2012年3月19日月曜日

RapidShareがアップロードされた著作物の自主的なチェックを命じられる

以前、ファイル共有サービスMegauploadの社長が逮捕され、Megauploadと類似のいくつかのサービスがサービス中止になりました。


その内のひとつでまだサービスを継続している Rapidshare という会社がドイツの裁判所に著作物のアップロードについて自主的なチェック(proactively check)を命じられたというニュースがTHE VERGEの記事になっていました。


記事の大意は以下のような感じです。太字は私がつけました。

  • ドイツのハンブルグの地方高等裁判所(A higher regional court)はファイル共有サービスであるRapidShareに対して著作権を侵害しているコンテンツを当サイトから自主的にフィルタリングするように命じた。
  • この決定は下級裁判所がRapidShareが自社のサーバ上で行われている著作権侵害行為を十分に防止してこなかったという裁定を下したことを反映したものである。
  • この裁定は1月のMegauploadのサービスが閉鎖を受けたものではあり、同種のサービスについても同様に下されたものである。
  • しかしながら、RapidShareのビジネスモデルは人気のファイルのアップローダーに報奨金を支払うMegauploadのものとは異なっている。
  • 第一報によればRapidShareはアップロードされたファイルをダウンロード可能にする前に、ファイルをチェックしなければならない。
  • 手動ではおそらく不可能であり、RapidShareはコンテンツをフィルタリングするソフトウエアを開発しなければならないだろう。
  • コンテンツ業界は長らくこの、著作権を侵害したものについての責任を著作権者ではなくアップロードされたサイトに強制する、という審査のポリシーが標準とされることを求めてきた。
  • 現在youtubeのようなビデオ共有サイトでは単に著作権者に著作権侵害コンテンツのサイトの通知と検索用のツールを与えているだけである。
  • トレントフリーク(ニュースサイト)はこの命令は先月、利用者のプライバシーの侵害になり得るため、ソーシャルネットワークサイトであるNetlogに対して自主的にコンテンツをチェックするように強制されるべきではない、とした欧州裁判所の判決に反したものだと報告をしている。
  • しかし、RapidShareはNetlogのようなソーシャルな要素には欠けており、個人情報の保護には関係が薄い。
  • RapidShareはこの命令に特に抗議をしておらず、最近RapidShareのサーバで行われる著作権侵害行為を防止するためにいくつかの変化を見せている。
  • 先月にRapidShareは未確認のダウンロード速度を30kbpsに制限したため、無料ユーザーとファイルを共有したいアップローダーは匿名性を諦めて登録し、制限を引き上げなければならなくなった。
  • 著作権を侵害しているコンテンツをダウンロード、またはアップロードしているユーザーの殆どは違法行為に結び付けられることを避けるためにお金を支払いたがらないとRapidShareは主張している。
  • この制限によりコンテンツ業界をなだめることができるか見ていくことになるが、しかし、疑いなくファイル共有サービスが正当性を模索するためには正しい方向性へのステップである。

ドイツは州単位に最高裁判所があり、A higher regional court というのはハンブルク特別市の最高裁判所にあたるところでしょう。その他に連邦裁判所があるはずです。

「自主的なチェック(proactively check)」ということの意味は、ようは現在のYoutubeがそうであるように、既にアップロードされて視聴(ダウンロード)可能な状態のものを著作権者自らがチェックする、又は誰かの通報によって共有サービスにファイルの削除を要請する、というのではなく、アップロードされたら視聴が可能になる前に共有サービス側で著作権のチェックをして問題があるのものは視聴可能にさせない、ということのようです。

このことが今回のRapidShareに命令され、RapidShareはダウンロードの速度制限、という対策をとって現在は様子を見ている段階ということになります。

今回はドイツの事例ですが、今後Youtube等にも波及していく可能性があります。それ以前にDropboxのようなクラウドサービスも(そういう使い方をする人がいるかどうかは別として)おそらくRapidShareと全く同じ使い方も可能なはずで、こうしたチェックを要請される可能性があるということになるかもしれません。

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