2018年4月20日金曜日

macOSとiOSの統合についてティム・クックは「ユーザーが求めているとは思わない」


AppleのCEOティム・クックは同社がOSの統合を模索しているという推測は誤りであることを明らかにした


Ars Technica
SAMUEL AXON
4/20/2018

AppleのCEO、ティム・クックはシドニー・モーニング・ヘラルドに掲載されたインタビューで、Appleは将来的にMacとiPhoneやiPadといったモバイルデバイスとを同じOSで動かそうとしているという推測を否定した。このOSの統合についての噂は広く伝えられているものだ。

このインタビューはシカゴで行われた教育をテーマにしたイベントの際のもので、Appleはその時に新しいiPadを発表している。

私たちは一方のためにもう一方で妥協するようなことはしたくありません。(MacとiPadは)両方とも素晴らしいものです。この2つが素晴らしい理由の1つは私たちがそれぞれについて良いものにしようと努力していることです。もしこの2つを統合してしまったらどこかで妥協が必要になってしまうでしょう。

そうすれば、おそらく会社としてはより効率的になるでしょう。しかしそれは望むところではありません。大事なことは、世界を変えたり、情熱を表現したり、創造性を表現したり、そうしたことをするために役立つものを皆さんに届けることです。このOS統合の話に一部の人が固執しているようですが、私はユーザーが望んでいることだとは思いません

今年始めにブルームバーグはAppleがmacOSとiOSのデバイス両方で動作するアプリケーションを開発するためのツールを開発者に遠からず提供するだろうと伝えていた。両OSで動作するアプリケーションは起動したデバイスによってタッチスクリーンかマウス/トラックパッドかを使うことになる。今回クックが噂を否定した説明は、必ずしもこれを否定するものではない。macOSとiOS両方で動作するアプリケーションにOSを統合する必要はない。

しかしながら、今回のクックの話は、Appleが少なくともいくつかのMacのプロセッサをIntel製から自社製に置き換えることを計画しているという、ブルームバーグが伝えたもう一つの噂に示唆を与えてくれたかもしれない。評論家たち(筆者も含めて)はAppleが自前のMac用CPUを開発するにあたり、macOSとiOSの仕様をより近づけるためにiPhone、iPadに使われているARMを基にするのだろうと即座に推測していた。そうした中でクックは今回AppleがmacOSとiOSを近づける計画を持っていないことを述べた。

しかし、このことはAppleがARMをMac用CPUの基礎にはしない、ということを意味するわけではない。AppleにはiOSデバイス用のARMチップの開発に既に長年の経験があり、x86-64アーキテクチャを進化させるには重大な障壁があるとされ、ありそうもないがAMDを買収するようなことでも無い限りは困難を伴う。

AppleのライバルであるMicrosoftはかなり前からタブレットとデスクトップのソフトウェアの統合を進めていて、既にほぼ完了している。Microsoftは異なるアーキテクチャ(x86-64やARMといったような)毎に異なるバージョンのWindowsを提供していて、Windowsは現在タブレットモードとデスクトップモードの両方で動作し、人気のあるWindows搭載のラップトップはタッチスクリーンを備えていて、使う時の形状によって素早く2つのモードが切り替わる。

Appleはタッチスクリーンを搭載したMacを全く登場させておらず、macOSとiOSは現在一部で仕様を共有(APFSファイルシステム等)しているものの、この2つは全く違った利用が想定された全く違ったOSである。

今回のシドニー・モーニング・ヘラルドのインタビューで、クックは自身がMacとiPadを両方使っていて、それらを違った場面で使っていると話している。

私は通常、仕事ではMacを使っていて自宅ではiPadを使っています。… 旅行の時はいつもiPadを持っていきます。私はあらゆるものを利用します、全部気に入っています。

Appleはまだタブレットとラップトップを異なる場面で用いる異なるデバイスとして見ている。クックは、両方のデバイスを同じOSで動かすためには多くの妥協が必要になると少なくとも現段階では信じている。Appleは市場が要求する前に進路を変更してきた会社なのだが。

0 件のコメント:

コメントを投稿