2017年10月14日土曜日

アメリカの極右勢力

アメリカの極右勢力についてアルジャジーラの記事を読んでみました。



勢い訳してみましたが、 「alt-right」はおそらく「オルタナ右翼」という訳で良いとしても、その穏健派勢力と思われる「alt-light」はなんと訳せば良いのかわからないのでそのまま。



解説:米国における、alt-right、alt-light、民兵組織

アメリカ合衆国の極右は複雑にな形になっている、その重要なグループの違いと類似点について。


アメリカ大統領ドナルドトランプの選挙運動で alt-right(オルタナ右翼)のようなグループが世界中で有名になったことで、アメリカにおける極右勢力の潮流を分類することが難しくなった。

大手メディアや政治評論家はどの範囲で定義して良いのか苦労しており、目立った極右活動家をオルタナ右翼(alt-right)であると適当に伝えることもよくある。

アルジャジーラはアメリカ極右のいくつかの事実を噛み砕いて考え、それぞれの類似性と独自性について説明を試みる。

alt-right(オルタナ右翼)

alt-right とはポピュリスト(人民主義者)を含む極右グループの緩やかな連合であり、白人至上主義、白人民族主義、新南部主義、ネオナチ、ホロコースト否定主義者などを含んでいる。

「alt-right」という言葉は、この数十年共和党を支配しているネオコンサバティヴな政治思想を説明するためにアメリカの白人至上主義者リチャード・スペンサーが2008年に作り出したものである。

ドナルド・トランプの2016年の大統領選挙戦の勝利から程なくしてスペンサーが聴衆の前でナチス式の敬礼をして見せた時からこうした活動は「alt-right」としてアメリカでよく耳にする名称となったのである。

この活動は「ホワイトアイデンティタリアニズム(white identitarianism)」と呼ばれる欧州的な人種と文化の支配する世界観を助長する。alt-right は自分たちの意見を弁護するために人種学を持ち出すのが通例となっている。

研究者や専門家は alt-right には人種差別と同様に性差別が必ず伴うとし、こうした運動に関わる重要人物に女性の姿は非常に少ないと指摘する。AltRight.com の協力者でありスウェーデンに拠点を置く白人民族主義者のビデオとポッドキャスト発信組織 Red Ice に参画するブリタニーー・ペティボーン女史は例外の1人であろう。

スペンサーのシンクタンクである National Policy Institute のほか、 National Socialist Movement、neo-Confederate League of the South、Identity Evropa、などの白人至上主義団体など、そしてネオナチ組織 Vanguard America も alt-right として運動を展開する団体である。

オンラインによる組織化が alt-right の成功を可能にした。

鍵となったウェブサイトは、AltRight.com 、Occidental Dessent blog、neo-Nazi Daily Stormer website、Radix Jounal、Counter-Currents website、Right Stuff blog、などである。また、 alt-right 団体は欧州における同様の運動で先行する団体と多くのコネクションを持っている。

alt-right の中で目立った個人を挙げるならば、Daily Stormer のアンドリュー・アングリン、 the Right Stuff のマイク・ペイノヴィッチ、Identity Evropaのネイサン・ダミゴ、元KKKのリーダー、デイヴィッド・デューク、伝統労働者党のマテュー・ヘイムバッハ、そしてスウェーデンのビジネスマンであるダニエル・フライベリである。

alt-light

alt-light とは極右の中でも穏健な個人、組織やウェブサイトなどについて比較の中で用いられてきた言葉である。

alt-right (オルタナ右翼)が白人民族性を標榜するのとは異なり、alt-light は強硬なアメリカ国家主義を強調し、alt-right が提唱する明らかな人種差別主義や白人至上主義はしばしば忌避する。この alt-light と呼ばれる立ち位置にいる人達の多くがトランプ大統領を支えていると言われる。

alt-light を掲げる最も有名なウェブサイトはトランプの戦略担当スティーブ・バノンが運営する極右ブログの Breitbart News である。その他に影響力を増している alt-light 発信元としてはカナダに拠点を置く右翼メディアに関わる人物であるエスラ・レヴァントが運営する Rebel Media が挙げられる。

alt-light の立場をとる重要な人物としては、扇動家であるミロ・イアンノプーロス、メディアパーソナリティのギャヴィン・マキンズ、ジャーナリストであり活動家のローレン・サウザーン、ソーシャルメディア活動家マイク・セルノヴィッチ、メディアパーソナリティアレックス・ジョーンズ、陰謀論家ジャック・プロソビエクが挙げられる。

イアンノプーロスは Breitbart News でテクノロジーエディターを務めていたが、小児性愛を擁護する発言をして大騒ぎになった後解雇された。最近彼は反イスラム教と「フリースピーチ」のイベントを主催している。

マキンズは Vice Media の共同設立者だが2008年に Vice Media を後にしている。最近彼はもっぱら Rebel Media のオンラインプログラムを主催している。また彼は自分たちを「西洋優位主義者」を自称しフェミニズムに反対する極右グループ Proud Boys の創設者でもある。Proud Boys は Antifa として知られる反ファシスト団体の暴力について批判を繰り返している。

 alt-light に分類されるよく知られた陰謀論を提唱するウェブサイトも存在する。もっともよく知られているのはアレックス・ジョーンズによる infoWars である。2015年に当時大統領候補だったトランプが InfoWars に登場しジョーンズのインタビューを受けている。

多くの alt-light グループは alt-right(オルタナ右翼)に対論を張っているが、alt-right と同じ集会やイベントに参加するものもいる。

民兵組織(Militia groups)

多くの民兵組織は自らを「愛国者」であるとしている。最も規模が大きく最も行動的な民兵組織は Oath Keepers と Three Percenters で、これらのグループのメンバーは頻繁にアサルトライフルと防弾チョッキを装備して集会に参加する。

これらのグループに参加する性格な人数を知ることは難しいが、 Oath Keepers は全米に1万人のメンバーがいるとしている。

伝統的にこれらの民兵組織は反政府系と考えられてきた。彼らは憲法違反や権威主義的なルールをこの国に押し付けようとする政治家から合衆国憲法を守っているのだと主張してきたのだ。しかし彼らの多くはトランプ政権の支持を声高に主張する者となっている。

民兵組織は政治的に対立するブラック・ライヴズ・マター運動やアンチファシスト運動を進めるグループに対し頻繁に抗議に現れる、武装して姿を見せることによって秩序を維持するのだと言うのだ。

Oath Keepers のようなグループのメンバーの中には元かあるいは現役の警察官や軍人がよく見かけられる。

これらのグループは人種差別や白人至上主義の否定を述べてはいるが、多くのイベントや集会で alt-right に寄り添っている。4月15日民兵組織のメンバーがカリフォルニアのバークレイに現れ、alt-right グループと共に集会に参加しアンチファ(Antifa)や他の抗議集団との乱闘に参戦した。

alt-right と alt-light との軋轢

alt-right と alt-ight とは常に幾つかの点で政治的立場を共にしており敵も共通している。両者の共通した敵は民主党、ブラック・ライヴス・マター運動、アンチファ、不法移民、そしてその擁護者などである。

alt-light の指導者の中には alt-right を支持することを明らかにする人もおり、alt-light からより強硬路線の alt-right へ移籍する人々もいる。

ここ数ヶ月 alt-right と alt-light の間の緊張感が増してきていて、この二つの間の違いがはっきりしてきている。

テキサス州ヒューストンでついに両者の物理的な衝突に発展した。

6月10日、民兵組織 Oath Keepers が30歳の建設作業員で alt-right の活動家ウィリアム・フィアーズに集会を離れるように要求した。フィアーズの持っていた人種差別主義を標榜するポスターとその場を離れる指示に従わなかったことに怒り、Oath Keepers のメンバーの1人がフィアーズを締め上げた。この出来事はオンラインで広く拡散された。

6月25日、2つのグループがワシントンDCで「フリースピーチ」の集会を同時に開催していたところで、再度分断が表沙汰になる。

このイベントで alt-right のリチャード・スペンサーは彼とあまり意見の違わない相手方対して隠さずに批判を述べた。彼は alt-ight 側の人々について「彼らは嘘つきで詐欺師で変な奴らだ」と述べた。「我々の負担になっている奴らを切り捨てれば alt-right (オルタナ右翼)はもっとずっと良いものになる」と述べたのだ。


シャーロッツビルでの重要な事件

8月12日、alt-right 支持者達は「右翼の団結」集会をヴァージニア州シャーロッツビルで開催する。南部主義者の象徴であるロバート・E・リー将軍の銅像を撤去することに抗議するためである。

このイベント中、20歳のジェイムズ・アレックス・フィールズは極右の集会に抗議するグループの中に車で突っ込み32歳の反人種差別主義者ヘザー・ヘイヤーを死亡させる。

alt-light グループは第二級殺人者としてフィールズが告発された時、告発に対する抗議に声を合わせたのであった。

しかし、批評家達は元ジャーナリストで alt-light 組織 Proud Boys に最近参加した( alt-right である)ジェイソン・ケスラーがこの抗議集会を開催したことに気づいてた。

Proud Boys はこの集会を批判した。

alt-light にはシャーロッツビルの出来事を非難する人々もいたが、alt-right は賞賛の声を上げる。

Vice News に対し alt-right であるクリス・キャントウェルはヘイヤーの死は正当なものだと主張した。その事件の後にネオナチ系 Daily Stormer はヘイヤーを「太った子ナシで32歳の淫売」と表記した。

一方で alt-light の立場であるギャヴィン・マキンズは Rebel Media にヘイヤーの殺人者であるジェイムズ・アレックス・フィールズを「国家内テロリスト」と称し非難した

シャーロッツビルの暴力について alt-light の立場のツイッター活動家マイク・セルノヴィッチは alt-right を強く非難している。

彼は「すべての alt-right の立場に寄り添う人は白人国家主義者である」と The Atlantic に述べた。「彼らはもう区別できない。 ことは悪い方に進んでいる、彼らはもはや国家内テロリストを組織している」

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