2018年8月18日土曜日

4億2千万年生き続けた魚も人間の欲望に抗えないのか


石油会社がシーラカンスの群生地で採掘を検討している


The Outline
Oscar Schwartz
AUG 17 2018

4億2千万年前、現在の七大陸はすべて繋がっていて、ゴンドワナランドと呼ばれる陸地を形成していた。そんな時代に、人間くらいの大きさで青く光るシーラカンスと呼ばれる魚は、深海の洞窟の中を腕にも似たヒレを使って泳ぎ始めたのだった。シーラカンスは深海の環境に完璧に適応していたので、ほぼ進化せずに5億年近くの長い間生きてきた。20世紀の半ばにこの魚が海から引き上げられたとき、古代生物のような見た目から研究者たちは彼らを「生きた化石」と称したのだった。

シーラカンスは長い時間安定して生きてきたにも関わらず、人類に存在を認識されてからそう長く経たないうちに数を減らし始めている。海に流れ込んでくる人間が作り出した汚染物質に素早く適応する能力を持たないためだ。2018年、シーラカンスの旅は終焉が近づくことになるかもしれない。それも少しの石油のために。



今週の初めに、イタリアの石油及びガス会社エニ( Eni )は南アフリカの東海岸から400km付近のいくつかの地点で深海油田の採掘計画を公表した。この計画された地域から40km以内の範囲に残り少ないシーラカンスの群れが存在していて、この古代魚が約30匹生息している。(国際自然保護連合によると、今日のシーラカンスの生息数は500以下と考えられている)

エニ社は「環境影響評価」(義務付けられている)を進めてきており、彼らが想定する石油の採掘がシーラカンスの群れに何らかの影響を及ぼす可能性は低いと話している。しかし、南アフリカの海洋保護区の拡張を求めて活動する団体 Wildtrust の代表であるアンドリュー・ヴェンダー博士は別な考えを持っている。彼は「石油汚染のように、シーラカンスの酸素摂取を阻害する可能性のあるものは何であれ、彼らの生存を脅かすことになる」とガーディアンに話している。

インド洋には他にもシーラカンスの生息地が広がっているが、世界的な物資需要が増大するに連れて、この古代魚の生存に必要な自然環境が残された場所は少なくなっている。1ヶ所の採掘地で石油が漏れるだけでも30匹の群れを破壊する可能性があり、世界に残された生息数からすると膨大な影響を与える。5億年近くこの地球上で生き延びてきた「生きた化石」を絶滅に一歩近づけることになるだろう。

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