2019年3月2日土曜日

KKKの急速な衰退 ― しかし、その象徴性は変わらない


信頼できる報告によれば、アメリカ全土でKKK(クー・クラックス・クラン)に所属する人は急激に減少している。それでもヘイトの思想は続いている。


The Conversation
Kristofer Allerfeldt
March 1, 2019

時々現れるクー・クラックス・クラン(KKK)は依然として力を持っているように見える。これは奇妙なことだ。何故なら非営利組織である南部貧困法律センター(SPLC)によると公式の会員数は急激に減少しているのだ。SPLCは反KKKの団体として最も徹底され優れていて信頼できる団体である。

そのSPLCによる2019年春の報告書では、アメリカについて「白人至上主義は移民の恐怖と人口動態の変化の中で繁栄している」と述べられている。しかし、この国の様々なKKK関連の団体のメンバーが急速に減少していることは希望を与えるものだ。

「Rage Against Change(変化に対する怒り)」と題されたこの報告書には、クランの人数が劇的に減っていることが記されている。2016年には130あった支部組織が、2018年では51だという。SPLCはこれについて「1866年以来なんとか持ちこたえてきたKKKはついに最後の時を迎えようとしているのかもしれない」と結論づけている。

そして、この衰退の原因について「KKKは時代遅れの奇妙な服装で若い世代にアピールすることができていない。… 若い過激主義者たちはクランのローブよりもフレッドペリーのポロシャツを好んでいる」と説明している。

しかしながら、クランのいち観察者として私は、彼らの伝統や彼らを象徴するものを頻繁に目にすることを主張しておきたい。クランのかぶりものは今でも最も広く認識されているヘイトの象徴だ。もちろん時代遅れだし実用的でもない。しかし、むしろそれが大事な所なのだ。

不気味で奇妙な尖った形に邪悪な目の穴を見れば、リンチやアフリカ系アメリカ人の教会への襲撃、その他のテロ行為の映像がすぐさま目に浮かぶ。これはオルタナ右翼や白人至上主義者たちが使用しているどんなロゴよりもわかりやすい象徴になっている。例外は「カギ十字」くらいだ。

クランは人数を減らしているが、その強力な象徴性は継続している。最近のニュースをざっと見てみればこれは裏付けられている。

実際、クランの象徴性は非常に強力であり、すぐにそれとわかる図像を使用して世界的な非難を受けない状況というのを想像するのは難しい。バージニア州知事のラルフ・ノーサムは、彼が通っていた東バージニア医学校の1984年のアルバムで、彼の名前が題されたページに完璧なクランのコスチュームの人物と「顔を黒塗り」した人物が並んで写っているのが最近発見された。民主党所属であるノーサムはこの件について謝罪したが、後にこの写真は自分ではないと否定している。依然として彼は辞任の要求に直面している。

クランを象徴するものとまさにその名称は、白人至上主義、偏見、ヘイトを表していることは明らかだ。英国の女優ジョアンナ・ラムレイは英国アカデミー賞の授賞式で無分別な、しかもたいして面白くないジョークを発した。彼女はスパイク・リー監督の作品ブラック・クランズマンが「クラン(カンヌ)国際映画祭」で成功したことに驚いたと言ったのだった。



それから数分間、ソーシャルメディアではほぼ満場一致でこの72歳の女優と彼女のセリフを考えた脚本家は無神経であると非難されたのだった。

このように世間に認識された毒性を考えれば、敵対者をクランに結びつけることも政治的に有効な手段になる。間違いなくラルフ・ノーサムの反対勢力もそれに気づいている。ドナルド・トランプに反対する立場の人たちもこの戦術を用いている。最近の例だとベネズエラのニコラス・マドゥロがトランプをKKKに結びつけようとしている


ヘイトの象徴


それでも、実際にKKKに関係しているという悪評を喜んでいる人もいる、少なくともそう見える人がいる。2月にアラバマ州リンデンの新聞編集者グッドロー・サットンは「クー・クラックス・クランが再び活躍する時が来た」と書いている。

彼はクランをアラバマ州で税金が上がり続けさせないようにできる唯一の機関であると考えているようだった。激しい抗議にもかかわらずサットンは自身の主張を擁護し、クランの暴力的な歴史について問われた時には「暴力的な組織?彼らは誰も殺していない、少しの人を除けば」と答えた。

サットンはすぐさま南ミシシッピ大学の栄誉殿堂から除外され、各方面から非難を受けた。そして彼は編集者としての立場を黒人の女性に取って代わられることになったのだった。

それでもリンデンに住む黒人の殆どの人々は多かれ少なかれ現在進行中の差別に直面している。ある地元のビジネスマンは当地のコミュニティは「麻痺」してしまっているのだと残念そうに認めている。彼は多くの市民が「多くの人はここに住む黒人に人種差別問題はないと考えている。そうでないというなら出て行けばいい」という態度をとっているのだと話している。

サットンの言い訳は見苦しいものだが、しかし同時に今日のクランのメンバーが実際にどれだけ無力であるかを示すのに役立っている。リンデンのクランの存在について尋ねられたサットンは、1960年代に無くなったことを認めている。彼の記事はそれが再結成されることを求めたものだったが、幸いにもSPLCの数字が示す人数の減少を見ればおそらくあり得ないことだろう。

だが、おそらくそれは重要なことではない。クランを象徴するものとその名前そのものが、アメリカの過激な人種差別主義者たちが全会一致で認識できるものを提供する現実の脅威なのだ。

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