2019年8月5日月曜日

Facebook、YouTube、Twitter、8chanが白人至上主義にどう対応しているか


先週末にテキサス州のエルパソ、オハイオ州のデイトンで相次いで銃乱射事件が起きた。各インターネット・プラットフォームが暴力と憎悪の思想をどのように拡散し育んできたのか。


Vox
Shirin Ghaffary, Rani Molla, and Emily Stewart
Aug 4, 2019

土曜日と日曜日、24時間のうちにテキサス州エルパソとオハイオ州デイトンで2つの銃乱射事件が起き、29人の命が失われた。この相次ぐ虐殺事件によって浮き上がる疑問は、暴力と白人至上主義を拡散し助長するソーシャルメディア・プラットフォームの役割だ。

Facebook、Twitter、YouTubeは白人至上主義的な投稿や、それを標榜する人物に対して行動を起こすことを躊躇してきたが、ここ数年になってようやく利用規約の変更などによって対応を始めている。だが、それはどうやらまだ機能していないようだ。

これらの事件をヘイトクライム(憎悪犯罪)あるいはテロリズムである可能性を調査している連邦当局は、特にエルパソの事件に関しては白人至上主義に喚起されたものであることを示唆している。

エルパソで乱射事件が起きる数分前、反移民の憎悪に満ちた虐殺に関する声明が、人気の掲示板8chanに投稿されている。当局は、これがエルパソの事件を起こした犯人によるものであるかどうか調査を行っている。そうだとすればこの事件は今年になって8chanが関与する3件目の銃乱射事件ということになる。パウウェイのシナゴーグで起きた事件とクライストチャーチで起きた事件ではいずれも前もって8chanに実行犯による投稿があった。

8chanの管理者はエルパソの事件に関係すると見られる声明が投稿された直後に削除している。調査会社べリングキャットによると、この投稿には3件の反応がついただけだったとう。だが、8chanのユーザーたちはこの声明を再投稿し、そのリンクを共有し続けた。

警察はオハイオ州デイトンの事件の犯人を特定しているが、今の所、銃を乱射した動機につながる情報は公開していない。

では、Facebook、Twitter、YouTube、そして8chanは白人至上主義に関する投稿をどう取り扱ってきたのか、そして、この週末の事件を経て利用規約についてどのようなことを述べたのだろうか。


今回の事件について何を言ったのか


Facebookの広報は、Recodeの質問に対して彼らのコミュニティに適用される基準について述べた。「テロリストやあらゆる種類のヘイトグループは禁止されています。そこには世界に200以上存在する白人至上主義団体も含まれています」

「基本方針に示されているように、私たちはこうした組織や個人を取り締まり、それに対する賛美や支持に対しても見つけ次第削除しています」とFacebookの広報担当は書いている。「昨年の秋に私たちは白人至上主義団体を含むヘイトグループを事前に積極的に検出する機能を導入しています」

Twitterの広報は、同社は「ポリシーに違反した内容については積極的に削除を行っていて、場合によっては法執行機関と連携している」と話している。また、同社の上級方針戦略担当者であるニック・ピックルスが、最近行った議会証言についても言及している。これは、暴力的な過激派グループに対する扱いに関するもので、184の団体に対して対応して2,000以上のアカウントを永久停止にしたというものだ。

YouTubeは今回のコメント要請に即座には返答をしてくれなかった。返答があれば追記することにする。

2013年に8chanを創設したフレドリック・ブレナンはもはやこの掲示板を手放しており、閉鎖する時が来ていると日曜日のニューヨークタイムズによるインタビューで話している。「世界に対して良いことは何もありません。出入りしている人たち以外あらゆる人々にとって悪質な存在になっています」と彼は言う。「お気づきでしょうが、利用者本人たちにとっても邪悪なものなのです。彼らはそのことに気づいていないだけです。」

フィリピン在住のアメリカの退役軍人であるジム・ワトキンスが現在この掲示板を所有している。ブレナンはニューヨークタイムズのインタビューで、彼がワトキンスにこの8chanを閉鎖するように説得を試みたことを話している。8chanはコメント要請に応じていない。返答があれば追記することにする。


これまで何を言ってきたのか


FacebookのCEOマーク・ザッカーバーグは今年3月にワシントンポストに寄稿した記事で、政府に対してインターネットのルールづくりに関して協力を求めている。「(私たちは)自分たちが提供するサービスの上で人々の安全を守る責任があります。そのためには、何がテロリストのプロパガンダで、何がヘイトスピーチであるのかを定めなければなりません。私たちは専門家と共に方針を精査していますが、私たちの基準は度々間違っていて、多くの人たちから賛同を得られないでいます」と彼は書いている。

TwitterのCEOジャック・ドーシーはRecodeの編集者カラ・スウィッシャーによるTwitter上で行われたインタビューで、自分自身の技術的な責任感の成績を「C」と評価している(スウィッシャーは彼を「F」と評価している)。ドーシーは白人至上主義について直接言及はしなかったが、Twitter上での「健全な会話」について、次のように話している。「私たちは進歩していますが、その進歩は散在していて十分なものとは感じられていません。実際に十分な効果が発揮されていないのです。結果的に私たちは攻撃の標的にされた人の多くに負担をかけてしまっています(そのことは大きな失敗です)」

今年のコード・カンファレンスでYouTubeのCEOスーザン・ウォジスキは次のように述べている。「プラットフォームの管理方法は改善され続けています。私は既にどれほど改善が行われているかを見ています。例えば数年前、2年前くらいを考えてみると、私たちが暴力的な過激主義にどう対処するかについて、多くの懸念が書かれた記事がたくさんありました。今、この分野の専門家の方たちと話をすると、私たちが大きく進歩していることがわかります。[中略]私たちは昨年、問題のあるコンテンツに取り組むために10,000人以上の人々を配置することを約束しました。それから、私たちは既にかなりの進歩を遂げています」


過激な内容に対する各プラットフォームのポリシー


Facebookは今年3月、数ヶ月に及ぶ活動家たちの圧力に応える形で「白人至上主義や分離主義に対する、称賛、支持、表明」を禁止事項にした。5月にはクライストチャーチのモスク襲撃事件を経てライブストリーミングが制限され、ポリシーに違反した人は一時的にブロックされることになった。また同じ5月には、過激主義者の具体的な人物、ルイス・ファラカン、アレックス・ジョーンズ、ミロ・イアンノプーロスのような人々のアカウントを停止している。

YouTubeは、ネオナチ、ホロコースト否定主義、サンディフック小学校銃乱射事件に関するデマのコンテンツを今年6月になってようやく禁止した。同社はヘイトスピーチに関するポリシーを変更し、「年齢、性別、人種、カースト、宗教、性的指向、退役軍人のステータスなどの要素に基づく差別、隔離、排除を正当化する主張するビデオ」を禁止した。同社は2017年以降白人至上主義に関するビデオの視聴を80%削減したと述べている。

Twitterは5月に、テロリストのコンテンツに対処するための「5の施策」を行うことを約束している。それには、利用規約の変更、ユーザーがコンテンツにフラグを立てる方法の開発、テロリストのコンテンツにフラグを立てて削除するための新技術への投資、ライブストリーミングへの適切なチェックの確認、透明性の確保というものが含まれている。同社の白人至上主義者に対する対応の遅さは注目に値する。クー・クラックス・クランの元リーダーであるデイヴィッド・デュークは現在でもTwitterにアクティブなアカウントを保持している。

8chanは内容に関する規制を徹底して避けていて、唯一のルールは「アメリカ合衆国の法律に反する内容を投稿、要請、リンクしてはならない。また、そうした内容を投稿し広めるために掲示板を作ってはならない」というものだ。これは基本的に著作権絡みの違反と児童ポルノに関するものだと解されている。(Googleはポリシー違反を理由に検索から8chanを排除しているが、同サイトを見つけるのは難しくない。また、8chanはTwitterで認証済みアカウントを持っている。)

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