2018年5月3日木曜日

ケンブリッジ・アナリティカが閉鎖しても何も解決したわけではない


私たちはこの話がどこまで行ってしまっているのか今だにわかっていない


Engadget
Mallory Locklear
May 2 2018

ケンブリッジ・アナリティカが店をたたむ。同社の幹部たちはあらゆる違法行為を否定し続けていて、この閉鎖は、同社と親会社であるSCL(ストラテジック・コミュニケーション・ラボラトリー)が「センセーショナルな記事」のせいで受けたビジネス的な損失によるものだとしている。ケンブリッジ・アナリティカはFacebookのユーザー8千7百万人のデータを不当な形で取得したことで非難を受けている。この発覚によって同社はFacebookから削除され、Facebook自身もユーザーデータの取り扱いと二度の連邦議会での聴聞会に応対するために多くの変化を要した。しかしケンブリッジ・アナリティカを取り巻く問題の状況はこの閉鎖によって見えなくなってしまうかもしれない。

Facebookとマーク・ザッカーバーグは非難の矛先をケンブリッジ・アナリティカに向けるために多大な努力をしてきた。Facebook上からこのデータ企業とそれと関係のある政治コンサル会社のアグリゲートIQのような会社を排除し、この特殊な事態が起きることを許してしまった規約は2014年の時点で修正されていることを繰り返し説明していた。昨日のF8の基調講演に至ってもケンブリッジ・アナリティカから距離を置こうとする雰囲気があった。プライバシーについてはザッカーバーグの講演の冒頭で触れられていたが、新しい基準についての議論は無かった。彼はユーザーに対して、Facebookがプライバシーについてしている努力を伝えることが如何に重要かを肝に銘じていたに違いなく、最後にこう付け加えた「しかし、私たちは前に進む責任も負っているのです」。誰に責任を負っているのかは明らかにしなかった。

ケンブリッジ・アナリティカがあまりにも多くのデータを取得したことによって引き起こされた今回の問題が解決したとしても(それはそれで大きなことだが)、この問題が明らかになる前に彼らがデータをどこまで広めていたのか私たちには見当もつかない。議会の聴聞会では、研究者アレクサンダー・コーガンがFacebookから掘り起こしたデータを他のどの会社に売り渡していた可能性があるのかが問われていたが、ザッカーバーグは答えることができなかった。

英国会のデジタル、文化、メディア、スポーツ委員会に於いて、FacebookのCTOマイク・シュレーファーに対して同じような質問がされた時も答えはなかった。先週のその彼の証言の後、同委員会は2011年から2014年の間に何人の開発者に対しFacebookが措置を講じたのか不明であるとしている。同様に、Facebookとコーガンとの間のNDA(秘密保持契約)について、それによって同社が彼に対し法的措置をとることの妨げになっていたのかどうか、また、誰がケンブリッジ・アナリティカの調査を主導していたのかについて疑問が残るとしている。そして何よりも、何人の開発者がFacebookのデータを利用しサードパーティに売ったのか、ケンブリッジ・アナリティカはアグリゲートIQにデータを渡していたのかどうかに大きな懸念が存在する。これらのこと全ては、Facebookから漏洩したデータの範囲と、そのデータが現在も何処かでどの程度使われているのかを本当に理解するために極めて重要な情報である。

Facebookは2014年以前に膨大なデータにアクセスしていたすべてのアプリケーションに対し監査を実施していて、違反行為があったものは削除するとしている。しかし、同社は監査がどのように機能しているのか、第三者調査機関がなぜ最初にケンブリッジ・アナリティカの違反行為を見逃したのかを明らかにしていない。

解答よりも疑問の方が多いのが現状である。私たちはFacebookが自身とユーザーに作り出した問題がどのくらい大きいのかすらわかっていない。私たちは積み重なり続けている疑問の山に返答があるまでそれを知ることはできない。

ケンブリッジ・アナリティカの閉鎖は一連の出来事の大きな部分を占めるようなものではない。いくつあるかわからない企業のうちの1つに過ぎないのだ。この数週間でケンブリッジ・アナリティカに対しては巨大な拡大鏡が置かれ、私たちは少なくとも彼らの行為を見ることはできるようになっていた。しかし、必ず同様のそれ以外の会社が存在するはずで、それらはまだ影に隠されたままになっていて、Facebookだけがそれを明るみに出すことができる。その実体を知らなくても、そこに問題があることを知っていれば気分の良いものではない。

この部分ではケンブリッジ・アナリティカは防壁が破られた中で賭けに出る選択をしたとも言える。今日出された声明の中で同社は「ここ数ヶ月に渡り、ケンブリッジ・アナリティカは膨大な量の根拠のない非難を受けてきました。弊社は経緯を正確に説明しようと努力してきたにも関わらず、合法的な活動に対しても、政治的にも広告業界からもオンライン広告の標準として広く受け入れられているものに関してまでも中傷されてきました」と述べている。また、同社に対する「事実によって裏付けられた」告発は認められなかったとした独立監査人の報告書も提示している。そしてケンブリッジ・アナリティカ社内の主要なメンバーは既に新しい会社への動きを見せているという。

ケンブリッジ・アナリティカは顧客が離れ、訴訟費用が嵩むところから身を引いたということになるだろうが、Facebookにとってこの件はまだ終わりではない。それはもちろんユーザーにとっても同じである。

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