2017年10月28日土曜日

カタルーニャ独立運動を背後から動かす本当の力


カタルーニャ独立への動きの背後にある草の根運動の見方


カルレス・プチデモンはカタルーニャ独立運動の表向きの顔である。
彼の背後には左派系の政党である人民統一候補(CUP)が、プチデモンの所属政党を含む独立派グループ同盟とともに独立を後押ししていることが知られている。

しかしこの独立運動を動かす重大性と策謀を理解しようとするならば、これは話の半面でしかない。この政治的背景には2つの草の根運動のグループが関わっている、Òmnium Cultural と ANC(Assemblea Nacional Catalana:カタルーニャ国民会議)である。

カタルーニャの政治や独立運動に馴染みがない人にとっては、これらの団体を政治勢力図の中に当てはめるのは困難である。

彼らは選挙民に対して責任を負っていないが、9月11日カタルーニャ国民の日には国民投票とデモを計画した。

これらのグループのリーダーは政治からそう遠く離れているわけではなく実際に政治家に対して特権的影響力を持っている。そして、団体のメンバーたちは街中でリーフレット、独立旗を配布し独立を望む民衆を組織化することを最初に始めた人たちである。

彼らはまたSNSに置いても活発に活動をしている。

スペインの首相であるマリアノ・ラホイがカタルーニャ独立への国民投票には正当性がないという主張をしたのと時を同じくして、スペイン全国管区裁判所は彼らの活動の重要性を理解しているようで「扇動である」として非難している。


Òmunium: 文化保護から始まった年長の姉


独立国民投票の背後にいる草の根独立運動グループの一つである Òmnium Cultural は1961年に設立されている。6人のカタルーニャ人ビジネスマンによって設立され、独裁者フランコ時代の迫害の中で、その存在意義は「カタロニア文化を守る」ことだった。

スペイン紙「ABC」のデータによれば、Ómnium は2005年から2012年の間に国家補助金から2000万ユーロを受け取っている。

Ómnium や ANC の活動による独立運動が公のものになったと同時に、財政面での公的補助はかなり削られている。しかしながら彼らは別な形で収入を増やすことに成功している、多くは(個人や企業からの)寄付であり、サービスプロビジョン(これは隠匿された公的資金であると批判されることがある)である。

Òmnium Cultural は現在ビジネスマンであるヨルディ・クイクサート(Jordi Cuixart)、彼は「扇動」に関わっていたとされる人物である、によって55人の従業員と7万人の会員とが40を超えるオフィスで運営されている。

オンラインで公開された詳細によれば、彼らの資金は550万ユーロ以上にも上る。主な収入は会費であり、それだけで370万ユーロである。

彼らのもともとの目的には文化祭典や会議が含まれているが、政治的役割の方が大きくなっている。 自分達について、カタルーニャ社会を形作る「共通の戦いによって建設された国の社会的結束」のために働く「国の主要な市民および文化的体現者」であるとし、SNSに置いてはカタルーニャ独立運動の情報源として活動している。

Òmnium Cultural の最も有名な会員は、元FCバルセロナの選手、監督で、現在はイングランドのマンチェスター・シティで監督を務めるペップ・グアルディオラである。



ANC(Assemblea Nacional Catalana:カタルーニャ国民会議):動員力をもった若き妹


ANCは2011年に結成され、自らを「民主的平和的な手段を通じてカタロニア独立を達成するという目的を持った横断的かつ統一された組織」であるとしており、2012年と2013年の9月11日カタルーニャ国民の日に北東部で開催したデモには「カタルーニャ史上最大の動員」を組織したということを誇りにしている。

ANC は Ómnium と違い文化的な側面を持っておらず、2009年の非公式独立投票から作り出された社会運動から生まれたものである。代表であるヨルディ・サンチェスもまた「扇動」に関わったとしてスペイン全国管区裁判所から調査を受けている人物である。

この団体の主な活動はデモへの動員、独立機運を盛り上げる宣伝、そしてグッズを売ることである。時に、カタルーニャの財政のように基本的な主題について自ら参画し実体のある政治政党として介入する場合もある。

ANCの予算はオンラインでは公にされていないがエル・コンフィデンシャル紙によれば2016年の彼らの収入は330万ユーロを計上する。エル・ムンド紙によれば2013年の会員からの会費は657000ユーロになったという。

収入のうち大きな部分を占めるのは個人献金(170万ユーロ)とグッズ売り上げ(110万ユーロ)である。


油の利いた機械


これらの組織の草の根ベースの動員による組織力は広大であり政治政党を凌駕するものであると評価されている。そして Òmnium と ANC はカタルーニャの独立派政府と完璧な協調性を持って活動している。

彼らの動員力は彼らのやり方に対し強い批判、厳しい言葉を投げかける反独立派の支持者達を苛立たせている。

カタルーニャの国民党(Parido Popular)の代表であるシャビエル・ガルシア・アルビオルは最近 ANC と Òmnium はカタルーニャの民主主義機構の本流で、傍流ではなくなっている、と最近述べている。

元欧州議会議員のイグナシ・グアルダンは「権力はカタルーニャ議会ではなく、Òmnium、ANC と CUP によって形作られたところにある」と語る。

これらの組織はカタルーニャ独立運動の筋肉でありエンジンであるとしばしば言われるが、現在はこれらの組織の主導者や先導者たちは真実に基づいているのかどうか多くの人々が自問自答し始めている。

0 件のコメント:

コメントを投稿