2019年4月24日水曜日

斬首されたアン・ブーリンの首は本当に喋ろうとしたのだろうか?


打首にされた後、脳の意識はどのくらいの間残っているものなのだろう?


The Conversation
Adam Taylor
April 24, 2019

フランス革命の中心人物の1人ジャン=ポール・マラーを暗殺したシャルロット・コルデーが1793年にギロチンで斬首された時、フランソワーズ・ル=グロという名前の人物が彼女の頭を掴み上げて両頬を張ったという。その時、コルデーの顔は怒りの表情を見せ、彼女の頬は紅潮していたと言われる。これ以外にも首を切られた頭に意識が残っている兆候を見せた記録は歴史上に存在する。例えば、アン・ブーリンは斬首された後に喋ろうとしたらしい。こうした話は作られたものだろうか?あるいは科学的に体から切り離された頭に意識が残ることはあり得るのだろうか?

近年、世界初の人頭移植の可能性に大きな注目が集まっている。仮にこの移植が実行されることになれば(可能性は低くなっているが)、科学の限界を超えたところがいくつかまとめて明らかにされる。そのうちもで最も明確になりそうなのは、人間の頭とその中身が元の体から離れて生き延びることができるのか、それもどのくらいの時間可能なのかということである。

脳と体が機能するためには酸素の供給が必要である(脳は体全体の酸素の20%を消費する)。頸動脈が切り落とされてしまえば、脳への酸素供給は止まる。血液や組織の中に酸素が残っていたとしても長続きはしないはずである。

目や口を動かすための筋肉のように頭についている組織は、まだ神経が繋がっているため動作する可能性はある。中国では20分前に切り落とした毒ヘビの頭に噛まれて料理人が死んだというケースが報告されており、長く生き延びることができる動物がいる可能性がある。

最近ではこの分野についての研究は、死ぬ時あるいは死に近い経験をする人が、その瞬間に何に気づいているかを知るという方向に進んでいる。心臓発作や心停止を経験した人が、蘇生処置を受けている間に自分と自分の周りで何が起きたていたかについて説明できることがある。このことは、心臓が停止している可能性があって、医学的には意識の兆候が全く見られない場合であっても、脳は周囲で何が起こっているのか認識していることを示している

また、心臓が停止してからでも30分間は脳が活動していることを示す研究結果もある。デルタ波と呼ばれる、睡眠中やリラクゼーションの時に見られる脳波が活動している。


最後の脳波


最新の研究では、心臓が鼓動を停止した後でも脳には活動が残り、心停止後数分後に「広汎性脱分極」と呼ばれる最後の脳波活動と共に最期を迎えることが明らかにされている。この研究で人間に見られたこの最後の脳波活動は脳波計に検出されるほど大きなものだった。他の生物についての研究では、死後48〜96時間経過していても遺伝子発現が起こっていることがあり、時には量が増えている場合もあった。

人間に於いて、死後に検出される活動がどういうもので、その機能が意識活動と無意識活動とどのように関係しているのかについて本当の意味で明らかにするにはさらなる研究と理解が必要である。

首を切られて生き延びたことでおそらく最も有名なのは「首なし鶏マイク」である。マイクは頭のない状態で18ヶ月生き延びた。どうしてそんなことが起きたのか。これはおそらく、脳幹を残して斜めに切られており生命を維持するための基本的な機能を制御する中枢神経が残っていたこと、そして、切られた瞬間にタイミングよく血栓で出血が止まり、出血多量死を防いだからだとされる。

マイクはもちろん鶏である。彼は文字通り「首のない鶏の如く」最も長い時間走り回った鶏だったはずだ。残念ながらこれが人間に起こることはないだろう。最も原始的な機能を制御する脳の部分も頭蓋骨内にある。多くの人がアン・ブーリンは斬首された後に話そうとしたことを信じたいと考えているだろうが、この話はおそらく作られたものだろう。

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