Unlike the vast majority of animals and plants, marine mammals and birds such as seals, whales, and penguins are more diverse toward the poles. Here's why, @edyong209 reports. https://t.co/A2XCPxYSbF— The Atlantic (@TheAtlantic) January 25, 2019
極寒の水中で体温を保つ能力が彼らにサメや魚類に対する優位を与えている
The Atlantic
ED YONG
JAN 24, 2019
生態学者は自然に関するドキュメンタリーを見ている時に次の研究プロジェクトを思いついたりするようだ。ミシガン州立大学の生態学者ジョン・グレーディはその手の番組には必ずある、不幸な小魚の群れが捕食者に平らげられるシーンをを見ながら、マグロやタラやその他の大きな肉食魚のような変温動物の捕食者と恒温動物の捕食者との違いについて考えていた。彼は同僚たちと一緒に、そうした捕食者の居場所の追跡を行い、すぐに驚くべき地理的な傾向を発見した。
恒温動物の捕食者、世界中のクジラ、アザラシ、ペンギンはほとんど普遍的なパターンを誇示していた。殆どの植物や動物は熱帯地方の方により多様な種類が存在している。海では同じことが変温動物に成り立っている。しかし、恒温動物の捕食者は北極南極に近づくに連れて多様になって行き、温暖な地点では明らかな形で存在しなくなる。例えば、インドネシアとオーストラリア周辺の海域は世界で最も豊かな場所だが、海獣の類は事実上存在せず、ペンギンや他の海棲鳥類もいない。
何故だろう?この疑問には単純な答えがある、とグレーディは新しい論文の中で主張している。しかし、それはアザラシ、ペンギン、クジラの将来には悪影響のあることかもしれない。
これは食物の問題ではない。グレーディの研究チームは恒温動物は激しく燃やす代謝のために多くの燃料を必要とするという可能性を考えていた。おそらく冷たい海域の方が藻類、プランクトン、小魚が豊富なのではないか?しかし、緯度が高く冷たい場所では実際それほど多くの食物があるわけではないことがすぐにわかった。このことは恒温動物はライバルの変温動物よりも、その場所にある食物の多くの割合を食べていることを意味している。
このパターンについて研究チームの本当の説明は一見して単純そうな話である。動物のスピード、敏捷性、精神力というのは代謝によって左右され、代謝は周りの温度に左右される。鳥類や哺乳類は寒冷な環境でも自身の体温を保っているため、その中でも素早さと注意深さ保っておくことができる。どこかの温度を境にしてアザラシ、イルカ、ペンギンは獲物を捉えやすくなっている。獲物に出会う可能性が高くなり、それを捕まえられる可能性が高くなり、そして彼ら自身に対する変温動物の捕食者から逃れる可能性も高くなる。
グレーディは「恒温動物の捕食者は、彼らの狙う獲物が緩慢になり、間抜けになり、冷たくなっているのを好んでいる」と述べている。このことはサメや他の肉食魚が赤道近くを支配し、クジラやアザラシが冷たい海域を支配している理由になっている。極地付近の食物を独占することによって、そこにいる捕食者たちはそれぞれ特定の種類の獲物を取ることができる、そのことで別々の種の住み分けがしやすくなっている。例えば、北太平洋のシャチには哺乳類を捕食するものと魚類を捕食するものが混血せずに一年中住んでいる。
研究チームの結論として「海洋の捕食者たちの温度による制限は、理論だけでなく実際の観測とも一致している」とアラスカ大学フェアバンクス校のドナ・ハウザーが述べている。この傾向に反して温暖な地域で反映している海獣や海棲鳥類を考えても、こうした例外もグレーディの言う「緩慢、間抜け、冷たい」という法則を証明することになる。例えば赤道付近のガラパゴス諸島に住むペンギンは寒流の流れる地域を餌場にしている。マッコウクジラとその仲間たちは極寒の深海まで潜って食料を探している。ハワイモンクアザラシは動きの遅い海底に住む生物を餌にしている。シロナガスクジラやザトウクジラのような巨大なクジラは突進して捕食する方法を進化させてきた。彼らは突然の素早い攻撃で大きな獲物の群れに襲いかかることができる。
そして、熱帯の地域で実際に多様化した唯一の海棲哺乳類であるイルカの種は知性をを使って身体的な不利を補っている。彼らは泡のカーテンを使って獲物の魚を球状に囲い込み、尾びれで水面を叩くテイルスラップという方法で獲物を一纏めにし、海岸線に向かって追い立てることもする。イルカくらい賢ければ、特に寒冷な環境でなくてもあらゆるものが緩慢で間抜けなものに見えるのかもしれない。
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しかし、世界は変化している。今世紀中に海面温度は摂氏で2〜3度上昇する可能性が高い。そうなれば、海棲哺乳類や海棲鳥類は他に比べて不均衡に大きな影響を受けることになる。温かくなった海水は彼らが歴史的に享受してきた変温動物に対する優位性を奪うことになる。
その兆候は既に現れている。ノルウェーとロシアの北にあるバレンツ海では、ここ数十年でシシャモやその他の小魚の数が増えている。このことはこの地に住むタラやタテゴトアザラシのような小魚の捕食者には有益なことであるはずで、確かにタラは繁栄しているが、タテゴトアザラシの数は減っている。これは、この場所の水温が上がったことが原因である可能性がある。
グレーディらは海面水温が摂氏1度上昇すれば海棲哺乳類は12%減少し、その中でもアザラシとアシカは24%減少すると試算している。「海面水温上昇の脅威は海棲哺乳類と海棲鳥類にとって現実のものになっています」とグレーディは話している。
しかし「予測は難しい」とハウザーは述べている。北極地方の哺乳類が気候変動から受けている影響についてのデータは数多くは存在しないが、複雑な事態が考えられる。ホッキョクグマは地球温暖化の典型的な敗者だが、ホッキョククジラと同様にうまく切り抜けている一群も存在する。シロイルカの一部は移動するタイミングを変更し、それ以外もより深く潜りより冷たい場所で餌を探すようになっている。こうした行動の変化は海棲哺乳類たちが、単純な計算が示唆するよりも気候変動に対して柔軟に対応する力があることを示しているかもしれない。おそらく彼らは単に魚が緩慢で、間抜けで、冷たくなっている場所を世界の中に見つける必要があるのだろう。
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