イーロン・マスクの睡眠習慣が健康に与える影響

Here's What Elon Musk's Sleep Habits Would Do to Your Health https://t.co/C4LiRp2Pkv

— ScienceAlert (@ScienceAlert) August 20, 2018

イーロン・マスクは疲れているように見える

Science Alert
HILARY BRUECK, BUSINESS INSIDER
20 AUG 2018

テスラの CEO イーロン・マスクがニューヨーク・タイムズに語ったところによると、彼は最近週に120時間働いていて、健康に影響しているという。「実際良いことではありません」とマスクは語っている。「会う友人は本当に心配してくれています」

彼は今年の夏の自分の誕生日も祝えていなかったし、自身の弟の結婚式にも工場からほんの数時間立ち寄っただけだった。また、マスクは2001年にマラリアに罹った時を最後に一週間以上の休暇をとっていないとも語っている。

もし彼が本当に規則的に１週間に120時間働いているとすると、彼の就労時間は週に７日間、１日に17時間以上ということになる。「工場から３、４日離れないこともあります。そういう時は外へは出ません」と彼は話している。

マスク自身の言う数字を元にすると、最大で仕事をしていない時間が一日あたり７時間ということになる。つまり、ほぼ確実に一晩に目を閉じている時間は７時間を大きく下回る。

アメリカ疾病対策予防センター（CDC）によれば、全ての18歳から60歳までの成人は一晩に最低でも７時間の睡眠をとることが推奨されている。それ以下だと「肥満、糖尿病、高血圧、冠状動脈性心疾患、脳卒中、慢性的な精神的苦痛」そして突然死、これらの原因になる可能性があるとされる。

しかし、CDC の調査によれば、イーロン・マスクはこのアドバイスに従わないで目を赤くしている唯一の人ではないようだ。アメリカの成人の約３分の１が推奨される睡眠時間を取れていない。

睡眠不足の危険性

睡眠の専門家で神経科学者で、カリフォルニア大学バークレー校の睡眠と神経画像処理の研究所を指揮しているマテュー・ウォーカーは、睡眠の不足が人体に与えるものについて研究している。彼は定期的に NBA、NFL、Pixar などに睡眠についてのアドバイスを提供している。

ウォーカーは最近、眠ることについての彼のスタンスを Business Insider のために要約してくれた。それは「睡眠時間が短ければ人生も短くなる」というものだ。

これは誇張した表現ではなく、ウォーカーの研究によれば、習慣的に夜に６〜７時間しか目を閉じていない人は健康に長期にわたる深刻な健康被害を被ることになる。そしてそれは時に死に繋がる可能性もあるという。

彼はすべての人が７〜８時間は毎晩枕に頭を付けているべきだと考えている。この伝道者であるウォーカーは自身の生活でも厳格に８時間の「寝る機会」を作っているという。つまり彼はたとえ眠ることができなかったり目を覚ましてしまったりしても、少なくとも８時間はベッドに入っている。彼はこの規則正しさのおかげで精神的にも身体的にも健康で、生産性を維持しているという。

睡眠時間が７時間以下だと体と脳にどのような影響があるのか

もし十分な睡眠を取れていなければ、「寿命を削ることになりますし、生活の質を悪化させることにもなります」とウォーカーは Business Insider に語る。ではそれは何故だろう。

睡眠不足は自然免疫の主要因子である「ナチュラル・キラー細胞」の蓄えを激減させる。この細胞はリンパ球の一種で腫瘍細胞やウイルス感染細胞を拒絶する働きを持っている。一晩を４〜５時間の睡眠で過ごすことによってこの「ナチュラル・キラー細胞」が約70%に減少するとウォーカーは言う。

睡眠の不足は体を慢性的な疾患の危険に晒す可能性がある。アルツハイマー、肥満、脳卒中、糖尿病の症例増加にも関係している。

睡眠不足は体に対するインスリンの作用のしかたと細胞が糖を吸収する速さに変化を与える。一週間の睡眠不足の夜（1日に５〜６時間）を過ごした人は、医師に前糖尿病だと診断される可能性がある。これはつまり、将来的に糖尿病が予見される程度に血糖値が高くなっていることを意味している。この段階で既に、心臓、欠陥、腎臓への長期にわたる損傷が進んでいる可能性がある。

更に睡眠不足は体に癌を育みやすい環境を作ることにもなる。大腸がん、乳がん、前立腺がんの事例で睡眠不足が一因になっているとされている。

不規則な睡眠の生活になると発がんを抑える作用があるメラトニンが抑制されるために、がんを引き起こされる可能性があるのだという。世界保健機関（WHO）は夜間勤務を「発がん性がありそうなもの」だとしている。

もちろん、すべての人の体に正確に同じような作用があるわけではない。

ウォーカーが「スリープレス・エリート」と呼ぶ一部の人たちは、少ない睡眠でも生きられるようにできていて、実験環境でも６時間ちょうどしか眠らない。しかし、そうした幸運なタイプの人は人類の１％に過ぎないという。彼らは極めて稀な遺伝子（BHLHE41）を持っている。

おそらくあなたはその遺伝子はもっていない。だから夜は「株式の非公開化」などとツイートせずにゆっくり休んだほうが良いだろう。