2019年4月8日月曜日

レズビアンに性的魅力を感じる男性の心理


なぜ異性愛者の男性がレズビアンポルノを好むのか


The Atlantic
OLGA KHAZAN
MAR 8, 2016

「あなたの州で最も多く検索されたポルノ用語は?」

数日前にこの種のヘッドラインがいくつか並んだ時には好奇心を刺激された。

免疫系に問題を抱えたユダヤ系のブロガー」とかだったらどうしよう?

クリックして記事を見た。ああ、違った「レズビアン」だった。

ポルノ大手サイトPornhubによるデータから作成されたこの地図を見ると、アメリカの州の大多数で多くの人が「レズビアン(lesbian)」のポルノを求めて検索している。もちろん、一部の風変わりな州では「漫画(cartoons)」が1位になったりもしている。他は民族的な趣向とか母親的なもの。ワイオミング州、メイン州、ミネソタ州の厳しい寒さはどうやら義理の姉妹(step sister)に対する憧れを育むらしい。



だが、その一方でレズビアンは東海岸を駆け抜ける。レズビアンは広大なアメリカ大陸を横切って西の平原を制覇する。レズビアン以外にニューヨークとアラバマを結びつけるものが何か他にあるだろうか。レズビアンは大西洋から太平洋へと伝わってゆく。

もちろん、Pornhubの結果は科学的というには程遠いものだろう。同社が過去に公開したデータの詳細でも、実際は「teen(10代)」や「MILF(熟女)」といった用語がもっと偏在していることが示されている。

いずれにせよ、レズビアンに魅力を感じるのは男性だけの現象ではない。マリ・クレール誌の調査では回答者の大半が女性だったが、「魅力を感じるポルノの種類」という質問に対して、「レズビアン」は「男女(heterosexual)」に次いで2位になっている。

それでも、異性愛者の男性が女性同士が絡み合っている(かそれ以上のことをしている)のを好む、という考えは文化的な基準となるほどよく聞く話だ。それが本当の同性愛者である必要はない。アメリカのビール、クアーズ・ライトのコマーシャルには「あの2人(Those twins)」が典型的な若者たちが好むものとして登場する。コメディドラマ「フレンズ」でもチャンドラーとジョーイが、異性愛者の女性同士がキスするところを見ようとして騒動を起こしている。

女性同士の行為に男性が萌えるのは何故だろう?

まず、レズビアンポルノという分野そのものは男性の性的興味対象として高く評価されているものではない。神経科学者で「性欲の科学:なぜ男は『素人』に興奮し、女は『男同士』に萌えるのか」の著者の1人であるオギ・オーガスの調査によると「胸、尻、熟女、素人」あるいは「男性器のついた女性」というものもレズビアンより高く評価されている。この本のために、オーガスともう1人の共著者であるサイ・ガダムは、何百万もの検索データ、官能小説、動画、個人広告等のデータを分析して人が何故そこに惹かれるのか正確に突き止めようとしている。

レズビアンポルノの人気は、男性は脚本や情動的な複雑さではなく、若さが強調された視覚的な刺激に惹かれやすいという事実から説明することができる。レズビアンポルノはその意味での視覚的な刺激が文字通り「2倍」になっていることで男性に作用するのだとオーガスは説明している。魅力的で無人格な女性がいるとしたら、1人よりは2人いた方が良いのだ。

私はこれはむしろ非合理的な欲求ではないかとオーガスに指摘してみた。レズビアンというのは絶対に男性に性的興味を持たない女性の一群のことである。これはまるで「スティーブ以外の人のための宝くじ」にスティーブが参加するようなものではないか。参加しても何も起こらないよ、スティーブ!

「男性がレズビアンに惹かれるべきではない理由として、レズビアンは決して男性に興味を持たないという事実をあなたが持ち出すのは面白いことです」と彼は言う。「性的幻想というのはそれ自身による一連の規則に従いますが、その規則は正当性、一般常識、あるいは宇宙の物理法則のようなものとは関係がないのです。女性でも現実的には心を通わせる可能性が全く無い億万長者や有名人に惹かれることは多いでしょう」

(私はいつかオスカー・アイザックがこの辺に現れるのを待っている)

性的幻想は自分がなり得ない人になることよりも更に奇妙なものになることがあるとオーガスは言う。「マウスのように小さくなったり、毛の生えたうさぎに変身したりする性的幻想を持つ人も少なくありません」

面白いことに、反対のこと、つまり女性が同性愛男性(ゲイ)ポルノを好むかどうか、ということにこの話は少なくともそのままは当てはまらない。オーガスによれば、女性は異性愛者でも同性愛者でもより情緒的でストーリー性のある性的幻想を持っているという。異性愛者の女性が男性同士の愛情をテーマにした映画「ブロークバック・マウンテン」を楽しむのは、おそらくはそのストーリーによるものだ。

ノースウェスタン大学の心理学教授マイケル・ベイリーは「覚醒」について研究している。彼は、研究者が直接尋ねた場合、女性は男性2人のセックスシーンを楽しむことはないと答えるという。しかし、研究者が生殖器の覚醒レベルを測定する限りでは女性も、2人の女性、2人の男性、あるいは男女の組み合わせの官能場面を享受しているようだという。

「生殖器的には反応していますが、それは必ずしも頭の中の感覚そのものではないのです」とベイリーは説明する。

一方で、殆どの異性愛者の男性は、生殖器的にも意識的にも女性以外には反応しない。ベイリーは、これは女性が男性のように視覚刺激を重視することは進化する上で有利ではなかったからだと推測している。女性は、子孫に多くのリソースを使うことができる1人の男性を選ぶという圧力に直面しており、それを見た目だけで判断するというのは最良の方法ではないのである。女性は力と誠実さを求めているので、見た目や体の一部だけに気を取られるわけにはいかないのだ。

そして、全てのことは異性愛者の男性が本物のレズビアンに魅力を感じるということを意味しているわけではない。「本物のレズビアンを対象にして、本物のレズビアンを扱ったアダルトサイトに男性が訪れることは極めて稀です」とオーガスは話す。

オーガスが「性的幻想」と呼ぶのはこのことで、「ルビンの壺」が私たちの視覚に錯覚を起こすように、映像が私たちの性的回路に錯覚を起こしている。異性愛者の男性は、実際にはレズビアンの女性とデートをしたいとは考えていない。それは若い女性が、実際にはヴァンパイアSM趣味の大富豪と付き合いたいと考えてはいないのと同じことだ。私たちはその考えをコンピューターと自分自身の間に保っている。ビッグデータの目はそこにあるかもしれないが。

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