Gut microbes can get you drunk and damage your liver https://t.co/c4GCTfNO1A— The Conversation US (@ConversationUS) September 30, 2019
飲んでなくても酔ってしまう? 飲まなくても肝疾患になる? それは腸内細菌が原因になっている可能性がある。
The Conversation
September 30, 2019
Bill Sullivan
あなたが警察官だったとして、道路を蛇行しながら走ってくる車を見つけたとしよう。あなたは車を止めて運転手を引っ張り出す、彼女は明らかに酔っ払っているようだ。彼女は不明瞭な口調で、今日は一滴もアルコールは口にしていないと言う。それを信じることができるだろうか?
2016年、ある女性の血中アルコール濃度は法定で飲酒運転とされる規定値の4倍を示していたが、彼女は極めて稀な「自動醸造症候群」であることが発見され無罪になったのだった。この症候群に罹っている人は糖分や炭水化物を分解した時に異常に血中アルコール濃度を上げる腸内細菌を持っている。
自動醸造症候群は極端な例だが、ここで1つ疑問が湧く。腸内細菌は他にも私たちの健康や行動の特性に影響を与えることがあるだろうか? 北京の首都児科研究所のジン・ユアンはCell Metabolism誌で発表した新しい研究で、腸内細菌が高レベルのアルコールを生産することで脂肪肝疾患の原因になることがあることを記している。
非アルコール性脂肪性肝疾患
肝臓に過剰な脂肪が蓄積すると、炎症を起こし肝硬変や肝臓がんに繋がる可能性がある。基本的に脂肪肝はアルコール依存症と関連があるとされる。しかし、アルコールの過剰摂取に関係のない非アルコール性脂肪性肝疾患が驚くべきことにアメリカ人の8千万から1億の人々に影響を与えている。
非アルコール性脂肪性肝疾患は肥満、インスリン抵抗性、高コレステロール、C型肝炎など複数の原因があることが明らかにされている。そして、ユアンたちはそこに新たな原因を追加することになったようだ。
この発見は、自動醸造症候群と重度の非アルコール性脂肪性肝疾患の両方を罹患している患者を検査したことによる。研究者たちはその患者の便のサンプルを調べ、そこでクレブシエラ・ニューモニエと呼ばれる種類のバクテリアを発見した。クレブシエラ・ニューモニエの特殊な株は、他の株が健康な人の体内で作るアルコールの4〜6倍のアルコールを生産する。ユアンたちは他の非アルコール性脂肪性肝疾患の患者43人についても調査を行った。その結果、その中の61%が過剰にアルコールを生産するクレブシエラ・ニューモニエを持っていることを発見した。48人の健康な人についても調査したが、そのうちでこのバクテリアを持っていたのは6%だった。
研究チームはクレブシエラ・ニューモニエそのものは非アルコール性脂肪性肝疾患の患者の腸内でわずかに多いだけだと記している。異なるのはこの細菌が生産するアルコールの量だ。細菌によって作られた過剰なアルコールによって脂肪肝が引き起こされているのだろうか?
腸の中に小型醸造所を持つ人が存在する
この因果関係を明らかにするために、研究チームは健康なマウスに極めてアルコール生産性の高いクレブシエラ・ニューモニエを与えた。1ヶ月以内にこれらのマウスは確認可能な脂肪肝の症状を発し、2ヶ月以内に肝硬変に進行した。このバクテリアによって引き起こされた肝疾患は、研究者が純粋なアルコールをマウスに与えた場合と同じ時系列で進行していた。
腸内細菌が脂肪肝の原因になっているというさらなる証拠を求めて、研究チームは非アルコール性脂肪性肝疾患のマウスまたは人から、健康なマウスに腸内物質を移植した。その結果、腸内物質を移植されたマウスは脂肪肝疾患を発症した。
最後の証拠は、非アルコール性脂肪性肝疾患のマウスから採取した腸内物質をクレブシエラ・ニューモニエだけを殺すウイルスで処理することで得られた。クレブシエラ・ニューモニエを含まなくなった腸内物質を健康なマウスに移植しても、マウスは病気を発症しなかった。
これらの結果で、過剰なアルコールを作り出す特定のクレブシエラ・ニューモニエが脂肪肝疾患を引き起こすことが初めて示唆されることになった。これは、クレブシエラ・ニューモニエに起因する脂肪肝疾患が抗生物質で治療可能である可能性も示唆している。クレブシエラ・ニューモニエによって脂肪肝になったマウスを抗生物質イミペネムで治療した時、疾患は快復に向かった。
クレブシエラ・ニューモニエは糖分をアルコールに変化させるため、砂糖に対する反応を見るための簡単な血液検査でこのタイプの脂肪肝疾患かどうかを診断することがおそらく可能だ。ユアンたちはアルコールを過剰生産するクレブシエラ・ニューモニエを持ったマウスが砂糖を摂取した後に酩酊し、血中アルコール濃度が上昇することを確認している。
これは極めて刺激的な発見だ。だが、今回の被験者たちが全て中国の人であったため、この現象が拡散しているのかどうかは明らかではない。クレブシエラ・ニューモニエは人間の腸内に一般的に見られるものだが、なぜ一部の人が高レベルのアルコールを作る菌株を保有しているのかはわかっていない。
より大きな視点で見ると、この研究は細菌叢(マイクロバイオーム)の人間の気分と行動を司る上での重要性を表している。一部には過剰にアルコールを生産する腸内細菌を持つ人達がいて、飲酒運転で逮捕された女性のように、単にスイーツを食べただけなのに飲酒したかのように振る舞う人がいるということだ。今後に向けては、こうした人々は常にアルコールに晒されているために、アルコールに対してより強い耐性を持っているのかどうかという疑問が浮かぶ。
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