析では政策の結果として汚染の減少する方法に注目しているが、彼らは人間の健康にどの程度利益があるのか、そして最終的に経済的にどういう意味を持つのかについては常に重視しているわけではない(私たちは公衆衛生の改善が経済を活性化させることを既に知っている)。

ケイザーと他の共著者たちの批評は理のあることである。水質浄化法や同様の規制である水質保全法(Waters of the U.S. rule)のような法律は明らかに必要なものであるが、ケイザーはより少ないコストで大きな効果をもたらすことが可能だと考えている。コストと利益の全体像を把握することは、目標を達成することの助けになる。

「(利益について)多くの分野が計測されていない可能性があるので、更なる検討が必要です」と彼は続けた。「汚染によって健康に影響がある場合は利益が大きくなります」

こうした健康上の利益はあらゆる水辺にあるコミュニティで大きくなる可能性があり、特に公害と劣悪な健康状態に悩まされている有色人種や低所得者の集まる地域ではその傾向が強くなるだろうとケイザーは話している。

こうした利点を考慮することで、環境を守るための規制法は人々が実感しているよりも価値の有るものであることが明らかになるかもしれない。

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