2019年3月15日金曜日

サウジアラビアの女性の権利


サウジアラビアは男性後見人制度の廃止を約束した。それを中身のないものにさせてはいけない。


Al Jazeera
Taif Alkhudary & Catherine Anderson
Mar 14 2019

今日、サウジアラビアは再び男性後見人制度の廃止を約束した。

ジュネーブで開催された国際連合人権理事会(HRC)に先立って、サウジ政府は2018年9月に同理事会により普遍的定期審査(UPR)の一部として出された勧告を受け入れるという声明を発表した。この勧告は18カ国によりサウジアラビアの男性後見人制度を廃止するように求めるものだった。

この意志表示は二度目のことで、サウジアラビアは6年前にもHRCの前に同様の公約を発表している。今回の意志表示が中身のない口だけのものではないことを確かなものにするためには実施について国際的な圧力を強める必要がある。

男性後見人制度の下では女性は法的に下等とされ様々な制限を課されている他、旅行に行く、パスポートを取得する、結婚する、仕事を持つ、留学する等の行為をするためには男性の親戚縁者による許可が必要になる。この制度は10代の女性ラハフ・ムハンマドが家族による虐待から逃れるためにサウジアラビアを離れた一連の出来事で注目を集めることになった。サウジアラビアでは多くの女性や少女たちが虐待的な環境に囚われていて、男性の親戚縁者の許可なしには保護を求めることができないでいる。


女性権利活動家に対する裁判


ルジャイン・ハズルールは2018年5月にサウジ当局によって逮捕された時、国内に虐待から身を護るためのシェルターを作る計画を進めていた。女性の権利を守るために活動するルジャインは女性による運転の禁止を取り下げさせるための運動も行っていた。この女性による運転の禁止が2018年6月に取り下げられた時、この動きはサウジアラビアが男女平等に向かって前進する重要な一歩であるとして世界中で称賛された。しかし、この問題に対して運動を続けてきた活動家の殆どは現在刑務所の中にいる。彼らは男性後見人制度の終焉を含む更に本質的な改善を求めているからだ。

ルジャインの他、アジザ・アル・ユセフやエマン・アル・ナフジャンを含む11人の女性権利活動家の裁判が昨日から開始された。当初、この女性の人権擁護者たちはサウジアラビアの「テロリズム裁判所」で裁判にかけられることになっていたが、おそらくは国際的な圧力によって3月12日に彼女たちの家族に対しリヤドの刑事裁判所に変更されたことが通知された。

水曜日の審問では、容疑者たちは弁護士への接触を拒否され、独立監視員の法廷への立ち入りは禁止された。彼女たちは直接的に表現の自由に関わる「罪」で逮捕されている。そこでは国連の人権機構との協力が引用された「敵団体との接触」というものも含まれている。サイバー犯罪法第6条(この条文は活動家たちを起訴するために度々利用され、平和的な反対運動を黙らせるためにも使われることで幅広い批判を受けている)によると、彼女たちは最高で5年間の拘禁刑が課される可能性がある。


繰り返されるサウジの約束


サウジアラビアは2013年のUPRで「男性後見人制度の廃止」を約束したにも関わらず、女性権利活動家を逮捕し続け、深刻な男女不平等の状態を保ったままでいる。ジャーナリストのジャマル・カショギを超法規的に殺害したことで国際的な非難を浴びていることも影響していない。2018年のUPRによるサウジアラビアに対する勧告は特に強力なもので、欧州議会による決議とアイスランドが主導しHRCに加盟する35カ国の支持を受けた、サウジアラビアに対し恣意的に拘束されている女性権利活動家たちを解放するように求めた歴史的な声明がそれに続いた。

こうした経緯で国際的な圧力が積み重なり、サウジアラビアは、スペインが発し、アイスランド、スウェーデン、スロベニア、スイス、ニュージランド等が同調した「女性に対する男性後見人制度の廃止」という勧告を受け入れた。しかし、サウジアラビアは国際的な人権義務に対してこれまで取ってきた態度に倣って、ドイツによる「全ての人権活動家、特に女性の活動家の即時解放」の勧告、及び、アイスランドによる「抗議運動の禁止と犯罪化を直ちに停止し、結社の自由の行使と平和的集会への参加のみの罪で収監されている女性の人権活動家を含む全ての人々を無条件に釈放する」という勧告は受け入れを拒否した。

ようやく国際社会がサウジアラビアの悲惨な人権状況について気づき始めたことで、より多くの国が貿易協定よりも人権問題を優先することを望みたい。国家のアプローチが権利を守る義務と矛盾していることはもはや容認されないことを明確にしなければならない。

今日サウジアラビアが受け入れたUPRの勧告を完全に実行することによってのみ、ルジャイン、エマン、アジザを始めとする女性権利活動家たちが解放され、サウジアラビアにおける全ての人の平等という彼女たちの理想が達成される。ルジャインの兄ワリードは国際女性デーにガーディアンに寄稿し「ルジャインと共に立つことは男女平等に向けて一歩近づくこと」と書いている。サウジアラビアが言葉だけでなく行動で示すようにすることが国際社会にいま求められている。

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