Why did Bush go to war in Iraq? https://t.co/Wlbm1BScgf — #AJOpinion, by @ahsanib pic.twitter.com/GFn6JJCZP1— Al Jazeera English (@AJEnglish) March 20, 2019
大量破壊兵器の懸念でも民主主義のためでもイラクに埋蔵される石油のためでもない。本当の理由はそれらよりも更に邪悪なものだ。
Al Jazeera
Ahsan I Butt
20 Mar 2019
アメリカがイラクに侵攻してから16年になる。イラクとその周辺地域に破壊と混乱をもたらしたこの戦争のある面の犯罪性はいまだに検証されずに残されたままになっている。そもそもなんのための戦いだったのか?ブッシュ政権はこの戦争で何を得ることを望んだのか?
公式発表であり広く受け入れられているのは、ワシントンのアメリカ政府がサダム・フセインは大量破壊兵器(WMD)を保持していると考えていたことがその動機だというものだ。特にイラクの核開発能力はこの戦争を誘発させるのに十分なほど警戒に値するものだと考えられていた。当時の米国務長官コンドリーザ・ライスは「キノコ雲を証拠にはしたくない(核兵器が使われてからでは遅い)」と述べている。
結局サダムは有効な大量破壊兵器開発計画を持っていなかったにも関わらず、この説明は、ブッシュ政権がサダムのWMD開発能力を見誤っていたとしても、それは真摯な間違いだと主張する国際関係の専門家たちの支持を受けた。諜報活動というのは複雑で不明瞭な事業であり議論は続いているが、9・11攻撃の前兆のことを考えると、アメリカ政府はサダムがもたらす危険性についての証拠を理性的に、あるいは悲劇的に誤読している。
この主張についての重大な問題はブッシュ政権の当事者たちの言葉以外に証拠が存在していないことだ。そして、この政府はイラク戦争に備えて欺瞞とプロパガンダの広範なキャンペーンを実施したことが知られている以上、彼らを信頼する余地は殆ど無い。
この戦争の原因についての私の調査では、大量破壊兵器の脅威も、そしてそれ以外の目的になりそうなもの、例えば「民主主義を広める」、石油利権の獲得、イスラエルのロビー活動といったものも意味は殆ど無い。それよりも、ブッシュ政権は示威行動による効果を狙ってイラクに侵攻したのだ。
アラブ世界の中心に対し素早く決定的な勝利を見せつけることで全ての国に、特にシリア、リビア、イラン、北朝鮮のような反抗的な国に対してアメリカの覇権の存在を示そうとした。簡単に言えば、イラク戦争は世界をリードする権力の地位にアメリカが着いていることを(再)確立して見せることが動機になっていた。
実際、当時の国防長官ドナルド・ラムズフェルドは9・11前からイラクについて、2001年の2月と7月に複数回に渡ってこの視点から論じている。サダムを失脚させることは「この地域におけるアメリカの信頼性と影響力を高め」「アメリカの政策とは何かを見せつける」ことになるのだと述べている。
この論説は、9月11日にアメリカの軍事的、経済的な支配の象徴が破壊されたことによって現実として促進されることになる。屈辱に突き動かされたブッシュ政権はアメリカが反抗不能な覇権国家の地位にいることを再び強く訴える必要性を感じたのだった。
この威嚇に満ちたメッセージを送る唯一の方法は戦争で勇敢に勝利して見せることだった。しかし、残念ながらアフガニスタンでは十分ではなかった。ようは相手として弱すぎたのだ。刑務所の中の常識と同じように、その場の一番弱いものをやっつけたところで畏怖の評判を得ることはできない。あるいは、ラムズフェルドは9月11日の夜に次のように述べている「皆さんがご存知のように、我々は大きくて強固であり、この種の攻撃で揺らぐようなものではないことを証明するために何かしらを爆撃する必要がある」
更に、アフガニスタンについては、タリバン政権がアルカイダの指導者たちを庇護していたことに対する即座の反応としては「公正」な戦争であった。ラムズフェルド、国防副長官ポール・ウォルフォウィッツ、政策担当国防次官ダグラス・フィース、彼らはアフガニスタンへの限定的な報復は、危険なほどに「制限され」「不十分で」「局地的」なものだと考えていた。このことは「強さよりもむしろ弱さの象徴と受け取られかねず」、「アメリカに反抗する国家を落胆させるよりもむしろ勇気づける」ことになると主張した。彼らは束縛を受けない覇権国家としてのメッセージを送るためには、9・11の反応としては不釣り合いなものが必要になることを認識していた、アフガニスタンを超えて拡張しなければならなかったのだ。
イラクは、アフガニスタンよりも強力な国家であることと、ジョージ・HW・ブッシュが1991年にバグダッドへ攻撃を仕掛けて以来、新保守主義者の標的にされているという両方の条件を満たしていた。湾岸戦争で軍事的な敗北を喫しているにも関わらず継続されている政権は9・11前でも耐え難いものだった。そしてついに、攻撃対象にされたのだった。
イラクが示威行動による効果のために攻撃されたということは複数の情報源から確認されている、とりわけ政府関係者が私的に語っている。ある政府高官はある記者に対しオフレコで「イラクに関してはイラクだけの問題ではなく」むしろ「イラン、シリア、北朝鮮も含めた種類の問題」だと述べた。
2001年9月30日に書かれたメモによると、ラムズフェルドはブッシュに対し「USG(アメリカ政府)は(他の国の政策を変更させるための政治的及び軍事的効果を強化するために)アフガニスタンと、もう1つ(2つ)のテロ支援国家に新政府を樹立させることを目標として明確に描くべきである」というアドバイスを示している。
2001年10月、フィースはラムズフェルドに対し、イラクに対する行動は「政治的、軍事的、その他の意味でも」リビアやシリアへの対応を容易にすることになるだろうと書いている。当時の副大統領ディック・チェイニーは、彼に親しい顧問の1人によれば、彼はこの戦争の背景について「我々は我々が攻撃したい人を攻撃できる。このことは強力なメッセージになる」ということを示すものだと考えていたことを明らかにしている。
ジョナ・ゴールドバーグは2002年の寄稿で新保守主義の歴史家マイケル・レディーンに因んで名付けた「レディーン・ドクトリン」を作り上げた。この「ドクトリン」では「アメリカの真剣さを示すためだけに、10年かそこら毎に適当な小国を選んで壁に投げつける必要がある」と述べられている。
このレディーン・ドクトリンに触発された戦争のために、ブッシュ政権が数多の血を流し多くの資源を費やしたことはイラク人はもとよりアメリカ人にとっても不快なことかもしれない。アメリカは本当にただ真剣さを示すためだけに、何兆ドルも費やし、何十万ものイラク人を殺害し、周辺地域を不安定化させ、「イスラム国(ISIL)」の創設を手助けすることになった戦争を始めたというのだろうか?
更に違和感があるのはブッシュ政権が大量破壊兵器を隠れ蓑として使ったことだ。望んだ政治的効果を強いるために恐怖を大げさに煽り、戦略的に誤った情報(嘘)を示した。実際、アメリカのエコノミストには、ブッシュ政権が故意にアメリカと世界を誤解させてイラクで戦争に突入したという主張を「陰謀論」と考える人がいる。前大統領バラク・オバマはアメリカ生まれではないとか、ホロコーストは無かったというのと同じだというのである。
しかし残念ながらこれは陰謀論ではない。ブッシュ本人すら時にそのガードを下げることがある。2006年にフィースは「時に諜報の内容が表沙汰になることがあったとしても、戦争の理論的根拠というのはその諜報情報に左右されるものではない」と宣言している。
ドナルド・トランプの支配下でジョージ・W・ブッシュを復権させようとしている今、ブッシュ政権が覇権を見せつける戦争を仕掛けるために大量破壊兵器とテロリズムの恐怖を用いたことをアメリカ国内の政治機関は確認するべきだ。特にトランプのトランプの国家安全保障顧問であるジョン・ボルトンはイランに対し同じ目的のために同じ手法を用いようとしていることを考えた方が良い。
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