2019年8月16日金曜日

物凄く早起きの人の生活


「エクストリーム・ラーク」と呼ばれる人たちは、人によってはまだベッドに入るのが難しい時間に自然に目覚めている。


The Atlantic
OLGA KHAZAN
AUG 13, 2019

彼らは私たちの中に紛れているが、見た目ではわからないスーパーパワーを備えている。彼らは早朝の重要な会議のために身支度の時間を惜しんで朝のシャワーを我慢する必要もない。彼らは、朝10時に暴れる電話に起こされて、5つのメッセージを見逃していて「出発予定の時間だけど、ちゃんと乗れた?」というのを見て青ざめることもない。

朝早く、それも自然に目覚める人達がいる。単に「早く」、例えば朝8時起床ということではない。彼らは早朝5時半、もしかするともっと前に目覚める。ほんの少し前にベッドに入ったばかりの人もいるような時間だ。ここ10年をかけて行われてきた新しい調査によると、こうした極度に早起きの人たちというのは、一般に考えられているよりもたくさん存在している。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校医学部の神経学教授で、この研究の著者であるルイス・J・プターチェクはおよそ20年前、彼の同僚に毎日深夜1時から2時に目覚めるという69才の女性を紹介されたときから、こうした超早起きの人たち「スーパー・ラーク」ついて研究を続けている。一般的に年齢を重ねるにつれて起床する時間は早くなるものだが、この女性は30代のときから朝4時には起きていたという。

最近専門誌「Sleep」に掲載された研究は、プターチェクがユタ大学の神経学者で睡眠クリニックを運営するクリストファー・ジョーンズと共に進めたものだ。ジョーンズは主に睡眠中の一時的無呼吸症やその他の睡眠障害の患者を相手にしている。ジョーンズは10年間に渡って、2,422人の患者に対して「明日テストを受けなければならないとして、テストを受けるのにもっとも良い時間は何時ですか?」「エクササイズするのに最も良い時間は何時ですか?」という質問をしてきた。

早い時間を回答した人に対して、普段朝5時半までに目覚めているかどうかを尋ねたところ、8人つまり300人に1人がそうだと返答した。その8人のうち5人については、このいわゆる先進睡眠型は遺伝の可能性があり、非常に早く目覚める人が近親者の中に複数存在していた。

プターチェクは自身の研究はユニークなものだという。彼の研究では先進睡眠型は「珍しいものではなく、それが望ましくないと考えた場合にのみ問題になる」ということを示している。また、この習慣には利点があることも示している。極度に早起きの人は他の人たちよりも目覚めがよく、週末を寝て過ごすという傾向が少ない。また、夜更かしするタイプの人たちよりも健康である可能性も示唆されている。就寝時間が遅くなることは、2型糖尿病や心臓疾患のような、健康に対する負の結果に関連している。

更に、早起きの人は意欲的な人で、朝寝坊の人は怠け者であるという特別な印象を他人に与えることができるという利点もある。これは実際は真実ではないだろう。昼間に目覚めて深夜2時まで働く人は数多くいる。2時というと極度の早起きなら目覚めの珈琲を啜っている時間かもしれない。いずれにせよ、早起きの人は働き者という見方は根強い。

極度の早起き「エクストリーム・ラーク」でいることが常に至福というわけではない。彼らはパーティに参加するのが難しい。今回の研究によれば彼らは午後8時半には就寝するとされる。この研究には参加していないノースウエスタン大学の神経学者サブラ・マーガレット・アボットは、彼女の患者の中には午後7時から午前3時までが自然な睡眠時間になっているにも関わらず、仕事と家族に対する義務を果たすために午後10時まで寝ることができない人がいることを指摘している。「こうした人たちは午前3時を過ぎて寝ていることはできないため、翌日は睡眠不足になってしまいます」と彼女はメールに書いてくれた。

アボットは、自身の自然な睡眠習慣が望ましくないと考える人は、メラトニンの摂取や「戦略的時間設定が可能な照明器具」によって、調整が可能であると述べている。

プターチェクは彼が20年前に出会った69才の女性は、彼女自身が自然に早く目覚めてしまうことに悩んでいたと話している。彼女は、まだ寒くて暗く、周囲の皆が誰も起きてない時に目覚めてしまうことで、鬱を募らせていた。時には時間を潰すために午前4時に掃除機をかけることもあったかもしれない。一方で、彼女の親戚の1人で、非常に成功したビジネスマンだった男性はこの先進睡眠型を喜んでいた。「彼は早起きすることは高潔なことだと考えていました」とプターチェクは言う。彼は24時間営業のジムで午前4時にエクササイズすることを好んでいた。

この研究にはいくつか限界も存在している。プターチェクとジョーンズは睡眠クリニックの患者を対象に研究を行っているため、対象者の多くは睡眠中の一時的無呼吸症を抱えている。プターチェクは一時的無呼吸症の有無が早起きか、夜型かには影響はないと考えていると述べているが、アボットや他の専門家は今回のデータが完璧に一般の人たちに当てはめられるかどうか確証はできないと話している。また、今回対象になったこの先進睡眠型の人たちの数が極めて少数(8人)だったことも、このパターンをサンプル外に推定することを難しくしている。

それでもプターチェクは次のように言う。「今回の研究の目的の1つは多くの人に私たちはみんな異なっていて、遺伝子が私たちが何であるかを部分的に決定している、という事実を考えてもらうことです。あなたにとって良いことは、私にとって良いこととは違うかもしれません。人はあらゆるものを平均と比較する傾向にあります。ですが、全ての人に平均を押し付けることはできないのです」

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