Social media’s conspiracy theory problem isn’t going away.https://t.co/E7BruNYcDO— Vox (@voxdotcom) August 17, 2019
ソーシャルメディアは人を惹き付けるコンテンツに依存している。陰謀論は人を惹き付ける。この問題は今だに続いている。
Vox
Brian Resnick
Aug 13, 2019
性犯罪者ジェフリー・エプスタインが獄中で自殺してからすぐに、彼に死に関する陰謀論がTwitterのトレンドに上がった。#ClintonBodyCount というハッシュタグでツイートされる内容は、クリントン家がこの数十年間いくつもの殺人を指揮してきたという陰謀論で、これがTwitterで循環し、今回のニュースを機に再度集約したのだった。
陰謀論はインターネットを介して光のような速さで広まり、人間心理の最も醜悪な部分に働きかける。私たちは何度もこれを経験している。
2018年にフロリダ州パークランドの高校で銃乱射事件が起きた時、YouTubeで最もトレンドになった動画は、事件を生き延びて銃規制を求めて活動を始めた高校生、デヴィッド・ホッグは雇われた俳優だというものだった。2017年ラスベガスで銃乱射事件が起きた時、Googleは4chanに投稿された匿名の陰謀論を「トップストーリー」として表示した。その内容は、この事件の犯人は民主党に関係がある反ファシストの左派活動家だというものだった。
今では、こうした陰謀論を多くの人が信じるか、そうでなくても魅力を感じる理由が明らかにされている。心理学者たちは、陰謀論が人々の不安な気持ちを鎮める道具として統制の感覚を取り戻し、複雑で重苦しい世界への失望した気持ちの整理を助ける効果があることを明らかにしている。「自己防衛のメカニズムなのです」と心理学の最先端研究者で、陰謀論を研究するヤン=ウィレム・ファン・プローイェンが2017年に話してくれた。つまり、真実に向き合うよりもよくできた嘘を信じるほうが楽であり、心地よくさえあるのだ。
人間は完全に合理的な思考をするわけではない。なので、陰謀論やそれに類する迷信のようなものは決して新しいものではない。
現代の新しい心配事はその広がる速さだ。私たちのオンラインメディア機構は(意図的かどうかは別として)事件が起きた時に、事実よりも陰謀論的なものを推奨してしまうように出来ている。
「新しいニュースが出る毎に、虚偽情報システムは効率的になっている」とニューヨーク・タイムズの論説委員チャーリー・ワーゼルが指摘している。陰謀論は公に広がれば広がるほど打ち消すのが難しくなる。陰謀論を支持して、定期的にその種のツイートをリツイートするような大統領がいれば、陰謀論が長く世間の目にとどまるようになるのは尚更のことだ。
FBIは今、陰謀論が人々に暴力的な衝動を喚起することで米国内のテロリズムの脅威に繋がることを懸念している。虚偽情報が多くの人に広まることが直接的に大きな損害を引き起こすわけではない。例えば、殆どの人は子供にワクチンを接種している。だが、少数のそうでない人たちが麻疹の復活を促進している。
では、ソーシャルメディアプラットフォームはどう対応すべきなのだろう?
陰謀論がある種の人々に抗しがたいものになる理由
調査によって、一部特定の人々が特に陰謀論を信じ込む傾向が強いことが明らかにされている。そして、それは必ずしもそうした人々が無教養であることが理由にそうなっているわけではない(だが、分析的に思考する人は陰謀論に惑わされない傾向はある)。
立場が弱く、悲観的な人は陰謀論を信じやすい傾向がある。最近の陰謀論分野の心理学的な調査では、陰謀論を信じることは「人に自分の環境に安全と安心を感じさせて、環境を制御するという必要を満たす」と説明されている。また、それを信じたいと思う気持ちも理由になっている。エプスタインの死に関しても、クリントンが悪そうに見えるということで、右派寄りの人はその話を受け入れる可能性が高くなる。
私たちの心理は、自分たちが快適さを感じるために、あるいは政治思想を支持するために事実を歪めてしまう。最近のVoxの記事でディラン・マシューズが次のように書いている。「陰謀論の苛立たしいところは、部分的には事実である要素を前提としていることだ。ビル・クリントンの性的不正行為に関する信頼できる指摘、クリントンとジェフリー・エプスタインとの実際の関係、エプスタイン自身の十分に立証された性犯罪。そこから、クリントンはエプスタインの性犯罪に関わっていて、その結果クリントンがエプスタインを殺したのだという結論に至るまでには、それほど独創的な陰謀理論を展開する必要はない」
心理学では更に単純で不愉快な事実も発見されている。私たちはある情報を繰り返し聞けば聞くほど、その情報を信じる可能性が高くなるというものだ。ある話を繰り返し聞く度に、その話に親しんでいく。そして、私たちの脳はその親しみによって、その話の特色のようなものを真実と混同するようになる。
こうしたものは人間の反応であり、予想可能なものだ。そして、ソーシャルメディアの運営各社はそれを前提に対処する必要がある。
虚偽のニュースは常に真実よりも速く広まる
2018年にMIT(マサチューセッツ工科大学)の科学者たちはこの問題について有益な研究結果を発表した。だが、これによって虚偽ニュースや陰謀論の問題が本当にプラットフォーム側が技術的に解決できるものなのか疑問に思わされることになった。この研究では、2006年から2017年までの数百万のツイートを分析し、次のような結論に達している。「全ての分野の情報について、虚偽は真実よりも遥かに遠くまで、速く、深く、広範に拡散する」
おそらくこの研究結果で更に重要なのは、虚偽のニュースが勢いを持つ原因についても明らかにされていることだ。それは、数百万のフォロワーを持つ影響力のあるTwitterアカウントのせいでもなければ、誤情報を拡散するために設計されたロシア製のボットのせいでもない。この原因は普通のTwitterユーザーであり、多くの場合フォローも少なく虚偽ニュースを友人たちに共有しているだけの人たちだ。「虚偽はあらゆる深度で真実よりも多くの人々に届いていた。つまり、より多くの人が真実よりも虚偽をリツイートしたことを意味している」
つまり、虚偽のニュースや陰謀論が広まりやすいことについて、特に陰謀があるわけではない。単にそれが人々に魅力を感じさせて、共有させるということだ。
「フェイクニュースは完璧な拡散しやすさを備えています。ショッキングで、驚きがあり、人々の感情に働きかけます。これが虚偽情報を広めるために必要な要素なのです」とUCサンタバーバラでコミュニケーションを研究するミリアム・メツガーが昨年話してくれた。
これは、ニュースをTwitter、Facebook、Google、YouTubeから得ていることの問題だ。こうしたもののフィードは人間の感情に訴えるものを見せようとしてくることが多い。拡散されやすいツイートは私たちの心を揺さぶるようなものだ。そして陰謀論や虚偽ニュースというのはそうなるように作られていることが多い。
プラットフォームは実質的な検閲を行っても危険な虚偽情報を取り締まるよう圧力を受けている。今年の始め、Instagram、Facebook、YouTubeは予防接種の反ワクチン運動を取り締まるためにいくつか小規模な措置を講じた。
しかし、そもそもこうしたプラットフォームは人々が関心を寄せる情報を提供するために存在している。そして、その人々が関心を寄せる情報こそが、 #ClintonBodyCount のような陰謀論であることもある。こうしたプラットフォーム上で虚偽情報の拡散を取り締まることは可能なのか? それはまだわかっていない。
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