2009年8月2日日曜日

故事成語でわかる経済学のキーワード(中公新書)



梶井厚志著

 表題の通り、「覆水盆に返らず」から「泣いて馬謖を斬る」まで全部で28の中国の故事成語を経済学のキーワードに当てはめてみるという本です。
 「覆水盆に返らず」はもともと太公望の妻が復縁を迫った時に太公望が言い放った言葉だそうです。まあ以前にも聞いたことがあったような気もしますが、案外くだらない出典だったことが驚きです。ここから、既に回収不能なコストのことを経済用語で「サンク・コスト(sunk cost):埋没費用」と言う、というような感じで話が進められていきます。人生訓としては、このサンク・コストを無視するとその後に適切な判断ができるようになる、とのこと。例として挙げられているのは、コンサートのチケットを買ったけど、コンサート当日に風邪を引いてしまった場合。この場合は、コンサートのチケット代がもったいない、という観点を排除して考えると正しい判断ができる、ということです。
 経済学の中で人間の心理というのは大きな要素だと思うんですが、そこに故事成語の教訓を当てはめて考えてみるというのは凄く面白い発想だと思います。ちょっと感想が書きにくいのですが、本としては非常にお勧めです。