2019年3月31日日曜日

Pinterestは急ではないが成長を続けている


IPOを申請したPinterestはソーシャルメディア企業なのか、eコマース企業なのか、検索企業なのか?


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Kurt Wagner and Theodore Schleifer
Mar 22, 2019

Pinterestのビジネスは堅実に成長を続けている。しかし、過去十年にIPO(Initial Public Offering:新規株式公開)を行った同様の広告駆動型の企業と同じではないようだ。金曜日(3/22)に提出されたIPO申請の書類にはPinterestのビジネスについての詳細が記されている。この書類によると、PinterestのIPOまでの成長は、Facebook、Twitter、Snapといった会社ほどの速さではない。

Pinterestは2018年、約7億5600万ドルの利益を計上しており、これは前年に比べて59%増加している。その2017年の利益は4億7300万ドルであり、その前年に比べて58%の成長を記録している。

これは悪くない数字だが、私たちがこれまで目にしてきた広告駆動型のテクノロジー・ビジネスがIPOに至るまでの超急成長、というほどのものではない。Pinterestはソーシャル・ネットワーク・サービスでもコミュニケーション・ビジネス・サービスでもないが、全ての収益を広告から得ている消費者向けアプリケーションである。このことはつまり、広告市場の中でFacebook、Twitter、Snapといった会社と競い合う立場にあり、PinterestがIPOのために証券取引委員会(SEC)に提出した書類であるフォームS1に、この3社の名前が競争相手として挙げられていたことは驚くに値しない。

TwitterはIPO直前の1年でビジネスを約3倍に拡大し、Facebookは約2倍、SnapはIPO申請前の1年でビジネスを600%成長させている。

IPO申請前年の広告型ビジネスの成長度は次のようになっている

  • Twitter:3億1700万ドル(2012年) 成長率前年比 198%
  • Facebook:37億ドル(2011年) 成長率前年比 88%
  • Snap:4億0450万ドル(2017年) 成長率前年比 597%

TwitterとSnapの場合はビジネスとしてはPinterestよりも小規模だった。しかし、1年毎の成長が凄まじく、衰える様子も全く見えなかった(両社について、それは真実でなかったことが後でわかるのだが)。

一方でPinterestは堅実に利益を成長させてはいるが、伝統的なシリコンバレー式の魅惑の急成長というものではない。このことは、より信頼できるものであることを示しているのかもしれない。

過去3年間で純損失は減り続けているが、同社は依然として黒字にはなっていない。しかし、この構図は改善され続けていて、2018年の損失額6000万ドルという数字は3年前の約3分の1になっている。

更にPinterestは一般的になって来ているとはいえ、今でも物議を醸すデュアル・クラス・ストック方式を採用しようとしている。これは、公開企業になってからも創業者たちが経営をコントロールできるようにしておくためのものだ。この方式を擁護する人たちは、これは無法な投資家から会社を遠ざけて、創業者たちの長期的なビジョンを守るのに役立つという。一方で批判する立場の人々は、この方式では説明責任が果たされない可能性があり、投資家たちに株式の購入を躊躇させることになるという。

Pinterestの既存の株主はクラスBの株を持つことになり、一般向けのクラスAの株を取得する新株主よりも20倍強力な議決権を持つ。これは極めて大きな違いだ。同様の不公平な比率を採用した計画をLyftが発表した際には専門家から「あまりにも酷い」という声が上がった。しかし、今回のケースでの重要な違いは特別株式を保有するのが創業者たちだけではなく既存の全ての株主であるという点だ。

Pinterestについてのおそらく最も大きな疑問は、これはいったい何なのか?ということだ。商取引企業か?検索企業なのか?ソーシャルメディア企業だろうか? この区別はビジネスを評価するための基準を考える場合に重要なものになる。例えば、Pinterestは「Likeボタン」を削除することで同社がソーシャルメディア企業であるという考えに反発を示している。これはおそらくFacebookと比較されることを避けるための一手で、同様の比較対象にされたTwitterとSnapchatは厄介なことになっていた。(消費者向けアプリケーションはたいていは広告収入に依存したものだが、一部には存在に正当性を持つものもある)

しかし、Pinterestが何であるかを理解することは、Pinterestがこれから何を作ろうとするのか、誰と一緒に仕事を進めようとするのか、こうしたことを予測するのに役立つはずだ。今日、Pinterestは自分たち自身を「ビジュアル・サーチ(視覚探索)」会社だと表現し、広告主に対してインスピレーションを求めてPinterestを訪れる人を対象にしたビジネスの場を提供するのだという。結婚式の計画を立てている場合や自宅のリフォームを考えている場合に、Pinterestは素晴らしいツールになる。そして、広告を出す側からしてみれば、潜在的な顧客が人生に大きな変化を検討している時以上に、そこに触れる瞬間として良いタイミングはない。

Pinterestが直面するもう1つの課題は、同社が過大評価されていると信じられていることだ。同社はベンチャーキャピタルが浅はかだった時、2015年に100億ドルという現在の評価額に近い評価を得ている。しかし、その後2015年から2017年までの間にPinterestは価値を上昇させなかったために、Pinterestはこの巨額の評価額に値していないという一部市場の認識に信憑性が与えられた。最後の評価額は2年前の120億ドルというものである。

しかし、やむを得ない低価格のIPOになることを避けた上で、新興企業がIPOを申請するのに良いタイミングがあるとすれば今しかないだろう。2019年のIPO市場は少なくともここ10年で最も忙しいものになると予想されている。そこにはUber、Lyft、Slackが控えている。2019年の後半か2020年の初頭には景気後退に陥るという懸念がある中で、一部の銀行家やIPOアドバイザーは広範な株式売却計画のタイミングを避けるために、上場計画を早めることをクライアントに推奨している。

当初Pinterestは今年の中頃にIPOを計画していたが、こうしたアドバイスに耳を傾けて動きを速めたようだ。

同社の主要な株主には、ベッセマー・ベンチャー・パートナーズ、アンドリーセン・ホロウィッツ、ファーストマーク・キャピタルが含まれており、それぞれ5%以上の株式を取得している。今回の申請書類にはPinterestのCEOベン・シルバーマンが何%の株式を保有しているかは公開されていない。

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