2018年2月9日金曜日

学ぶものとしてのワールドカップ


私たちの仕事が、ロシアのフットボール界における人種差別と暴力に対してできることを示しています − アレクセイ・スメルチン


The Moscow Times (Op-ed)
ALEXEI SMERTIN
Feb. 08 2018 - 13:02

ワールドカップによって全てが変化します。全てでないとしても多くのことが変わることになるでしょう。

私は子供の頃にバルナウルのアパートでテレビの前に座ってディエゴ・マラドーナの魅惑的なプレーを見ていたのを覚えています。ですからワールドカップというと祭日を連想します。私自身がワールドカップの舞台に立つ日があるとは想像もしていませんでした。2002年に日本でそれは実現しました。私にとってのベストなプレーだったわけではありませんでしたが、夢がかなった瞬間でした。

今年、その祭日が私たちの国ロシアにやってきます。このことは長い間の夢であり続けていましたが、トーナメントのキックオフまで数ヶ月しかありません。

私にとってこのワールドカップは単なる世界の強豪チームが出揃う大会というだけではありません。これはロシアにおいてフットボールを促進させ発展させるための、最初にして最も重要なきっかけとなるものです。若いフットボールファンたちにとって世界最高の選手たちを直接見てフットボールを体感するチャンスです。そしてロシアのフットボール界が多方面で良い方向に変化する機会を与えてくれるものでもあります。

私が反差別担当役員としてロシアフットボール協会に関与するようになってからおよそ1年になります。そして私はこの仕事がどのように始まったのかを覚えています。西側のメディアやオンライン上の評論家たちはロシアのフットボール界は人種差別について何もできないと懐疑的に話していました。しかし私は常にできることはすべてやることを信条としています、フットボールでやってきたのと同じようにです。

私たちが今年、主にやってきたことは現場で差別と戦うための専門家チームを組織したことでした。ロシアの言い伝えにあるように、戦場で孤独な男は戦士ではないのです。それに、私はチームプレーヤーなのです。

私たちは協力して固有の内部反差別監視システムを開発しロシア国内の大会でテストしてきました。これは試合中に調査官を手助けするものです。私たちはマッチレポートを統制規律委員会に提出し、罰金やスタジアムの一部閉鎖を含む制裁を様々なチームに課してきました。

しかし、自分のチームをサポートするだけでなく、相手とお互いに尊重し合うことの意味を知っている若い世代のファンを増やすことは教育を通じてしかできないことです。

ロシアのワールドカップ組織委員会と共に、私たちは差別と戦うことについて授業をするために学校訪問を行ってきました。今年からはモスクワ州立大学の哲学部に世界のフットボール界における反差別政策の推進方法に関する理論的かつ実践的知識についての課程を持って教えています。

私は学生たちに感銘を受けています。中にはフットボールから縁遠い人もいますが授業の中で強調した問題について理解を示してくれています。更にインサイト教育センターと協力して、私たちは全国の学校の先生たちに向けての多様性に関する授業要項を作成しています。これらの授業はフットボールについてだけでなく異なる人種の人々との対話についてのものでもあります。そして私の考えではフットボールは対話の素晴らしい手段となるものです。

何百万ものファンが世界中からロシアにやってきて温かく迎えてくれる国であることを見ることになるでしょう。そして大会が終了したら、彼らは家に戻って素晴らしかった旅について親戚や友達や仲間に話してくれることになるはずです。

そしてきっと彼らはロシアの文化を体験しロシアの友人たちに会うためにロシアにまた来てくれるでしょう。ロシアの人は人懐っこいので、ワールドカップを観戦しに来た人はみんなロシア人の友人ができるはずです。

もちろん悪態をつくような人もいるかもしれません。しかし彼らは全体のファンからすれば少数であり、多くの場合それは教育の欠如からであって、悪意があるわけではないのです。

そして、そうした人たちはワールドカップのスタンドに入ることができないのです。大会で使われるFAN IDパスポートは試合中の違反行為の記録がないファンだけに発行されるものだからです。11月にロシア国家院はこのシステムをワールドカップの後も使い続けるという提案を支持したため、ロシアのファンはスタジアムに来た時の責任のありかたを理解するようになっています。

以上のようなことから、私はすべての人にこのワールドカップを見に来て偉大な祭日の一部として、そして歴史の一部となることをお勧めします!この素晴らしい雰囲気に私たちと一緒に飛び込みましょう。

アレクセイ・スメルチンはロシアフットボール協会の反差別担当役員で元ロシア代表チームのキャプテンである。

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