2018年12月9日日曜日

アストンマーティンが登録停止を回避するためにクラシックカーを電動化する


「ヘリテージEV」プログラムを来年から開始


The Verge
Sean O'Kane
Dec 6, 2018

アストンマーティンが郷愁を未来の電動自動車の上に乗せて営業に利用することにしたようだ。英国アストンマーティン社は今週、アストンマーティンのクラシックカーを所有しているオーナーはその車を完全な電動パワートレインに換装することが出来るという「ヘリテージEV」プログラムを開始すると発表した。

これはビンテージカーに対する冒涜行為ではないかという話は別な議論として、アストンマーティンがこのプログラムを始める理由は極めて実務的なものである。世界の都市、特に欧州の各都市では住民を大気汚染から守るために内燃エンジンを忌避する動きが始まっている。各国でこの傾向が続けば疑問が浮上してくることになる。何処でも運転することができないクラシックカーに意味はあるのか?ということだ。

アストンマーティンによれば、このパワートレインの換装は同社の超台数限定で2019年後半に登場する完全電動のスポーツカー、ラピードEの開発に使われた「重要なコンポーネント」を用いて行われる。ラピードEは800ボルト65kWhのバッテリーで「200マイル(約320km)以上」の走行距離を持ち、スタートから時速60マイル(96km/h)まで4秒以内に到達し、最高速度は時速155マイル(約250 km/h)に達する性能を持つ。販売台数も155台限定なので、アストンマーティンの電動自動車の未来を味わうならクラシックカーの電動換装の方が良い方法かもしれない(アストンマーティンはこのプログラムを同じく2019年の後半に開始するとしているが費用については言及していない)。



アストンマーティンによれば、電動に換装する計画を進めている最初の車種は1970年式 DB6 MkII ヴォランテである。アストンマーティンはラピードEから流用した電動パワートレインの「カセット」をオリジナルのエンジンとギヤボックスとを同じマウントを利用したままスライドさせて取り替えることができるという。車の内装に合わせた新しいスクリーンとその他細部の変更は行われる。これはつまりオーナーの気が変わった場合にはお金さえあれば(もちろんあるだろう)元に戻すこともできることを意味している。

「こうしたビンテージカーの歴史的な重要性を考えれば、オリジナルと統合された電動への変換方法が必要不可欠であることはご理解頂けることだと思います」と同社は今週のプレスリリースに記している。「このカセットシステムはオーナーの皆様に、所有している車が未来を保証され社会的責任を負ったものであり、その上でお望みであれば元のパワートレインに戻すことも可能な本物のアストンマーティンであるという安心感を持っていただくための完璧なソリューションを提供するものです」

電動パワートレインへの変換事業は最近始まったところで、顧客も事業者たちも特にポルシェ、レンジローバー、フォルクスワーゲンのビートル及びバスといったクラシックカーに注目している。最近ジャガーは人気の1960年式 Eタイプを完全に電動化したバージョンを販売することを発表している。社会が電動の輸送手段の新たな領域に更に進出し続けていくにつれて、自動車メーカーや自動車愛好家たちは彼らの愛する車を次世代まで持ち込む方法を模索している。今回はアストンマーティンが新しく参入したが、今後もこの事業に参入する会社は増えることになるだろう。

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