2018年4月10日火曜日

シリアでの化学兵器について英国メディアが無視する「証拠」


テレサ・メイは慎重になるべきだ


the Canary
James Wright
APRIL 9TH, 2018

イギリスのテレサ・メイ首相はドゥーマで化学兵器による攻撃があったとされていることについて、その背後におそらくシリアのバッシャール・アル=アサド大統領がいると主張している。そして大手メディアの大半はその保守党政府の言辞をそのまま踏襲して伝えているようだ。

一方で労働党のジェレミー・コービンは結論に飛びつく前にこの化学兵器による攻撃についての調査を待っている。そして特定の国家を非難する前に慎重になった方が良いと考えるべき根拠がある。

1)シリアの反政府組織は化学兵器を所有している可能性がある


ドゥーマの化学兵器攻撃では数十人が死亡したと伝えられている。

サウジアラビアの支援を受けた反政府組織ジャイシュ・アル・イスラム(Army of Islam)は4月8日に合意が発表されるまでこの都市を支配していた。

2016年4月、アレッポではジャイシュ・アル・イスラムはクルド人主導の軍隊との戦いに参加している主要なグループだった。当時、クルドの保健局は兵士たちが塩素ガスに接触している一貫した症状を経験していると報告していた。後にジャイシュ・アル・イスラムは次のように声明を発表した:

我々の指揮官の1人が我々のリストには含まれていない種類の武器を不法に使用している

反政府組織が手に入れたのは塩素ガスだけではないかもしれない。2013年、国連のシリア人権侵害調査委員会は反アサドのグループが神経ガスであるサリンを使用したことを疑っていた。

ニュース解説では最近起こったとされる攻撃はサリンか塩素ガスによるものの可能性があると指摘されている。

2)アサド政権はどのみちその地域で勝利目前だった


スカイニュースのリポートによると:

2月に始まった攻撃でシリア政府軍は東グータの殆どの地域を反乱軍から取り戻し、ドゥーマだけが反乱軍ジャイシュ・アル・イスラムの手に残っていた

ジャイシュ・アル・イスラムはロシアとの交渉に合意しドゥーマから退避を開始している。アサド政権は東グータの最後の地域を取り戻そうとしている。このことから、ピーター・フォード元駐シリア英国大使のような識者からは、なぜアサド大統領は勝利を目前にして国際的な非難を自身に向けるようなことをするのか、という疑問が呈されている。

3)情報源は反アサド側の組織と繋がりがある


西側のメディアの情報源はシリア政府に反する立場をとっている。ホワイトヘルメット医療グループは多くのメディアに化学兵器攻撃についての情報を伝えいてるが、この組織も戦争で荒廃したシリアの反政府組織と繋がりがある

アメリカのジョン・ケリー元国務長官はジャイシュ・アル・イスラムはダーイシュ(Isis/Isil)の「下部組織」であると主張していたが、他のアメリカの当局者たちはケリーのこの主張に反対していた

しかしながら、アムネスティ・インターナショナルからジャイシュ・アル・イスラムは「穏健」な組織ではないようだという次のような報告が出されている:

非国家軍隊組織、特にArmy of Islamは、拉致、恣意的拘留、無差別砲撃等の一連の罪を犯している。人口密集地に対して迫撃砲やロケット砲のような不正確な武器を使用する彼らの行為は戦争犯罪に値する

不明なこと


この段階でアサドが化学兵器を使用する動機が不明である。しかしそれがシリア政府軍が化学兵器を使用していないことを意味するわけではない。この点が我々がわかっていないところである。

今回も結論に飛びつくなというコービンは正しいように見える。


ドゥーマにおける恐るべき死傷者は化学兵器による攻撃を示唆しています。これは国連とその責任を負った人たちが徹底的に調査しなければならないものです。シリアにおける和平と政治的解決を探る本当の交渉を再開する必要性はこれ以上ないくらい緊急を要しています。

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