2019年5月2日木曜日

東アフリカでケイ素の循環に貢献するカバの糞


カバたちは水場に養分を撒き散らすことで大きな役割を果たしている。


Science News
CAROLYN GRAMLING
MAY 1, 2019

東アフリカの自然環境の中でカバたちは栄養に富んだケイ素を循環させ続けている。

この巨大な草食動物たちは植物と動物両方にとって重要な栄養素であるケイ素を、毎日およそ半トンずつ陸地から水中に運んでいるという報告を、科学者たちは5月1日サイエンス・アドバンス誌にオンラインで公開した。カバたちは地上に生えているケイ素を含んだ草を餌にしてそれを水中で排出する。

この研究を主導したアントワープ大学の生物学者であるジョナス・スコーリンクは、カバが群生しているケニアのマラ川流域で、草、カバの糞、土壌、水中におけるケイ素の2種類の同位体(質量が違う原子)の比率を分析することで、ケイ素の動きを追跡した。この比率は生成された生物学的及び化学的過程によって異なるため、様々なケイ素の発生源の指紋として利用することができる。

研究チームはカバがこの地域のエコシステムの中でケイ素の循環に関して大きな役割を演じていることを明らかにしている。カバたちはサバンナで草を喰み、1日に地球全体で800kgのケイ素を消費する。そして彼らが水の中で漂っている間に、その約半分のケイ素を排出する。つまりこの動物は毎日草原から0.4トンのケイ素をマラ川に「汲み上げ」ていて、水中のケイ素の量を76%以上増加させていると研究チームは見積もっている。

このケイ素は珪藻と呼ばれる水に浮かぶ小さな藻類が珪酸質の被殻を形成するために特に重要なものになっている。しかし、カバたちは密漁と生息地域の喪失に脅かされている。1996年から2004年の間に彼らの数は20%減少している。もし、カバがマラ川流域から絶滅してしまえば、水中の珪藻の育成も劇的に停止されることになる。単細胞の藻類である珪藻は食物連鎖の基礎となるものであり、エコシステム全体の食糧不足となって跳ね返ってくることになる。

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