2019年4月16日火曜日

ロボットとAIは大学教育にどんな変化をもたらすだろう


研究調査を主導して知識の創造に貢献することが大学で人間が生き残る唯一の道かもしれない。


The Conversation
Nisreen Ameen
April 15, 2019

ロボットは世界中で急速に普及している。ロボットによる自動化で2030までに8億人の職が脅かされると言われている。英国でも3600万がそれに該当し、言い換えれば英国人の5人に1人がロボットに職を追われることになる。

高等教育の現場もその例外ではなく、最近、大学では特にロボットやAIのような技術が急速に普及している。こうしたテクノロジーの完全な能力は現状ではまだ発揮されていないが、将来的には教育そして学習に多大な影響をもたらすと考えられている。高等教育の現場では他の分野よりもテクノロジーによる影響は早期に現れるかもしれない。

人工知能(AI)の影響は甚大である。伝統的な学術的プロセスに変革が起きて、教育と学習という意味だけでなく、学生の経験すべてを一変させることになる。講義や成績評価がロボットによって行われるようになれば、教室のあり方と大学と学生との関係は違ったものになる。


ロボット教師


人工知能、ロボット工学、指導システムの発達によって、大学関係者は経験と教育技能を持つだけでは最早充分ではないことになる可能性がある。そして、既に明らかになっているように、一部の大学関係者に情報技術に関する知識が不足していることはロボットによる進出を早めることになるかもしれない。

ドイツのフィリップ大学マールブルクでは、日本で「ペッパー」と呼ばれるロボット「Yuki」が、初のロボット教師として2019年から講義に参加している。このロボットは教授のアシスタントとして働いている。学生の学業的動向を感知してどのような支援を必要としているのか判断し、学生に対してテストを実施することもできる。このロボットが完全に機能するには依然として大きな改善が必要とされている状態であるにも関わらず、学生の中には既にYukiが有用であると認めている人もいる。


人工知能と組み合わされたロボットによって、学位プログラムの改善点が特定されると共に、より高度な個別学習とより客観的で迅速な成績評価が成されることで教育システムが改善されることが期待されている。このことは実際の人間がする仕事の余地を大きく削る可能性があり、大学関係者の職務に大きな影響を与えることは疑いようがない。

ロボットが進出してくることで、大学関係者は、研究調査を主導して知識の創造に貢献することが、仕事を維持してキャリアを進めるための唯一の手段となるかもしれない。


研究の未来


研究の未来についてイプソスの最新の報告書によれば、論文のオープンアクセス、資金調達の機会、テクノロジー業界との関係といった面から、研究の体系そのものがテクノロジーによって大きく変化するとされている。また、この報告書では、中国に代表される東方の各国が更に研究と開発に力を入れてくることを指摘している。

研究の量と速さという面でも大きく変化があるはずだ。ビッグデータ分析と人工知能は非常に速い速度で研究者に直接大量の発見を提供することができる。また、資金調達、データ収集、論文のオープンアクセスの面で、より開かれた体系へと変化していくことが予想される。

大学関係者にとっては、教えることよりも研究調査を通して知識の創造を志す方が、遠くない将来に仕事を維持するためには有効なのかもしれない。学者にとっては研究に集中することがこれまで以上に重要なことになる。このことで社会にとっては学者の専門知識を利用する機会が増える可能性があるが、同じようにロボットが次世代に対して刺激を与えることができるかどうかはまだわからない。

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