There are several reasons why animals can grow to much larger sizes than we consider normal. https://t.co/RYAKzK3uTc— The Conversation (@ConversationUK) December 1, 2018
ニッカーズという名前の巨大な牛が話題になっている
The Conversation
Jan Hoole
November 30, 2018
インターネット上の最新の話題は牛についてだ。もっと正確に言うならニッカーズ(Knickers)と名付けられた巨大なステア(去勢された牛)のことだ。体高およそ2メートル、体重1,400kgに育ったホルスタイン・フリーシアン種の彼は群れの中でまるで腫れた親指のような存在になってオンライン上の話題になっている。ニッカーズのようなことが起こるのは何故なのだろう?ついでながら、ニッカーズの所有者たちはこの珍しい種を保持しておくことにしたようで、彼は屠殺から免れたようだ。
動物が普通と考えられている大きさよりも大きく育つにはいくつかの理由がある。1つの種の中で起こる巨大化は、脳下垂体の異常によって成長ホルモンの過剰分泌が起こる先端巨大症である場合が多い。
身長272cmで世界一長身の人間として知られているロバート・ワドローも先端巨大症の患者であり、ジェイムズ・ボンド映画で殺し屋ジョーズ役を演じた俳優のリチャード・キールも先端巨大症を患っていた有名人の1人である。ニッカーズがここまで大きく育った原因もこれである可能性が高い。
人間の場合、先端巨大症を放置しておくと心臓病や高血圧、糖尿病の他リウマチを伴った病気の原因となる。大きすぎる体に血液を循環させるために心臓が肥大し、全体に長い骨と大きな内臓の重さによる負担がかかる。だが先端巨大症が動物に自然に発生するのは極めて稀なことで、ニッカーズが実際に先端巨大症だとしてもそれがどう影響したのかはよくわからない。
動物の個体が大きくなるのと同様に種が全体として巨大化する例もある。こうした種はメガファウナ【megafaunae】(「大きな動物」を言い換えただけの言葉である)として知られる。この現象が起こる理由の1つに孤立化がある。天敵が存在しない(小さくなって隠れることに意味がない)孤島に住む動物は大陸に住む似た種のものよりも大きく育つ種として進化することがある。
孤島で巨大化した種の例としてコモドオオトカゲがよく挙げられるが、一部の専門家からは単に古代の巨大なトカゲの種に属しているだけだという反論もある。インドネシアのフローレス島にこの巨大な歯を持つ巨大なトカゲが住んでいて、ここは歴史的には巨大な陸生のカメも住んでいた。反対にこの地にはドワーフ・エレファントと呼ばれる小型のゾウや、ホモ・フローレシエンシスと呼ばれる小型のヒト属が住んでいた形跡もある。
メガファウナの古典的な例は恐竜の一部ということになる。私たちは今だにブロントサウルス(アパトサウルス)のような恐竜があそこまで巨大化したメカニズムを完全には理解していない。最近の研究では、彼らは熱の発散を抑えてエネルギーを時間をかけて利用し、食べ物を噛むことをせず(重たい歯を必要としなかった)小さな頭を維持したことが巨大なサイズで生き残ることを可能にしたとされている。
人間が作り出す場合
科学者たちは時に細胞生理学が成長に与えうる影響を研究してきた。ある研究では、遺伝子操作されてサイトカイン・シグナリング2(SOCS-2)として知られる細胞内の化学的な伝達物質の分泌を停止されたマウスは異常に長い骨と大きな内臓を持つように育った。しかし、このような突然変異が自然に牛に起こることは考えにくい。
また、人類は手作業の交配によっても大きな動物を作り出してきた。シャイアー、クライズデール、ペルシュロンといったドラフト・ホース(馬)たちは重い荷物を運ぶために使われ、大きな個体同士が交配され続けた結果、種として私たちが知るような大きなものになった。最近の例ではムースという名前で19ハンド(肩甲骨まで約193cm)という大きさのペルシュロンの種牡馬がいる(ほぼニッカーズと同じ高さである)。
フレミッシュジャイアント(ウサギ)、メインクーン(猫)、アイリッシュウルフハウンド(犬)、これらはどれも驚くほど大きな種だが、ニッカーズの場合は彼1頭だけが大きくなった。キングコングやゴジラをよく見た世代としては、ニッカーズが飼いならされて大人しくしていることに感謝したいものである。
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