2019年7月1日月曜日

アメリカ人は性欲について嘘をついている


ポルノ動画の Google 検索が明かす私たち自身のこと。


Vox
Sean Illing
Updated Sep 30, 2018

去年(2017)、「誰もが嘘をついている」の著者であるセス・スティーヴンズ=ダヴィドウィッツに話を聞いた。この本はアメリカ人のGoogle検索の習慣に関するデータから、国民的な意識を洞察するというものだ。

その時にこの本に書いてあることで主に話題にしたのは2つのことだった。それは、アメリカは人種差別主義者と利己主義者で溢れていること、そして、この国には自分で妊娠中絶を行うという問題が潜んでいる可能性があることだった。前回言及しきれなかったが、この本には更に興味深いデータについての話が数多く書かれている。なので、私は再度スティーブンス=ダヴィドウィッツと話をして彼が作り出した他の興味をそそる主張について話を聞いた。

私が特に興味を持っていたのは、性行動とオンラインポルノについてだった。スティーブンス=ダヴィドウィッツが「Googleはデジタル自白剤」だと言うのであれば、それは私たちのプライベートな思考や欲望について何を語っているのだろう? 私たちの友人、隣人、同僚たちは私たちに何を隠しているのだろう? おそらく、多くのものがあるだろう。

他にスティーブンス=ダヴィドウィッツのデータは次のようなことを示唆している。同性愛者であることを隠している男性は我々が考えるよりもたくさんいること、細身の女性よりも太めの女性を好む男性はたくさんいるが、そのことを行動に移すことを恐れる傾向にあること、既婚の女性は自分の夫が同性愛者ではないかと過度に疑う傾向にあること、多くの異性愛者の女性がレズビアンポルノを見ていること、女性に対する暴力がテーマになっているポルノは男性よりも女性に人気があること。

こうしたことの背景にあるデータについての説明を求めて、スティーブンス=ダヴィドウィッツに再び話を聞いた。

***

ショーン・イリング:前回お話を聞いた時には、あなたが研究の中で最も驚いたものショックだったものについて聞きました。私たちは人種差別について、そして妊娠中絶を自分で行うという病理の中にアメリカが陥っている可能性について話をしました。今回はもう少し軽い話に飛び込みたいと思います。性行動とオンライポルノについてです。

このこのとについては何がわかりましたか?

セス・スティーブンス=ダヴィドウィッツ:ポルノについてはこれまでの性行動についての研究で最も進歩がありました。私はなぜ社会学者たちが Pornhub にデータ提供を懇願しないのか理解できませんね。私はそれをした唯一の人間でした。私は自分の研究結果を著名な社会学者や性行動研究者に送付しましたが、多くの人は興味がないようでした。


ポルノに関するデータは何故独特の示唆を与えてくれるのでしょう?

セックスについて研究する時に主流となる手法は直接人に話を聞くことです。ですが、セックスのようにセンシティブな話題については人々は嘘をつきます。


データを精査したわけですよね。それは私たちについて何を語っていたのでしょう?

人が好むものには極めて多くのバリエーションが存在するということです。おそらく30%程度の人はあなたが見たら気分が悪くなるようなものを見ているはずです。


なぜセックスに焦点を合わせたのでしょう? 何処かに興味を持ったのですか? それともデータがあなたをそこに導いたのでしょうか?

この本は人間の本質について書いたものです。セックスは人間の本質で大きな部分を占めるのではないでしょうか。「誰もが嘘をついている」の読者の中には私がセックスに執着していることを批判する人もいます。でも、誰もがセックスに執着するものでしょう。もしそうじゃないと言うならそれは嘘になるはずです。


本では性的指向についての興味深いデータを提示していますね。

多くの同性愛者の男性がそのことを隠したままにしていることは明らかです。例えばミシシッピ州のように同性愛者として暮らすことが困難な地域では、ニューヨーク州のように同性愛者が比較的楽に暮らすことができる地域と比べて同性愛者であることを明言する人は極端に少ないのです。ですが、ポルノの検索結果を見ると男性同性愛のポルノが検索されているのは何処でも同じです。


そのことからその地域に何人の同性愛者がいるか必ずしもわかるわけではありませんが、注意すべき点を明らかにしていますね。

私は様々な方法ででデータを見て、その結論として男性の5%が男性に魅力を感じているのだと考えています。


こうした一連のデータから本当に確実な結論が引き出せるものでしょうか? 人はあらゆる種類の理由があって検索するものではありませんか?

私はポルノというのは人間の性的な夢想を測定するのに極めて適していると考えています。必ずしも行動が伴っていなくてもです。


そうしたものから何かを推測することに懐疑論を唱える人には何と言いますか?

私はポルノ動画を見るという行為は調査の質問に答えるよりも多くのことを語っていると思います。ですが、その解釈には注意が必要であるということについてはその通りだと思います。


では、既婚者の人たちとオンラインの関わりについて話して下さい。

既婚の女性たちの第一の疑問は自分の夫が同性愛者ではないかという疑いです。そしてこの傾向はアメリカ最南部のディープサウスと呼ばれる地域で高くなっています。私の調査によると、この地域は実際に同性愛者の男性が女性と結婚するケースが多いようです。


これは女性の単なる好奇心からということで良いのでしょうか? それとも、この疑問はもっと頻繁に出てくるべき話題なのでしょうか?

私は妻である女性たちは自分の夫の性的指向に執着し過ぎていると思います。彼女たちは Google に「自分の夫が同性愛者であるかどうか」という質問を「自分の夫がアルコール中毒かどうか」という質問の8倍、「自分の夫が鬱病かどうか」という質問の10倍の頻度で検索しています。彼女たちと結婚している男性は密かに同性愛者である可能性よりもアルコール中毒や鬱病である可能性の方がずっと高いのです。女性と結婚している男性の約98%は異性愛者です。私を信じて下さい。


次はアメリカで抑圧されている性的欲求についてです。

社会的にリベラルな場所に於いても、人は隠された性的嗜好というのを持っています。ポルノ検索のおよそ100件のうち1件は年配の女性を探すものです。つまり何十万もの若い男性が年配の女性に魅力を感じているということになります。しかし、実際に高齢の女性と関係を持つ若い男性というのは非常に少数です。


どう捉えれば良いのかわからない話です。何か説明はありますか?

面白いことです。私は性的嗜好のいくつかを最初にTV番組ジェリー・スプリンガー・ショーで学びました。この番組は貧しく、教養のない人たちを取り上げるものです。彼らの中には例えば動物や家族の1人、あるいは高齢者に魅力を感じる人がいました。しかし、現在ポルノのデータを見ることによって、私たちは裕福で教養のある人たちの間にもこうした性的嗜好が存在していることを確認できるわけです。裕福で教養のある立場の人たちは、現代の社会規範をより強く認識しています。ですから様々な相手に魅力を感じるということは隠しておくことになるのです。


文化的な理由やそれによって判断されることを恐れて私たちが隠している性的嗜好について、あなたの本に面白いことが書かれていました。それを説明して頂けますか?

性的に「オープン」ではなく「クローズド」であるという状態を、パートナーを選ぶ時に自分自身が望むものにではなく、社会が望むものに基づいて選ぶことと定義するならば、多くの人が「クローズド」ということになるでしょう。例えば、かなり多くの男性が細身の女性より太目の女性に魅力を感じていることを私は確信していますが、実際には彼らは細身の女性と付き合おうとしますし、細身の女性に魅力を感じていると友人や家族に印象づけようとしています。

太った女性が登場するポルノというのは男性の間では驚くほどよく見られています。しかし、出会い系サイトのデータを見ると、ほとんど全ての男性が細身の女性と付き合いたいと話しています。多くの人が自分が最も魅力を感じているタイプの人と付き合おうとしていないのです。彼らは友人たちに対して印象的な存在であると思う人と付き合おうとしているのです。


そのことは私たちの文化的病理について的を射た説明していると思います。人々は求めるものについて何でも自由であるべきですが、適合させようとする圧力は強大なものです。究極的に不健全な状態です。

それだけでなく効率も悪いのです。性的に相性が良さそうな独身男性と太めの独身女性というのはたくさん存在しています。しかし、彼らは付き合うことはなく、男性は実際にはあまり魅力を感じていない細身の女性にアプローチして失敗しています。そして、夫を逃さないために細身の状態を保とうとして実質的に飢餓状態になっている女性もいます。体重を増やした方が夫は魅力を感じる可能性があってもです。周囲の人々に特定の印章を与えたいと考えることはあらゆる種類の効率の悪化を引き起こします。


あなたが気づいた一風変わった嗜好をいくつか教えて下さい。

好みの多様性には本当に驚かされます。小柄で太っていてペニスの小さい男性を主題にしたポルノだけを見ている女性がいますし、巨大な乳首を持った女性のポルノだけを見ている男性もいます。


他の国ではどうなのでしょう?

インドでは Google 検索に「my husband wants ...(私の夫が望んでいるのは ... )」と入力すると補完機能による検索候補として「my husband wants me breastfeed him.(私の夫は母乳を与えられることを望んでいる)」というのが出ます。所謂「母乳プレイ」を主題にしたポルノはインドでは他の国より高い人気があります。どの国でも Google 検索で母乳についてのアドバイスを探せば赤ちゃんに母乳をどう与えるかというものが見つかります。インドでは Google 検索で母乳についてのアドバイスを探すと赤ちゃんに与える方法の他に、夫に与える方法というのが出てきます。

私がこれを本に書いて出版した後、何人かのジャーナリストがインドで現地の人にこのことについて聞いたそうです。そして全員が否定したそうです。ですが、私はデータに基づいて合理的な人数のインド人男性が母乳を好んでいるという確信があります。お互いオープンに話し合うこともなしに1つの国でこうした欲求が発達したというのは驚くべきことです。


他のアメリカ以外の国についてはどうでしょうか?

最近の日本人男性はくすぐりポルノに執着しているようです。若い日本人男性による Pornhub 検索の10%以上が「tickling(くすぐり)」を検索していました。


人類というのは基本的に奇妙さの中で結ばれているということでしょうか。

そうなのでしょう、基本的に。インド人男性が母乳プレイを好んでいるという話を聞いて「インド人てのは奇妙だな」と言う人がいます。これは正しい反応ではありません。ポルノから得られるデータが示しているのは私たち全員が奇妙だということです。つまりは、誰も奇妙ではないのです。


それでも私たちはみんな奇妙だと感じているのは、私たちが、誰もが私たちのように奇妙なわけではないという(誤った)仮定をしているからですね。

時々私は、私たち全員がポルノ視聴に関する習慣を一度に解放してしまえば良いのだと思うことがあります。直後の30秒間は恥ずかしいでしょうが、それを全員で乗り越えれば、私たちはセックスについてよりオープンになることができるはずです。


他にアメリカ人女性の習慣について驚くべき発見があったようですね。

女性が見るポルノの約20%はレズビアンポルノです。多くの異性愛者の女性が同性愛のポルノを見ていることになります。


それは特別に驚くようなことでもない気もします。

女性に対する暴力が主題になっているポルノは女性の間で人気があるのです。男性よりも女性の方にずっと人気があります。あまりこれを口にしたくはありませんが、ミソジニスト(女性嫌悪者)はこの事実を好むかもしれません。妄想上の生活は常に政治的に正しいわけではありません。

こうした暴力的なポルノを女性が見ている割合は大凡世界の何処の国でも変わりません。社会的な女性に対する扱いは関係ないことになります。


この研究によって性行動一般についてのあなた自身の考えは変わりましたか?

私は常々同性愛が進化を通して成り立ってきた方法を疑問に思っていました。進化論では人々は魅力的な異性と交際することを望んでいることになっていませんか? ですが、このポルノについての研究をしてみて、進化論の上で理に適っていない欲求は同性愛だけではないことに気づきました。

最近見られているポルノで、健康な赤ちゃんを作ることができる2人の営みが主題になっているものはおそらく20%未満です。それ以外は、アニメや、アナル、オーラル、フット、近親相姦、高齢者、くすぐり、動物、何かモノを利用したものなどです。


セックスは明らかに子供を作ることよりも多くの意味を持つもので、そのことについて私たちが混乱しているために多くの無用な苦悩が生じていると思います。

私はその理由を、これまで人類が進化してきた環境とは全く異なる環境で私たちが育っているからだと考えています。狩猟採集生活をしていた人たちの子供はシンプソンズのようなアニメを見ることはありませんでした。そして狩猟採集生活をしていた大人たちはポルノを見ることはありませんでした。私たちは進化しているのだと思います。狩猟採集生活の条件で育ったなら、欲求は子供を作るための普通のセックスに向くはずです。しかし、現代の環境は性的嗜好をあらゆる方向に導いています。私はこれからもっと更に多様なデータを見ることになると確信しています。


オンラインポルノの未来についてはどうでしょう?何処へ向かっていますか?

3年以内にアナルセックスの動画の数が通常のセックスの動画の数を超えると思います。これは私のデータモデルが示唆するものです。


最後のお答えとして適切なものを頂いた気がします。

皆さん私の本を買って下さい。まだいっぱいありますよ!


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